「後ろ歩き」は驚くほど健康にいいと専門家が語る

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通常の歩行とは異なり後ろ向きに進む「後ろ歩き」は、子どもの頃には面白がってやった経験があるとしても、大人になるとめったにやることはありません。ところが、そんな後ろ歩きには驚くほど多くの健康効果があると、イースト・ロンドン大学の臨床運動生理学講師のJack McNamara氏が語っています。

Walking backwards has a surprising number of health benefits
https://theconversation.com/walking-backwards-has-a-surprising-number-of-health-benefits-195246

散歩は器具やジムの会員権を必要としない最も手軽な運動の1つですが、歩くことは周囲の環境を把握する視覚・揺れや傾きを察知する平衡感覚・空間のどこに体が位置しているのかを認識する固有受容感覚の調整が必要となる複雑なものです。後ろ歩きではこれらのシステム間の調整がさらに複雑となりますが、同時にさまざまな健康上の利点ももたらすとのこと。

後ろ歩きにおいて最もよく研究されている利点の1つが、安定性とバランス感覚の向上です。後ろ向きに歩くことは、健康な成人や膝の軟骨がすり減って痛みが生じる変形性膝関節症の人の両方で、バランス感覚の改善が期待できます。後ろ歩きをする時は歩幅が小さくなり、回数が増えるため、関節への負担を軽減しながら下肢の筋持久力も向上するとMnNamara氏は述べています。

また、後ろ歩きをするルートに傾斜を加えることで関節や筋肉の可動域が変化し、かかとの痛みの原因として一般的な足底腱膜炎の痛みを和らげることができるという研究結果もあります。他にも、姿勢の変化によって腰椎を支える筋肉をより多く使用することから、後ろ歩きが慢性腰痛のリハビリに有効という研究結果や、脳卒中などの患者における歩行速度やバランスの改善に役立つという研究結果も報告されています。


後ろ歩きがもたらす利点は病気の治療やリハビリなどに限りません。2011年の研究では、後ろ向きに歩くことはエネルギー消費量が普通の歩行よりも約40%高いことが示されたほか、2005年の研究では後ろ歩きが有意な体脂肪率減少をもたらすことが報告されており、後ろ歩きにはダイエット効果があることが示唆されています。

また、後ろ歩きを超えて「後ろ走り」についての研究では、後ろ走りが膝に関連する重要な筋肉の強度を高め、ケガ予防や運動能力にメリットをもたらすことが示唆されています。また、訓練を受けた人が継続的な後ろ走りトレーニングを行った研究では、後ろ走りをすることで前向きに走る時のエネルギー効率が改善されたとのことです。

McNamara氏は、後ろ向きに歩く時は障害物にぶつかって転倒したり、危険を見逃したりする可能性が高いため、衝突の危険性がない屋内や屋外の平らなスペースで行うことを推奨しています。また、後ろ歩きをする際は体をひねって後ろを見たいという衝動に抵抗し、頭と胸を真っすぐにすることが重要とのこと。後ろ歩きに慣れれば、そのうちランニングマシンで後ろ走りをすることも可能になるとMcNamara氏は述べました。


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2022年12月25日 15時00分00秒 in サイエンス, Posted by log1h_ik

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