アースデイ に合わせた大手パブリッシャーの取り組み:イベントからペイウォール解除、論説記事の公開まで

DIGIDAY

毎年4月22日に開催されるアースデイは、企業がサステナビリティと環境に関する公約を発表するのに格好の節目と言える。メディア企業も例外ではなく、2022年4月22日の金曜日には、このイベントに合わせて各社がペイウォールを解除したり、気候変動に関連する論説記事を公開していた。

このイニシアチブは、2021年11月に開催された第26回国連気候変動会議(COP26)に向けて、メディア各社が気候変動に対する報道を強化するために行った取り組みをベースにしている。同時期、気候変動やサステナビリティについて報じるメディアへのキャンペーンやスポンサーシップの機会はないかと、広告主からパブリッシャーに対してリクエストが増えていた。さらには2022年初めに、AP通信とワシントンポスト(The Washington Post)が、気候変動や異常気象報道の専門スタッフを20人以上採用している。

以下が各社の取り組みだ。

ブルームバーグ

ブルームバーグライブ(Bloomberg Live)は2022年4月27日に毎年恒例のブルームバーググリーンサミット(Bloomberg Green Summit)を開催し、気候変動に関する大物ゲストを迎える予定だ。このイベントはハイブリットで開催され、事前登録していれば、対面であれオンラインであれ、参加は無料。イベントのプレミアムパートナー(ブルームバーグが広告主に販売するスポンサーシップティアパッケージの1つ)は、ホルシム(Holcim)とJLL。ブルームバーグ自体は、金銭面で合意に至らず、プレミアムパートナーとしては参加しなかった。

コンデナスト

同社は2020年に発表した、2030年までにカーボンニュートラルを達成するという戦略の一環として、サステナビリティに関する新たなコミットメントを4月21日に発表した。その新たなコミットメントには、以下のようなものが含まれる。

・ 再生可能エネルギー製品やテクノロジーのみを宣伝するエネルギー企業からの広告、または再生可能エネルギーへの移行を促す広告(およびその他のより環境に優しいソリューション)のみを受け入れる。

・ 2025年までに使い捨てプラスチック包装を全廃する。同社は既に、世界中で使い捨てプラスチックの90%以上を排除し、また事業全体で印刷物に使用する紙を全て認証紙に切り替えていることを発表している(FSCおよび/またはPEFC-認証済み)。

・ 適正に管理された森林から調達されたものとして国際的に認証された紙のみを使用。

・ 「サステナビリティ実現に向けたグローバル・エディトリアル・ネットワーク大使」を任命し、自社のメディアブランドをはじめ、ライフスタイル、ビューティ、テクノロジー/イノベーション、フード、ファッションなどを含む報道・編集業界全体にわたるサステナビリティの促進に取り組む。

ニューヨークを筆頭に、ロンドン、ドイツ、イタリア、スペインなど複数のコンデナストのオフィスが100%再生可能エネルギーに移行した。

カバーリング・クライメイト・ナウ(Covering Climate Now)

この国際的なジャーナリズム組織は、ガーディアン(The Guardian)、ネイション(The Nation)、コロンビア・ジャーナリズム・レビュー(Columbia Journalism Review)、ABCニュース(ABC News)、CBSニュース(CBS News)、NBCニュース(NBC News)、バイス(VICE)、ナウディス(Now This)、アルジャジーラ(Al Jazeera)、タイムズ・オブ・インディア(The Times of India)、タズ(Taz)、デイリーマーベリック(The Daily Maverick)などのメディアパートナーと協力して、2022年4月11日から4月22日まで、「気候変動と民主主義」と呼ばれるアースデイ前のシリーズの一環として、気候危機と民主主義との関係についての記事を公開した。それには、ロイター(Reuters)、ガーディアン(the Guardian)、クライメイトワン公共ラジオ(Climate One public radio)が実施した、米国メリーランド州下院議員で、民主党のジェイミー・ラスキン氏へのインタビューが含まれている。

ボックスメディア

同社のテック系ニュース専門メディアあるリコードは、テクノロジーと気候の関係性にフォーカスした1週間にわたる論説記事を公開した。これまでテクノロジーが気候危機の解決に果たしてきた役割、そして今後、解決に向けて寄与できる可能性などについて焦点が当てられている。対象範囲は、暗号通貨とバッテリーのサステナビリティからサンゴ礁の復元まで多岐にわたる。

ソーシャルメディアに焦点を当てたニュースブランドであるナウディスは、気候変動の改善に取り組む組織で働く人々が案内役をつとめる動画をTikTokやその他のソーシャルプラットフォームに投稿し、気候危機が社会に与えた影響について紹介している。ナウディス・アースチャネル(NowThis Earth channel;2020年9月に、グローバル・コモンズ・アライアンス[Global Commons Alliance]のメディア部門であるアースHGと共同でつくられたナウディス傘下のメディア企業)で公開された、12年前に起こったBP社の石油掘削施設「ディープウォーター・ホライズン(Deepwater Horizon)」での大規模な爆発の継続的な影響に関するTikTok動画は、海洋保全を専門とする擁護団体オーシャナ(Oceana)のキャンペーンディレクターであるダイアン・ホスキンズ(Diane Hoskins)氏が司会を務めている。もうひとつの動画は、森林再生プロジェクトであるトゥリーズ・フォー・クライメット・ヘルス(Trees for Climate Health)のプロジェクトディレクターのエリン・アクセルロッド氏が司会を務めている。ナウディス・アースのTikTokチャンネルは2021年9月につくられ、視聴者が気候危機をより深く理解できるよう、問題に特化したコンテンツに焦点を当てているとナウディスの広報担当者は述べている。

ワシントンポスト

同社は、アースデイを記念して4月20日から22日の3日間にかけてペイウォールを解除。ワシントンポストの直近のペイウォール解除は2022年3月のことで、ロシアおよびウクライナに住む人々がWebサイトに無料でアクセスできるようになった。同社が特定地域のペイウォールを解除したのは、これが初めてだった。

「地球規模の課題に対する我々の包括的な報道に馴染みのない人々にとって、アースデイは、何のコミットメントもなくジャーナリズムを探求できる、またとない機会だ」とサブスクリプション統括責任者であるマイケル・リベロ氏は、メールを通じて語った。ワシントンポストの記事へのペイウォールを取り除くことにより、「閲覧者の多くが、私たちのジャーナリズムをより深く理解した後に、当社の記事に頻繁にアクセスしてくれるようになるだろうし、さらには購読者にもなってくれるとチームは信じている」とリベロ氏。

ペイウォール解除は、何が人々を購読へ結びつけるかを調べる方法でもある。「読者と購読者を引きつけるための私たちのモデルは、ニュースルームのイノベーションと一致し、消費者が求めるものを表現するべきだという考えから、私たちは常にさまざまな戦略を試している」とリベロ氏は述べている。

[原文:Publishers drop paywalls and release editorial packages to coincide with Earth Day

Sara Guaglione(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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