Google、 プライバシーサンドボックス の「実験」結果を発表:FLEDGEの名称は変更に

DIGIDAY

2022年半ば、Google ChromeはサードパーティCookieの廃止計画を再延期することになった。

これはCookieなきあと、Googleが同社の支配的WebブラウザChromeにおいて提案する広告ターゲティングおよびトラッキングの代替手法が、広く業界の支持を得られなかったことに起因する執行停止だ。

そしてこの展開は、「プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)」のトライアルが継続されることを意味した。鳥にちなんだ略語で表される一連の関連用語(「FLoC」を覚えている人はいるだろうか)も、2024年までは業界の辞書に残ることになるだろう。

広告オークション用APIは「Protected Audience」に

米国時間4月17日、プライバシーサンドボックスのプロダクトマネージャーを務めるトリストラム・サウジー氏は、Chrome内で広告オークションを実行する代替案の名称が、これまで広く知られたFLEDGE API(FLEDGEは「ローカルで実行される集団決定の初回実験(First Locally-Executed Decision over Groups Experiment)」の略)から変更になったことを発表した。

サウジー氏は同日付のブログ記事で、「このAPIには、ユーザーのプライバシーを向上させながら、同時に広告の関連性を維持し、広告主やパブリッシャーのオーディエンスデータをより強固に保護するプロジェクトであることが明確に伝わる名前が必要だ」とし、「そこでこれを『Protected Audience API(プロテクティッドオーディエンスAPI)』と名付けることにした」と記している。

業界を一変させるような実験を継続し、それに対する否定的な声があふれるなかで、Googleはいつものごとく広く業界に向けて、そして今や世界中の政府に向けて、自らの度量の大きさを示したいようだ。

プライバシーサンドボックスにおける実験

その一方でGoogleは、懐疑的な人々の懸念を払拭するべく、プライバシーサンドボックスにおける実験の最新結果を明らかにしている。それはGoogleが提案する「インタレストベースオーディエンス(IBA)ソリューション」を、自社の広告スイートであるGoogle AdsやDSPのDV360といった広告購入ツールを用いてテストする実験だ。

この実験にはA/Bテストの手法を採用。「一方ではChromeトラフィックの一部にサードパーティCookieを使用し、他方ではサードパーティCookieをIBAソリューションに置き換えた」と、Google広告のグローバル広告担当バイスプレジデントを務めるダン・テイラー氏はブログ記事で説明している。

「これらの(プライバシー保護)シグナルには、コンテキスト情報、プライバシーサンドボックスのトピックスAPI(Topics API)、およびパブリッシャー指定の識別子(PPID)などのファーストパーティ識別子が用いられた。実験では、サードパーティCookieのパフォーマンスをトピックスAPIとのみ比較するのでなく、プライバシーファーストの世界で利用可能な、より広範なシグナル群と比較した」と同氏は述べている。

ユーザーを密かに追跡できない仕組みを強調

またブログとは別に、4月中旬に開かれたテスト結果に関するメディアイベントでテイラー氏は、プライバシーサンドボックスが提案する広告のターゲティングおよび測定手法が、ユーザーを密かに追跡する手段を阻止するように作られていることを強調した。

Googleと競合するAppleなどのプラットフォームプロバイダーが提唱するプライバシー保護の代替案は、そのような脆弱性を意図せず有する可能性があると、同氏は主張する。

また、「パーソナライズされた広告を完全にブロックすることは、広告のプライバシーに対する不十分なアプローチであり、フィンガープリンティングのような、より隠密性が高く、より侵入的な形態のトラッキングにつながる」と、同氏は報道陣に語った。「代替識別子を使ってウェブやモバイル上で人々を追跡する代替的な方法を構築することは、我々には単に名前を変えたトラッキングCookieに見える」。

実験の結果

Googleは、プライバシー保護と広告パフォーマンスに求められるバランスの達成も間近だと示したいらしく、テイラー氏は、実験中に観察された主要な広告キャンペーン指標への影響は最小限にとどまったと主張している。それらの主要な指標には、総広告費(規模を拡大する能力の指標)、クリック率(消費者との関連性)、コンバージョン率(キャンペーン全体のパフォーマンス)が含まれる。

したがって、Googleの実験結果によると、プライバシーサンドボックスが提唱するサードパーティCookieの代替案は、プライバシー保護のためにパフォーマンスを犠牲にする心配はない。同社の最新のホワイトペーパーが示す主な結果は以下のとおりだ。

  • プライバシーサンドボックスのツールを使用した場合、広告費の減少は2~7%の範囲
  • 1ドルあたりのコンバージョン率の減少は、1~3%の範囲
  • クリック率は、現状の90%以内を維持

「プライバシー保護シグナルを使用してユーザーに関連広告をリーチするキャンペーンのパフォーマンスは、サードパーティCookieを用いた場合のパフォーマンスと比較して、かなり高いレベルの再現性を維持している」とテイラー氏は述べている。

また、「複数の異なるプライバシー保護シグナルを組み合わせて用いることが、効果的でプライバシーに配慮した広告キャンペーンにつながることが明らかになった(中略)これは、結果を生み出し、サードパーティCookie排除がもたらす空白を埋めるうえで、機械学習が重要な役割を果たしうることを示している」と続けた。

[原文:Google’s FLEDGE rebrands as ‘Protected Audience API’ as the tech giant continues Privacy Sandbox trials

Ronan Shields(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:島田涼平)

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