2023年5月8日から、全国のコンビニや量販店で販売が開始されたタリーズの新作「ブラック &ソーダ ガッサータ」。南イタリアで愛されているエスプレッソソーダに着想を得たそう。要は炭酸入りコーヒーの新作だ。
2012年の「エスプレッソーダ」が圧倒的な爪痕を残し消滅してから、気づけば10年以上が経過。その間にアサヒの「WONDA CONIC」のような正統派や、コカ・コーラの「リアルゴールド ウルトラチャージ ブラック」のような変化球など、同じ遺伝子を持つモノが何度か登場するも全て散っていった。
はたしてタリーズの「ブラック &ソーダ ガッサータ」は、過去の同胞たちとは別の道を行くことができるのだろうか? めちゃくちゃ正直にジャッジするぞ!
・探した
ということでさっそく発売日に近所のコンビニやスーパーを見て回ったのだが、残念ながら見つからず。期待の……かどうかはともかく、少なくとも話題にはなっている新商品やぞ?
もしかしたら過去の炭酸コーヒーシリーズの売れ行きから、在庫を抱えるリスクを回避したい店舗が増え気味なのかもしれない。個人的には炭酸コーヒーが好きなので、過去の同類は自発的にほぼ全て飲んできたが、記憶にある限りどれも最後はワゴンで叩き売りされてたしな……。
翌日に捜索範囲を広げて探し回った結果、ようやくとあるイオンにて発見! 希望小売価格は176円だが、1本127円で販売されていた。
・匂いはコーヒー
ラベルを剥がさずリサイクルできる優秀なボトルデザイン。
品名は「コーヒー入り炭酸飲料」で、コーヒー豆はコロンビアとインドネシア。カフェインは100ml中に12㎎とのこと。
「新刺激! コーヒー×炭酸」と書かれたシールが貼られていた。コーヒー×炭酸自体は新しくないが、もしかしたら炭酸の質が過去に消えて行った同胞とは違うのかもしれない。その辺は飲んでから判断しよう。
・これは…
それではいよいよ開封だ! そこまで炭酸は強くないのか、特にガスが噴き出たりすることのない穏やかな開封となった。漂ってくる香りはそんなに強くない。この手の缶入りボトルコーヒーにありがちな感じだと思う。
グラスに注いでみると……おっ? なんだかビールみたいにめちゃくちゃ泡立つぞ!
一瞬グラスからあふれるかと思ったが、グラスの形状もあってか泡はすぐに消滅した。どことなくコーラみたいなビジュアルだ。
飲んでみると……これは確かに新しいかもしれない。従来のものよりも泡がきめ細かく、繊細で弾け方も軽い。そのため舌触りがどことなくクリーミーで、飲み心地はまるでアルコールを抜いてボディを軽くしたギネスビールみたい。
さて、この手の間口の広いメディアで「ギネスみたいだ」なんて言うと、「嘘つけ! 飲んだけどビールの味なんてしないじゃないか!!」みたいな反応が返ってきがちなので断っておくと、もちろん味は麦芽由来のそれではなくコーヒーだ。
そのコーヒーの味なのだが、多くの日本人に好まれるには、少し濃さや重さが物足りない感がある。また、味を構成する様々な要素のなかで、酸味が前に出ている点も、恐らく好みが分かれるポイントになりそうだ。
それらの傾向は炭酸によって強調されていると考えられるので、炭酸の有無にかかわらず「軽めで酸味が強いコーヒー」が嫌いな人からは、余り好まれないタイプだと思う。
・やれるのか?
では諸々をふまえて「ブラック &ソーダ ガッサータ」はやれるのか? 先にも述べた通り個人的には好きなのだが、その贔屓(ひいき)分を引いた上でジャッジすると……
やっぱ難しいと思う
何だかんだでこれまでに散っていった同志たちと、そんなに大きな違いがあるとは思えない……! たぶんこいつも短命で終わり、ネット上に炭酸コーヒー敗北史の新たな1ページとして刻まれることになるのだと思う。
私は1ケースくらい買って飲み続けると思うし、飲料メーカーには今後も手を変え品を変えて、あらゆる方向から炭酸コーヒーを日本で広めるためのアプローチをし続けて欲しいという願望はある。
しかし客観的な視点からは、炭酸コーヒーは根本的に日本人の好みに合っていないのではないかという考えも抱かざるを得ない。アメリカや欧州ではマジに根強い人気を誇るリコリス菓子が、どうやっても日本に定着しないのと同じようなものだ。
炭酸が入ってもコーヒーの酸味が強調されず、濃厚な飲み口を維持できるような製法なり調合なりを編み出せれば、ワンチャンあるのではないかと思うが……。
ちなみに公式HPを見るとオリジナルのグラスが同封されたパッケージも販売されているもよう。泡を売りにしているようで、注ぎ方を解説した動画も出している。好きな方は、このスタイルを試してみるのも良さそうだ。