大成長中の 新興コングロマリット 、ASビューティについて知っておくべきこと【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

新しいポートフォリオ美容企業が急速に注目を集めている。

ブランドの買収で成長するASビューティの軌跡

それは、創業4年のASビューティ(AS Beauty)だ。2019年に獲得したメイクアップブランドのジュレップ(Julep)とローラ・ゲラー(Laura Geller)を皮切りに、2021年にはマレービューティ(Mally Beauty)、2022年にはカバーFX(CoverFX)とブリス(Bliss)と、着実にブランドを獲得している。新規美容ブランドがほぼ毎日のようにローンチするなか、独立したポートフォリオ企業をすみやかに確立させることは偉業である。業界の大規模な統合により、この12カ月間で、ライラB(Lilah B)、バイトビューティ(Bite Beauty)、ヴェイパー(Vapor)などのブランドが閉鎖されたなかで、ASビューティの成長ぶりは考察に値する。

実際のところ、ASビューティは他社の危機から誕生した。初の買収であるジュレップとローラ・ゲラーは、2019年にその2ブランドの前の親会社であるグランサオル(Glansaol)が米国連邦破産法第11章による破産を申請したときにASビューティに加わった。グランサオルの資産は投げ売りされ、1800万ドル(約24億円)未満で売却された。その際、ジュレップは100人以上を解雇、ビューティサロンとシアトルの本社を閉鎖した。ASビューティは、ジュレップ、クラークス・ボタニカルズ(Clark’s Botanicals)、ローラ・ゲラーを買収するために介入(その後、2019年にクラークス・ボタニカルズを所有者に売り戻している)。また、投資家TPRホールディングス(TPR Holdings)の関連会社、ビューティビジョンズ(Beauty Visions)からマレービューティを購入し、プライベートエクイティ企業のLキャタルトン(L Catterton)からカバーFXとブリスを獲得した。2022年2月のプレスリリースによると、ASビューティはカバーFXだけで2023年には全体の収益が40%増加すると予想している。ASビューティのCOOであるラルフ・アズラク氏は、1月に、ブリスが収益にどう貢献するかを知るのは時期尚早だと語ったが、ASビューティは2022年に1億ドル(約131億円)以上を稼ぎ、「大幅に」成長していると述べている。

家族経営的な雰囲気と社内チームの強化

AS ビューティは、E.l.f.コスメティクス(E.l.f. Cosmetics)の創業者であるアラン・シャーマー氏とジョーイ・シャーマー氏が設立した。E.l.f.は2014年にTPGグロース(TPG Growth)に買収され、2016年に株式公開された。シャーマー氏は、以前パジャマ事業を営んでいた父子ペアのビクター・アズラク氏とラルフ・アズラク氏と提携した。ASビューティのマーケティング担当バイスプレジデントであるサラ・ミツナー氏は、このような背景から75人ほどの社員を抱える同社には「家族経営」の雰囲気があると語っている。自己資金による同社は、最近、社内成長チームとインフルエンサーチームのために人材を採用しており、2022年後半からはクリエイティブとメディアのバイイングを社内で行うようになっている。従来の代理店パートナーはもう利用していない。

アズラク氏によると、ASビューティは今後の買収についてオープンだが、いつ、何を買収するかは未定だという。

アズラク氏は次のように述べている。「(我々は)日和見主義的なマインドセットを持っている。最優先事項は優れたチームを構築することだ。それはビジネスの背後にある原動力だから。ブランドに関しては、強固で、よく知られており、女性創業(の企業)、そして優れた機会を探している」。

財務、法務、人事などのバックオフィス部門はすべて全ブランドを担当している。同じことが、マーケティング、eコマース、Amazon、オペレーション、製品開発などのフロントオフィス部門にも当てはまる。アズラク氏は、個々の買収は「独自の状況」であり、ASビューティは元のチームがどれだけ残留する必要があるかを判断していると語っている。同氏によると、ローラ・ゲラー氏やマレー・ロンカル氏のような創設者らは自分のブランドに留まっており、ブリスのチームもかなりの数が残留しているという。ただし、カバーFXでで残留している人はいない。

今後のビジョンと計画

ASビューティのポートフォリオの背後にあるビジョンについて聞かれ、アズラク氏は「クラス最高の」ブランドの構築や「プラットフォーム」になることなどの決まり文句は使わなかった。その代わりに、ASビューティは過小評価されているアセットを獲得して、社内の専門知識と業界のノウハウを使ってそれらを増強するという構想に基づいて運営しているという。これは、プライベートエクイティファンドが自社の実践的運用を捉えている方法を連想させるものだ。ASビューティがブランドに加えた変更や舞台裏での活動の例には、2019年にジュレップのメイヴン(Maven)サブスクリプションプログラムを終了したことや、同年にローラ・ゲラーの顧客ベースの理解を深めたことなどがある。一方、マレービューティは、2022年2月にあるキャンペーンを通じて限定版メイクアップキットで再ローンチした。

改善と拡張のもうひとつの重点分野はAmazonだ。アズラク氏とミツナー氏によると、AmazonビジネスはASビューティにとって重要な強みであるという。現在、ローラ・ゲラーとマレービューティには強力なQVC販売チャネルがあり、ブリスはウォルマート(Walmart)やCVSなどの小売パートナーを持っている。だが、ASビューティの全ブランドはAmazonを主要なチャネルとして開発する予定だ。アズラク氏は、Amazonは既存のブランド顧客の再購入チャネルとしてだけではなく、新規顧客の発見の場としても素晴らしいと述べている。同氏によると、ASビューティの全ブランドは自社製品写真の品質を向上して、Amazonでもっとも売れているメイクアップ製品の色合いを分析することにフォーカスしているという。

明確に定義された各ブランドの長所

ASビューティの全ブランドには明確に定義された独自の長所と視点がある。ジュレップは外出先で使えるメイクアップ製品とクリーンな成分で若い消費者にアピールするブランドと見なされている。ローラ・ゲラーは40歳以上の女性のメイクに対応している。ローラ・ゲラーはスパックルプライマー(Spackle primers)が主力フランチャイズで、QVCと25年に及ぶ提携がある。メイクアップアーティストのマレー・ロンカル氏が2005年に創業したマレービューティにもQVCとの強固なパートナーシップとユーザーフレンドリーな製品がある。カバーFXには敏感肌向けのコンプレクションメイクのポートフォリオがある。ブリスは、ターゲット(Target)、CVS、ウォルマートといった大規模な店舗で販売されている初のスキンケアブランドだ。

「我々はすべての人を満足させようとしているわけではない。我々のどのブランドもそうではない。だからこそ、対象顧客や関与方法について具体的になれる能力がある」とミツナー氏。「市場は非常に広大なので、今ほど(企業が本物で)オーセンティックであることが重要な時はない。オーセンティックでなければ、顧客に察知されてしまうだろう」。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: AS Beauty is the upstart conglomerate you need to know about

EMMA SANDLER(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)

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