スターシップの爆発、周辺の町が塵やデブリで大変なことに

GIZMODO

人が乗ってなくてよかった…。

これはテキサス州ボカチカで20日、初打ち上げに成功したSpaceXの巨大宇宙船「Starship(スターシップ)」(全長120m)の発射の瞬間をLabPadreの地上のカメラが捉えたものです。

なぜこんな至近距離(発射台から340m)に撮影クルーのバンが停められているのか謎ですが、もうもうと立ち昇る黒煙に混じってけっこう大きな岩の塊のようなものが超速で飛んできているのがわかります。

Starshipは地球周回軌道に乗って90分飛んでハワイ近海に着水する予定でしたが、ブースター(スーパーヘビー)の切り離しがうまくいかなくてフラフラと横滑りして制御不能となり、発射から3分59秒後に自己破壊装置の発動を余儀なくされ、そのまま空中爆発(SpaceXは「rapid unscheduled disassembly(予定外の急速分解)」と呼んでいる)しました。

離陸そのものは成功

ライブの映像を見ると、発射1分後に33基あるRaptor 2エンジンのうち少なくとも3基(BBCは6基と発表)が停止もしくは炎上していたことがわかります。それでも残りのエンジンで前人未到の浮力を得て、なんとか地上から飛び立つところまではクリアしたかたちですね。

エンジン1基あたりが生み出す推進力は50万ポンドですので30基で計1500万ポンド。具体的な数字は公式発表待ちですが、2022年11月にNASAが打ち上げたSLSロケットで880万ポンドでしたので、そのざっと2倍近く。

影響は付近の町にまで

これだけの推進力です。ある程度のデブリの散乱は予想されたことでしたが、付近の民家や庭、店舗、車まで砂だらけになったのは完全に予想外でした。発射台周辺の様子を別アングルで見てみると…

爆風とデブリは約10km離れたポートイザベル市内にまで達し、フィットネスクラブの窓ガラスが割れるなどの被害が発生したとNY Timesは報じています。

煉瓦造りの家に80歳の母親と暮らす住民は「前回の打ち上げでも家が揺れたが、今回はまるで別次元のスケール」と戦々恐々です。「町中が砂まみれ」(市広報)になり、市は「人体に影響はない」「デブリを見つけたら触らないで通報してください」と対応に大わらわ。当日と翌日はビーチと高速4号を一部閉鎖して洗浄作業に追われました。

打ち上げ台の下が陥没

SpaceXのロケット打ち上げの映像を撮り続けているYouTubeチャンネルのLabPadre創設者のLouis Balderasさんもこれだけ大きなデブリが散らばるのを見るのは初めてとのことです。

「ボーリングの球ぐらいもあるコンクリートの塊が打ち上げ台から飛んできた」と言ってますよ。カメラが無事で本当によかった…。おかげで発射台直下にできた巨大な穴もしっかり撮ることができました。

このクレーター。Balderasさんの推計では深さおよそ25フィート(約7.6m)あります。7~8m深い穴が開いて周辺に飛散したというわけですね。コスト・工期を切り詰めるため水冷装置や熱を逃がすトンネルみたいな衝撃緩和設備の建設をいろいろ省いていたことなどが原因と取り沙汰されていますよ。

断熱材のデブリをビーチで拾って喜ぶSpaceXファン

果たして前澤友作さんが乗る日は来るのでしょうか。

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