新時代、始まるか。
ChatGPTを開発するOpenAIと、そのパートナーとなったMicrosoftの勢いに飲まれてるようにも見えたGoogle。でも「世界中の情報を整理してアクセス可能にする」って掲げた通り、ずーーーっと前から言語も画像も分析しまくってたGoogleなんだから、ホントはChatGPTライクな機能も全然できてるのでは? と、何かもったいなく思っておりました。
でも、3月14日(米現地時間)、そんな期待に応えるかのようなGoogle Workplaceの新機能、そしてデモ動画が発表されました。
なんだかいろんな作業がやたらちゃっちゃと捗りそうで、来たか!って感じがします。何ができるのか、1つずつ見ていきましょう!
Gmailの要約、返信
GoogleのAIが長いメールのやりとりから、要点を簡潔にまとめてくれるそうです。さらに自分の反応の要点(例では「I’m on it.=すぐやります」)を入力すると、より丁寧な返信メール(皆さんたくさんのアイデアをありがとう云々)まで生成してくれてます。
ドキュメント自動作成
動画では、メールで出たアイデアを「春のキャンペーン概要」として簡単に文書化してます。ここで興味深いのは、「Shorten」「Elaborate」「Rephrase」(短く・詳しく・言い換え)、「I’m Feeling Lucky」といったボタンや「More whimsical」(もっと楽しげに)といった指定のできるボックスがあること。細かいトーンの修正もちょっとクリックするだけで済みそうです。
スライド、挿画も自動作成
「春のキャンペーン」に合わせてか、スライドの背景色はパステルカラーに。テキストからの画像生成機能も入っていて、「miniture magical garden」と入れると、いかにもキャンペーンに使えそうなアイデアが一気に生成されます。
議事録書きも
上のスライドを使ったGoogle Meetが開かれて、ここでもAIが活躍します。参加者が話す内容を議事録にまとめてくれて、それも単に発言を列挙とかじゃなく、「アジェンダ」「次のステップ」と整理してます。
顧客に合わせたメール作成
顧客向けのメールをパーソナライズするデモも入ってます。動画の中の表には顧客ごとに「ステータス」が「Active」「Inactive」、「地域」が「US-West」「Asia」とか入ってて、地域に合わせて挨拶が「こんばんは」だったり「おはよう」だったりするのがパーソナライズ…らしいです。それでいいのか感は若干あるものの、とにかく1人ひとり違う文章を一気に作れるってことが言いたいのでしょう。
もちろんチャットも
動画では最後に、チームメンバー向けのチャットメッセージも書いてます。「I’m Feeling Lucky」を押すと、メッセージに合わせたポエムが絵文字入りで生成されてます。
使ってみたい!けど
上の動画でGoogle Workplaceの生成AIがやってること、MicrosoftがWordやPowerpointに近々入れるだろうと言われてた機能を具現化したかのようです。Microsoftから見ると、恐れていたことがついに始まった…のかもしれません。
さらにGoogle Workplaceの公式ブログでは、「今後1年かけて段階的に」テストしていく機能として、以下を挙げています。
・Gmailの草稿作成、返信、要約、優先順位付け
・Docsでのブレインストーミング、プルーフリード、執筆、加筆
・Slidesで自動生成画像、音声、動画を使い、クリエイティブなビジョンを具体化
・Sheetsでの自動補完、数式生成、文脈加味の分類による、生データからの洞察、分析
・Meetでの背景生成、メモ作成
・Chatで、物事を処理するためのワークフロー作成
そんなGoogle Workplaceの新機能、ぜひ使ってみたいですよね。
ただ残念ながら、これはGoogle Workplace、つまり法人ユーザー向けなんです。しかも使えるのはGoogle Workplace全ユーザーじゃなく、最初は「信頼できるテスター」のみに「今後数週間でロールアウト」していくそうです。
また生成AIが使われる範囲も、実際にすぐ始まるのはGmailとGoogle Docsでの文章作成だけ、とのこと。なので最初はごく一部の人が、そんなに華々しくない感じで、でも便利だね、くらいのイメージになりそうです。
生成AIにかける意気込み
でも、今回Googleが発表したのはGoogle Workplaceだけじゃありません。デベロッパー向けには、Googleの生成AIにアクセスできる「PaLM API」やそこで使えるツール群「MakerSuite」、そしてGoogle Cloud上で使える生成AI機能などが、一部限定ながら公開になりました。
ただ、その一部限定ってあたりが少し気になります。Google Workplaceにしても、動画とかブログに描かれてることはかなり前のめりなんだけど、実際の提供の仕方はもっとこぢんまりと、慎重に進めてる印象がやっぱり拭えません。
発表のブログでも、「Googleでは大規模言語モデルを責任ある形で開発しており、安全な製品化を…」とか書かれていて、たしかに大事なことなんでしょうけど、裏を返すと「リスク取りたくないから、ガンガン公開しない」ってことかなと勘ぐってしまいます。
とはいえ、全体的にGoogleとして、AIでは絶対負けたくない!という強い思いは伝わってくるかと思います。Google I/Oまであと2カ月を切りましたが、そこでもきっと何かしら生成AI系のネタが仕込まれていることでしょう。あと気になるのは、上の動画もAIによる生成なのか、手作りなのかってことくらいですね。