人力車ならぬ「Eリキシャ」普及が進むインドで注目の「バッテリー交換式Eリキシャ」とは?

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大気汚染や充電インフラの問題を抱えながらも、めざましい経済的発展を遂げつつあるインドの都市部で、働く市民の足として「バッテリー交換式の電動3輪自動車」が注目を集めていると報じられています。

Two-Minute Battery Changes Propel India’s Shift to E-Scooters – Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/features/2022-03-21/two-minute-battery-changes-quicken-india-s-shift-to-e-scooters

インドでは、日本語の人力車を語源とする3輪自動車、通称「オートリキシャ」が交通手段の1つとして用いられてきましたが、排ガスの問題などを背景に、近年では電動タイプの「Eリキシャ」への置き換えが進んでいるとのこと。しかし、充電ステーションの配備が追いついていないため、バッテリーが車体に備え付けられているタイプのEリキシャ利用者はしばしば充電の問題に直面します。

by Abdulla Al Muhairi

例えば、「インドのEV中心都市」と呼ばれるほどEV自動車が普及しているベンガルールで発生した、「ある電動スクーターのオーナーが共同の充電ステーションを使えず、わざわざアパートの5階までスクーターを運んで自宅の台所で充電した」という事例は、ベンガルールアパート連盟の事務総長が充電インフラ拡充の必要性についての声明を発表するなど、大きな話題となりました。

こうした経緯を背景に、インドで注目を集めているのが「バッテリー交換方式」です。インドの通勤者向け配車サービス・MetroRideの女性ドライバーであるSagyaraniさんは、Bloombergの取材に対し「5分で走れるようになるので、バッテリー交換式が1番です」と話しました。

Sagyaraniさんが使っている交換式バッテリーの充電ステーションがどんな感じかは、以下のムービーを再生するとよく分かります。

Inside India’s Battery-Swapping Station

ベンガルールにある充電ステーションに乗り入れてきたEリキシャ。


奥にある黒とオレンジのブースが、インドのバッテリーベンチャー・Sun Mobilityが運営している交換式バッテリーの充電ステーションです。


ステーションのモニターには、バッテリーの充電状況が表示されています。


ステーションからバッテリーを取り出し……


Eリキシャにセット。空のバッテリーはステーションに戻します。


利用料はわずか50ルピー(約80円)で、ガソリン1リットルの値段の半分とのこと。女性のSagyaraniさんには、1つ13kgもするバッテリーの交換作業は大変ですが、1回の交換で3時間走れるのは魅力だとSagyaraniさんは話しました。


インド政府は、世界で最も大気汚染が深刻な地域の1つだという問題に対処し、2070年までに炭素排出量を実質ゼロにする目標の達成に向けて自動車、特にバイクや3輪車の電化を推進しています。しかし、稼働中の公共EV充電ステーションはわずか1640基しかなく、その大半が主要都市に集中しているのが現状です。また、人口が密集しているインドの都市部では、EV車を乗り入れる充電ステーションが設置できるスペースがほとんどないというのも、充電ステーション不足の問題に拍車をかけています。

そこで、インド政府はバッテリー交換方式に注力する方針を打ち出しており、今後発売されるEV自動車の83%に相当する150万台のEリキシャが、バッテリー交換に対応することが予定されています。また、ガソリンで走るオートリキシャをEリキシャ化する改造キットの開発を手がけるベンチャーなども登場しているそうです。

Sun Mobilityの創業者であるChetan Maini氏は、Bloombergに対し「EV普及を手が届きやすいものにしてくれるバッテリー交換方式は、インド市場にとって非常に重要な技術です」と話しました。

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