性に開放的な女性が社会から非難される「性的ダブルスタンダード」は存在しないことが調査で判明したとの報告

GIGAZINE
2023年05月28日 20時00分
メモ



「世間はプレイボーイな男性には寛容だが、奔放な女性には厳しい」というような意見を聞いたことがある人は多いはず。この「性的二重基準(ダブルスタンダード)」に関する研究により、一般的なイメージに反して実は性的関係にルーズな男性の方が厳しい目で見られがちなことや、性的な探究心が強い女性は男性から歓迎される傾向があることが分かったと、ノルウェーやアメリカの大学の研究チームが発表しました。

Examining the Sexual Double Standards and Hypocrisy in Partner Suitability Appraisals Within a Norwegian Sample – Leif Edward Ottesen Kennair, Andrew G. Thomas, David M. Buss, Mons Bendixen, 2023
https://doi.org/10.1177/14747049231165687

Sexual Double Standard Debunked: Women Are Not Judged More Harshly Than Men
https://scitechdaily.com/sexual-double-standard-debunked-women-are-not-judged-more-harshly-than-men/

多くの人の間では、「社会は男性よりも女性の性を強く制限し、性的なことに前向きな女性を否定的に評価したり制裁したりする」という考えが根強くあり、このような扱いの違いは性的ダブルスタンダードと呼ばれています。

性的ダブルスタンダードの一例としてよく挙げられるのが、性生活に積極的な男女に適用される言葉の違いで、男性の場合なら「色男(stud)」「遊び人(player)」「女好き(ladies’ man)」ともてはやされる一方で、女性には「尻軽(slut)」「淫乱(slag)」「売春婦(whore)」と否定的な言葉が浴びせられることがよく強調されます。


こうした性的ダブルスタンダードの実態について調べるため、ノルウェー科学技術大学、イギリス・スウォンジー大学、アメリカ・テキサス大学オースティン校の研究者4人から成る研究チームは、異性愛者のノルウェー人男女923人に男性と女性の性的な行動をどう評価するか尋ねるアンケートを実施しました。

性的ダブルスタンダードに関する従来の研究の多くは、「自分のパートナー候補」の性的な行動に対してどう思うかを尋ねるものですが、今回の研究ではさらに「自分の友だちのパートナー候補」としての評価も問うように作られました。また、評価は男女関係が短期的か長期的かで別々に行われました。

研究チームが参加者らの回答を分析したところ、長期的な交際では性的ダブルスタンダードが見られず、短期的な交際では男性の方が厳しく評価されることが判明しました。つまり、短期的な関係においては一般的に言われるものとは逆転した性的ダブルスタンダードが発生していたことになります。また、男性であるか女性であるかを問わず、一夜限りの関係より長期的な関係の方が評価が厳しいことも分かりました。

この結果は、研究チームにとって意外ではなかったとのこと。ノルウェー科学技術大学の心理学教授であるレイフ・エドワード・オッテセン・ケネア氏は、「一体どうして、男性がセックスをしたがる女性を批判するというのでしょう?」とコメントしています。


今回のアンケートでは自己刺激、つまり自慰行為についてどう思うかの設問もありましたが、ここでも自慰行為をする女性が否定的に評価されている事実は見られませんでした。

スウォンジー大学のアンドリュー・トーマス氏は、この結果を「女性のオナニーを非難するどころか、男性は女性のオナニーに非常に寛容でした。これはまさに、男性は性的な関係への糸口に興味を持つという、進化論に基づく予想の通りの結果です」と説明しました。

一方、非常に否定的な評価を受ける振る舞いもありました。それは、浮気と支配的な行動です。浮気性な人や、パートナーの浮気が心配で相手を拘束しがちな人は男女ともに大変不評で、これは長期的な関係でも短期的な関係でも同様でした。

研究チームは、宗教観や性的な物事に嫌悪感を感じる傾向、短期的な性的関係に対する考えといった要因についても分析しています。それによると、宗教心が低く、性に対して開放的で、自分自身もカジュアルなセックスに寛容な人ほど、経験人数が多い人や自慰行為をよくする人、浮気しがちな人や支配的な人を許容する傾向があったとのことです。


今回の研究はノルウェー人が対象だったため、他の国でも同様かどうかは不明ですが、研究チームはどんな社会にも当てはまる可能性が高いと考えています。その理由のひとつは、性的な行動に関する評価は文化的な要因だけでなく生物学的な要因からも影響を受けていることです。

トーマス氏は「これは、ノルウェー社会における性的ダブルスタンダードに関する初めての調査ですが、今回得られた結果はサンプルのせいではなく、私たちが研究しているすべての文化で性的ダブルスタンダードの欠如が現れています」「今回の研究は、性的なダブルスタンダードが民俗的な心理学の中で恒久的かつ魅力的な部分である一方で、現実にはほとんど根拠がないというエビデンスの増加にさらなる重みを加えるものです」と話しました。

また、論文の共著者であるモンス・ベンディクセン氏は「『女性は男性よりも高度な社会的支配にさらされている』と誰もが信じています。しかし、女性と男性の性行動をどのように評価するか人々に尋ねたところ、そうではありませんでした。人々は、社会がそうだと思い込んでいるよりもはるかにリベラルなようです」と結論付けました。

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