JLoビューティ、 ディオール ビューティ など大手ブランドとの提携で、 ハイドラフェイシャル の認知度がアップ【ビューティ&ウェルネスブリーフィング】

DIGIDAY

2005年に誕生したハイドラフェイシャル(Hydrafacial)は、この数カ月でラグジュアリースキンケアブランドのオモロヴィッツァ (Omorovicza) やディオール・ビューティ(Dior Beauty)とハイエンドなパートナーシップを新たに結んでおり、メディカルスパのフェイシャルデバイス企業として再生している。

ここ数年、ハイドラフェイシャルの事業において、パートナーシップは重要な役割を担ってきた。ハイドラフェイシャルは、プライベートエクイティ企業のリンデン(Linden)とDWHPに買収された後、2017年にゼオスキンヘルス(ZO Skin Health)との最初のパートナーシップを確保している。ハイドラフェイシャルの親会社であるビューティヘルス(BeautyHealth)でチーフメディカルオフィサーを務めるジュワラ・カーニック氏によると、新しいオーナーがやってきてこう言った。「ここに人々が愛しているこのデバイスがある。成長していて利益も出ているが、いかんせん目立たない。そしてふたりのオタクの老人が経営している。投資して成長させるのにふさわしいものがあるとすれば、これしかない」。そして新しい経営陣が参加し、「新たなブランディングと新たなアウェアネス」を注入したことがハイドラフェイシャルの最初のパートナーシップへとつながったのだという。ビューティヘルスという名前のもと、ハイドラフェイシャルは2021年にSPAC経由で上場した。

臨床分野のスキンケアブランドと提携

最初のブランドパートナーとしてゼオスキンヘルスは理にかなっていた、とカーニック氏は言う。医師が創業した会社とハイドラフェイシャルの科学的な伝統は相乗効果をもたらすと思ったからだ。パートナーシップは通常「ブースター」の共同制作を伴う。ブースターとは、トリートメント中にハイドラフェイシャルのテクノロジーによって肌の奥深くまで届くとされる美容液のことだ。ハイドラフェイシャルのビジネスは、2万5000ドル(約342万円)の機械と、その機械を操作するためのブースター製品を皮膚科やメディカルスパに販売することで成り立っている。典型的なハイドラフェイシャルのサービスは1回あたり約250ドル(約3万4200円)で、平均的な同社の顧客は年間3カ所以上のトリートメント施設を訪問している。パートナーブランドのブースターがなければ、ハイドラフェイシャルは独自の美容液に頼ることになる。

現時点でハイドラフェイシャルは、多くは臨床分野のスキンケアブランドのパートナーとともに20のブースターを提供している。そのなかには、アラスティン(Alastin)、ミュラド(Murad)、センテ(Senté)、グライトーン(Glytone)、そして最近ではJLoビューティ(JLo Beauty)などがある。2月に発表された最新の業績報告では、ビューティヘルスは2022年の売上高が前年比41%増の3億6600万ドル(約501億円)になったと報告している。ビューティヘルスは、ハイドラフェイシャルの頭皮治療ブランドであるケラビーブ(Keravive)や、最近買収したマイクロニードル機器会社スキンスタイラス(SkinStylus)も経営している。

さまざまなブランドと提携することで消費者に多くの選択肢を提供

多くの大手ブランドと提携するのは、最終消費者により多くの種類を提供するための意図的な戦略の一部だとカーニック氏は述べている。提携しているスパでは何種類ものブースターが用意されていることが多く、顧客は自分の興味のあるブランドや、肌の悩みにもっとも合った成分を選べるようになっている。この戦略はまた、医師主導のブランド、セレブリティ創業のブランド、ラグジュアリーブランドなど、カテゴリーの異なるブランドが異なるタイプの顧客を呼び込み、ハイドラフェイシャルのビジネスと提携スパにさまざまな形で貢献するという理解から来ている。あるブランドは革新的な成分へのアクセスを提供し、あるセレブリティブランドは認知度を向上させるかもしれない。すべてハイドラフェイシャルとブランドパートナーの双方にメリットがあるという理由で選ばれている。

