ウォルマートの広告プラットフォームに投資するブランドが増加:急成長を支える機能拡張の中身

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ウォルマート(Walmart)の新しくも急成長している広告事業であるウォルマートコネクト(Walmart Connect)は、今回のホリデーシーズンで大きく飛躍した。

eコマースソフトウェアプラットフォームのパックビュー(Pacvue)が発行した最新のレポートによると、2022年第4四半期に、ウォルマートの各種のスポンサー付き広告ユニットによる広告支出は、2021年の同期間よりも31.5%も増加した。さらに、クリックスルー率も前年比で2倍以上になった。パックビューによると、この広告支出の増加のなかで、各ブランドは4四半期ではじめて、CPC(クリック単価)の増加も体験した。

ウォルマートは、2021年に自社のリテールメディア部門をウォルマートコネクトに改称して以来、広告ビジネスを成長させるためのさまざまな動きを見せてきた。同社が第2四半期の頭にセカンドプライスオークションに移行したことで、出品者は広告の効率を向上させ、投資回収率を高められるようになったと、あるリテールメディア広告の専門家は米モダンリテールに語った。別の専門家は、ウォルマートのサードパーティーマーケットプレイスの出品者数の増加、新しい広告ユニット、および広告プラットフォームの自動化の推進が、この成長に貢献した可能性があると付け加えた。

セカンドプライスオークションへの移行が転機に

最新の四半期で、レガシーリテーラーである同社のウォルマートコネクト事業は40%増加した

ティヌイティ(Tinuiti)のマーケットプレイス戦略サービスのディレクターを務めるスチュワート・クレイ氏は、セカンドプライスオークションへの移行が「間違いなくゲームチェンジャーとなった」と話す。

6月以降、セカンドプライスオークションが開始されたあとで、同社のクライアントのいくつかはROAS(広告出資の回収率)が劇的に向上するとともに、CPCが50%も減少したと、クレイ氏は語る。「効率性に雲泥の差があった」と、同氏は述べている。

「これは、2022年の第3四半期近くに起きた。そして、これによって一部の出品者は、もう一度やってみようと思うようになった。または、予算を費やして再度試みようと活気づけられることになった」と、同氏は付け加えている。

スポンサードサーチの拡張

ウォルマートコネクトの商品マーケティングのシニアディレクターを務めるウォルマートのスザンナ・リー氏は、電子メールによる回答の中で、広告への支出増加の原動力のひとつとして、同社が昨年行ったスポンサードサーチ(Sponsored Search)機能の拡張を指摘している。

「これらのスポンサードサーチ機能の拡張と、その結果として広告主向けのパフォーマンスが強化されたこと、そしてセルフサービス機能の拡充が、第3四半期のスポンサードサーチへの広告支出を促進したと当社は考えている」と、リー氏は述べる。ウォルマートの会計年度第3四半期は10月28日に終了し、第4四半期の決算はまだ発表されていない。

ウォルマートが最初にスポンサードサーチ広告を開始したのは2013年後半のことで、最初はサードパーティーのパートナーを経由して行われ、その後、2015年に社内プラットフォームで運用が開始された。「スポンサードサーチは、今もウォルマートコネクトの中核的なサービスで、当社はこのサービスを、イノベーションと進化の両方により成長させ続けていく」と、リー氏は付け加えている。

広告主へのプレッシャー

昨年、ウォルマートの広告ビジネスは、スポンサードブランド(Sponsored Brands)と呼ばれるウォルマートのプレミアムなキーワードターゲティングによる検索連動型広告表示の開始によっても急成長したと、eコマース代理店のコマースキャナル(Commerce Canal)の創設者であるライアン・クレイバー氏は語っている。

スポンサードブランドは、ブランドのロゴと、最大4つの選択された商品が含まれる広告ユニットで、関連する検索結果のリストの上部に、バナー広告の形で表示される。これは、以前にスポンサード・ブランド・アンプリファイアー(Sponsored Brands Amplifier)と呼ばれていた広告ユニットをリブランディングしたものだ。この拡張された広告ユニットは今年、さらに多くの出品者に向けて運用が開始された。

「第4四半期以前は、ウォルマートでバナーベースの広告を買うことはできなかった。スポンサードブランドのキャンペーンは通常のキャンペーンよりもはるかに高価なものだ」と、クレイバー氏は述べている。

これらの投資の結果、ティヌイティの今後発表される2022年第4四半期のデジタル広告ベンチマークレポート(Digital Ads Benchmark Report)のデータでは、2022年の第4四半期におけるウォルマートの検索連動型広告への投資すべてのうち11%がスポンサードブランドの広告に充てられ、これは2021年の第4四半期の7%より増加している。

しかし、新年を迎えてより大きな経済的不透明感が発生していることから、これらもろもろの増加した投資にもかかわらず、広告主はこれらの広告ユニットが的確に機能することを示すよう、さらに強い圧力を受けている。これに対してクレイ氏は、スポンサードプロダクト(Sponsored Products)のようなボトムオブファネルの広告ユニットに予算を移行する販売者が増えていると述べる。「各ブランドは、目標を調整する必要があるため、たとえば、ある予算の一部を、収支決算におけるリターンの効果を実際に確認できるような広告ユニットに振り分けている」と、同氏は述べている。

Amazonとの検索ワードの違い

クレイ氏もクレイバー氏も、ウォルマートコネクトにもっとも多くの広告予算を費やしているブランドに、CPGブランドが含まれることに関して同意見だ。ウォルマートは2022年の2月、はじめて、メディアおよび広告事業からの収益を発表し、合計金額が21億ドル(約2730億円)、年間収益の約1.4%であることを明らかにした。

ティヌイティのマーケットプレイス戦略サービスのシニアディレクターを務めるエリザベス・マースティン氏は、ウォルマートでもっとも検索されるキーワードのいくつかは、ミルク、パン、卵などの消費財だと語る。「これは、Amazonとの戦いにおけるウォルマート最大のゲームチェンジャーだと、私は考える」と、同氏は付け加えている。

今後について、ウォルマートはこれらの広告の機会のうちいくつかを優先的にスケールアウトするだろうと、クレイ氏は語る。「2023年にもっとも多くの機会があるのは、同社のディスプレイの機会を拡大することだと考える。あとは、シンプルにブランドの構築だ」と、同氏は付け加えている。

ウォルマートコネクトのリー氏は、2023年に向けた大きな焦点は、ブランドや出品者が顧客とより多くのつながりを持てるよう支援することだと付け加えている。「小売業界にとって、現在は極めて変化の激しい時期だ。当社は、当社の広告主が現在直面している課題にも留意している。そのため、広告主が広告に費やしたすべての資金を有効活用し、データからさらに深遠な見識が得られるよう、支援する方法を優先していく」と、同氏は述べている。

[原文: More brands are investing in Walmart’s advertising platform]

VIDHI CHOUDHARY(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)

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