崩壊したアレシボ電波望遠鏡、生まれ変わる

GIZMODO

アメリカ国立科学財団(NSF)は先週、惜しくも崩壊したプエルトリコのアレシボ電波望遠鏡の跡地に、STEMに注力した教育センターを作ること、そしてこの新プロジェクト運営に関する企画案を募集していることを発表しました。

NSFのリリースによると、このセンターはアレシボ天文台の既存の教育プログラムから発展したものとなり、2023年の開館を予定しているようです。

この決定は、2年前のアレシボ電波望遠鏡の崩壊を乗り越えるための大きな一歩と言えるでしょう。

数十年にわたって惑星科学と地球外知的生命体探査を支えた望遠鏡は、あまりにも悲惨な最期を迎えました。2020年、アレシボ電波望遠鏡の球面反射面は4カ月かけて破損していったのです。望遠鏡の補助ケーブル2本が反射面に落下して甚大な被害をもたらしたのが始まりでした。その時点では、構造を安定させられる展望がありました。

しかしNSFは即座に方針を変えます。修復不可能な状態だと判断し、望遠鏡の象徴的な口径305メートルの反射面の解体を発表したのでした。

発表から間もない2020年12月1日、恐れていた事態が発生。吊り下げられていた900トンのプラットフォームがその真下にある反射面に落下し、かつて単体の電波望遠鏡として世界最大だったものは崩れ落ちたのです。衝撃的な様子は動画に収められています。

NSFの報告書によると、崩壊した反射面の撤去費用は5000万ドルにのぼる可能性があるそう。新たな教育センターのコストは500万ドルだと、AP通信は報じています。センターはSTEM教育と研究の推進、STEMへの参加の拡大、そして新たなパートナーシップとコラボレーションを築きながら既存のものを拡張する、といった目標を掲げています。

NSFの数学及び物理学部門の部長補佐Sean Jones氏はAP通信にて、望遠鏡を再建しない判断は実施されていた作業を部分的におこなえる別の電波観測施設が米国内にあることに基づいたものだと語りました(アレシボは57年間の運用で、電波天文学において数々の功績を残しています)。

NSFの募集には、12メートルの電波望遠鏡やLIDAR施設などのアレシボの運用中の科学インフラへの支援は含まれていません。今後施設を利用したい研究者は、新センターのプログラムを補助する内容を含むプロジェクトであれば新しく提案できるそう。

形は変われど、これからも科学分野の発展に貢献していく。次世代の教育の場として生まれ変わらせるのは名案ですね。

Source: National Science Foundation, AP,

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