たとえば、2022年10月に始まったハイドラフェイシャルとJLoビューティとの提携について、カーニック氏は、両社にとって意味のある有機的な展開だったと言及した。このコラボレーションは、分配収益契約によって運営されているが、両社ともに具体的な内容については明かしていない。JLoビューティのコアとなる層は、ラテン系の女性と35歳から55歳の女性である。

「ジェニファー(ロペス氏)は象徴的なその輝きで知られている。また彼女は、当社が提供するプロフェッショナルなコミュニティにおいてリーチと認知度を拡大することに興味を持っていた。彼女は消費者には知られているが、エステティシャンは(JLoビューティを)推奨していない。当社は彼女に、(彼女のブランドを)推薦するプロフェッショナルな専門家のお墨付きを与え、成長する方法を提供する。また、当社としても、間違いなく認知度を高めるチャンスだった」とカーニック氏は述べた。

トライブダイナミクス(Tribe Dynamics)によると、このローンチの直後となる2022年10月に、ハイドラフェイシャルはアーンドメディアバリューが160万ドル(約2.2億円)と過去最高の月となった。当時、2億4300万人のフォロワーがいたロペス氏は、自身のインスタグラムのストーリーでこのパートナーシップについて投稿している。認知度の向上は、ハイドラフェイシャルにとって重要な目標だ。前回、2年ほど前にブランド認知度を測定したところ、一般における認知度は8%程度であることがわかった。カーニック氏は「まだ本当に小さなブランドなのだ。私たちは、コアなユーザーに必要なものを提供し、さらに幅広い層にアピールし始めることを両立させつつ、かなり意図的に認知度を高めていきたいと考えている」と話す。

オモロヴィッツァやディオールとのパートナーシップ

一方、ハイドラフェイシャルのほかのパートナーシップの動機となっているのは、革新的な成分である。バイオテクノロジー企業のオーガニセル(Organicell)が近々発売するブースターは、皮膚の炎症をターゲットにしたエクソソームに注力しており、年末にローンチを予定している。

オモロヴィッツァとの新たなパートナーシップの場合、両ブランドはすでに顧客層が重なっていることがわかった。つまりどちらのブランドも、結果重視のスキンケアに投資する意欲の高い、教養のある高尚な顧客を抱えている。

オモロヴィッツァが現在、ブダペストの旗艦店であるスパとロンドンのリバティにあるスパでハイドラフェイシャルの機器を導入していることを挙げ、カーニック氏は次のように述べた。「オモロヴィッツァのハイドラフェイシャルを受けると、そのブースターのおかげで、クレンジング、抽出、うるおい補給、栄養補給が行われる。だが、マッサージを取り入れるための特別なプロトコルも含まれている。オモロヴィッツァの特徴に合わせて、完全にカスタマイズされている」。さらにそのブースターは、ハイドラフェイシャルの2万5000店の販売店の一部で売られている。

ハイドラフェイシャルは、4月中旬にディオール・ビューティとこれまででもっとも独占的なパートナーシップをデビューさせているである。今のところディオールのブースターは、フランスのアンティーブにあるオテル・ドゥ・キャップ・エデンロックでのみ販売されている。オモロヴィッツァのように、トリートメントにはハイドラフェイシャル・テクノロジーと併用するブースターと、独自のフェイシャル・プロトコルが含まれる。ハイドラフェイシャルとの提携についてディオールからはコメントを得られなかったが、同社のプレスリリースでは、このトリートメントの若返りの効果について触れており、肌のテクスチャーを改善するとされるポリヒドロキシ酸とナイアシンアミドを使用していることに言及している。ディオールは最近、リバースエイジングの概念を探求するために科学諮問委員会を設立したと公にしており、ラグジュアリーブランドの科学への投資と美容イノベーションの限界を押し上げることをさらに強調している。

「(このパートナーシップは、ディオールが)フラッグシップ・スパを展開していることから生まれたもので、ディオールはスパで完全に独自のものを提供したいと考えていた。私たちは話を始め、非常に見識のあるディオールの顧客のために、技術的に先進的でありながら独自性があり満足してもらえるものを一緒に作るにはどうしたらよいのかを考えた」と、カーニック氏はそのパートナーシップの始まりについて語っている。

[原文:Beauty & Wellness Briefing: Hydrafacial is upping its cool factor, one brand partnership at a time]

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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