Amazonでの買い物体験は悪化し続けていて全てが広告と化しつつある

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Amazonは広告枠の販売で310億ドル(約4兆3000億円)を売り上げ、GoogleとFacebookに次ぐアメリカで3番目に大きいオンライン広告企業に成長しました。Amazonの広告は購入の瞬間に表示されるため、一部のブランドや販売者からも人気があるとのこと。そんなAmazonで広告が増えすぎたため、ユーザーの買い物体験は悪化し続けていると、アメリカの日刊紙であるワシントン・ポストが指摘しています。

Perspective | How Amazon shopping ads are disguised as real results – Washington Post
https://www.washingtonpost.com/technology/interactive/2022/amazon-shopping-ads/

Amazon.comで「cat beds(ネコのベッド)」で検索したところが以下。検索結果上部に広告があるだけではなく、検索結果上位のように見える部分にも広告が表示され、画面に広告以外の商品ページが表示されていません。このように、Amazonは検索結果に広告を大量に表示する仕組みとなっています


データ会社Profiteroが2020年と2021年に実施した検索キーワード調査によると、Amazonの検索結果の1ページ目には平均約9件のスポンサー付きリストが含まれているとのこと。これは、Amazonと同じeコマースサイトのウォルマートが表示する広告の2倍、ターゲットの4倍に当たります。

以下はAmazon(黄土色)・ウォルマート(水色)、ホームデポ(オレンジ)・ターゲット(ピンク)の、検索結果1ページ目に表示される広告の数を、2020年10月からの推移で示したグラフです。2020年末からウォルマートの広告数も少し増えていますが、Amazonの広告数が断トツの1位をキープ。Amazonの広報担当者は「私たちは、お客様にワールドクラスのショッピング体験を提供することに専念しており、表示される広告が有用で有益であり、買い物が少しでも簡単になるように日々努めています」と述べています。


ワシントン・ポストは「Amazonは、サービス・迅速な発送・簡単な返品で無敵のサービスだと思うかもしれません。しかし、商品を探す場所としては、間違った方向を指し示すネオンサインがたくさん掲げられた安っぽいストリップモールになりつつあります」と批判しています。

以下はAmazon.comで「4k tv」と検索した画面で、左が2015年に、右が2022年に検索したもの。オレンジ色で覆われている部分がAmazonの広告枠で、同じ画面サイズの中に含まれる広告以外の情報量が大きく減っていることがわかります。


また、「kitchen aid mixer」で検索した結果を2015年(左)と2022年(右)で並べた画像が以下。2015年時点でも広告枠がありますが、2022年は検索結果のほぼすべてを広告が覆っていることがわかります。2022年の画面では、「Kuppet」と「Kuccu」というメーカーの製品で占められています。


以下の左には「Sponsored」という広告を示すタグが掲示されています。一方、以下の右も広告ですが、Amazonの自社ブランドをアピールするものなので「Sponsored」のタグがありません。「Sponsored」は文字通り広告費を支払われた場合に提示される模様。


そして、HIGHLY RATED(高評価)は本当に最高評価を意味するものとは限りません。以下画像の右のように、隅に小さく「Sponsored」表記がある場合、それは高評価商品のピックアップではなく単なる広告です。


Amazonの広報担当者は「広告はAmazonの顧客にとって役立つものでなければ機能しません。優れた顧客体験を生み出すことで、ブランドにより良い結果をもたらすことができます」と述べていますが、検索結果に特定のメーカーの大きな広告を出したり、広告であることを隠したりするやり方に、ワシントン・ポストは「Amazonの広告は本当にいつも関連性があるのでしょうか?」と述べています。

ワシントン・ポストは「はっきりさせておきますが、広告は必ずしも悪いものではありません。うまくいけば、広告は私たちに新製品についての情報を提供し、新しいビジネスがドアに足を踏み入れるのに役立ちます」と語り、広告を否定しているわけではないとしながらも、「Amazonでは、私たちは販売の目玉ではなく、顧客であるべきです。私たちはAmazonに対して、商品を購入するためにお金を払っています」と述べています。

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