「 ライブストリーム のせいで完全にオフになれる時間はなくなった」:とあるソーシャルメディアマネージャーの告白

DIGIDAY

Netflixは「ラブ・イズ・ブラインド(Love is Blind)」ライブ特番を4月16日に放送する予定であったが、放送数分前にストリームが故障し、ライブ放送は中止となった。同社は、Twitterにて特番放送を待つように促すツイートを最初に投稿し、その後謝罪ツイートを投稿した。

ほかのブランドやストリーミングサービスがネットフリックスやこの失敗をミームやツイートでからかうなか、舞台裏で何が起こったのかについての疑問が残った。

ソーシャルメディアマネージャーたちにとって、この事件は彼らが常日頃抱えるストレスの一例となっている。このストリーミング時代において彼らはライブストリームの不具合にも対処しなければならない。取材に応じてくれたソーシャルメディアマネージャーにとって、このような状況は、仕事量の増加が不安やストレスを高め、睡眠や食事ができなくなり、ベストな状態で仕事ができなくなる原因となっていた。

匿名を条件に業界の舞台裏を率直に話してもらう「告白」シリーズ。本記事では早いペースかつ予想困難なライブストリーミングにおいて、ブランドがソーシャルメディア運営にどのような期待を持っているのか、あるソーシャルメディアマネージャーに語ってもらった。この対談は、わかりやすさのために編集・短縮されている。

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――ライブストリームのソーシャルメディアを担当する際、どのように準備をしているか?

自分たちのイベントを放送するライブストリームを準備する際、事前にライブテストを行う。すべてのものをテストし、全員のカメラをテストし、全員のオーディオをテストし、すべてがスムーズに進むことを確認して初めて準備ができた状態と言える。それでも、本当になぜか、ライブ放送の日が来て、次のゲストを紹介するといった段階で、カメラが動かなくなったり、マイクがミュートされたり、オーディオソースがストリーム中に変わったりする。

それは悲しいことに、いつも起こりえる。すると司会も、「元に戻るのを待っています」と言うしかないような、気まずい沈黙が生まれてしまう。そんな時は、すぐさまその瞬間に別の会話に逸らそうとしたりする。

――配信上の事故が起きると、その後何が起きるのか?

イベントが終わった後の事後分析ではいつも、リーダーたちはそのような事故がなぜ起きたのか疑問を持つ。事前にすべてをテストし、確実に準備をするために3時間を費やしたとしても、彼らは私が行ったすべてのことが間違いだったのではないかと疑問を持ち始める。

アセットに何週間も費やし、オーディオと動画がちゃんと動くように何週間もかけて準備をした。しかし、技術上で避けられない問題が起きてしまうと、すべてをコントロールすることはできない。そして、オーディエンスが世界中の別々の場所にいるため、それぞれのデスクに歩いて行ってカメラの状況を尋ねるわけにはいかない。しかし、私の経験では、リーダーたちはそれを見て、大失敗だと捉えるのが典型だ。失敗が起こらないようにするのが私の仕事だ、という具合に。

――ライブストリームのトラブルが発生したとき、経営側はどのように対応するのか?

個人的には、彼らが「(こういうことが起きてしまうことは)理解する」と言うことは珍しいと思う。なぜなら、彼らにとって、(ストリームのトラブル)はブランドに対する損害であり、ビジネスの損失であり、プロフェッショナリズムの欠如であるからだ。彼らは私に、「この連中はストリームをちゃんとおこなえない」と烙印を押す。どれだけ準備しても、何かうまくいかないことは常に起きてしまう。

――とくにソーシャルメディアマネージャーという職業で、仕事がうまくいかないことはストレスになるはず。どのように対処しているか?

ソーシャルメディアマネージャーとしては、(ライブストリーミングでトラブルが起こってしまうこと)は私自身、そして私の関わるブランドを映し出すものだ。そのため、私はストレスのせいであまり寝られなくなった。不安になって、食事もあまり喉を通らなくなった。非常にストレスがかかるし、私にとっては周りから感謝されない仕事のひとつだと思っている。

――なぜ感謝されない仕事だと思うのか?

ソーシャルマネージャーにとっての成功は、自分が誰だか、人々に分からないようにすることにある。ソーシャルマネージャーたちは誰もブランドのツイートを見て、「ああ、これは私が言ったことだ」とは思わない。ツイートはブランドの声でなければならない。ブランド自体が話しているという印象を与えなければならなく、(その裏側に誰がいるかは)特定できないようにしなければならない。

そしてもちろん、ライブ配信のトラブルが起こったときに、通常の勤務外の投稿をカバーするために雇った人たちが出す全てのツイートが、ブランド確立のためにこれまで積み上げてきたトーンと一貫していなければならない。

残業としての勤務はあまり認められておらず、十分な残業代はもらえない。だから、自分の時間をできるだけ最小限にしなければならない。非常にストレスがかかるし、不安を感じる。完全にオフになれる休暇もない。常に誰かがカバーしてくれていることを確認しなければならない。とてもストレスがかかる仕事だ。

[原文:Confessions of a social media manager on the pressure of managing live streams

Julian Cannon(翻訳:塚本 紺、編集:島田涼平)

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