大谷の本塁打王を阻んだ「米国らしさ」のなさ

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申告敬遠は二塁打の扱いにせよ

米メジャーリーグで大活躍の大谷翔平選手は、手の届きそうだった本塁打王を逃しました。断トツに多い申告敬遠(事前申告による故意四球)でバットを振らせてもらえなかったことが大きな原因でしょう。

Thomas Northcut/iStock

日本のプロ野球は、間延びさせ、相手をはぐらかす。米国メジャーの先発投手は100球目安に降板する規則があり、ムダな球数は投げず、真っ向勝負が基本です。大谷選手に対しては、違いました。

大谷選手に対する敬遠が少なかったら、本塁打王をとっていたことでしょう。申告敬遠は、通常の四球(一塁まで進塁)の扱いではなく、二塁打とするとすべきです。ペナルティーが二塁打ならば、申告敬遠は減るはずです。米球界にルールの変更を要望します。

申告敬遠を回避するために、4球続けてボール球を投げる投手がでてくるかもしれません。「4球続けたらそれも故意四球」の扱いにする。少なくとも一球はストライクを投げなければならない、とするのです。

大谷選手に対しては、特に終盤になって、「米国らしさ」が消えました。故意に大谷選手の足をめがけて、死球(デッドボール)を投げた選手がいました。故意死球には罰則があり、投手と監督に出場停止と罰金という厳しい処分が下りました。痛みが残り、フォームを崩したはずです。

「打者大谷」の時も、「投手大谷」の時も、故意と疑われる審判の判定がありました。打者の時は「ボールなのにストライクで三振」、投手の時は「ボールなのにストライクの判定」がなされ、米国人からも「判定がおかしい」とのブーイングが聞かれました。

「日本人の大谷に本塁打王を取らせたくなかった」「打者との二刀流で、投手としての成績も二けたの10勝に到達するのを見たくなかった」などの論評もある程度は、あたっているのでしょう。

「日本人に対する人種差別か」は考えすぎにしても、腑に落ちない形でシーズンは終わりました。真っ向勝負の米国野球が消え、「野球は国技近いのに、そこまでやるのかよ。米国の恥」と思ったファンは多いでしょう。

大谷選手は終始、笑顔や苦笑いで対応しました。なかなかできないことです。年間MVP(最高殊勲選手)に選ばれるとの観測もあります。「いいものはいい」と、「敵」に対しても最高級の表彰をする。これは米国のいいところです。

本塁打数はぺレス48本、ゲレーロ48本、大谷46本です。9月24日現在で、申告敬遠は大谷17個(最終的には20個)、ゲレーロ7個、ぺレス4個です。申告敬遠を含む四球は、大谷88、ゲレーロ83、ぺレス26です。

5日の日本のスポーツ面は、大谷選手の大活躍を破格の扱いで称えました。もう少し、掘り下げた記事が欲しかったと思います。


編集部より:このブログは「新聞記者OBが書くニュース物語 中村仁のブログ」2021年10月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、中村氏のブログをご覧ください。

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