マーケターの大多数、 CDP を理解できず不満も:「100以上のCDPが、すべて違うことを提案してくる」

DIGIDAY

ある調査から、第1世代のCDP(カスタマーデータプラットフォーム)を購入しているマーケターのなかで、その購入が目的にかなっていると思っている割合は10%だけであることがわかった。CDPが将来の要件にも耐えられると思っている割合はさらに少なく、わずか1%だった。

マーケターの66%がCDPを「戦略上の優先事項」と分類しているものの、その多くがCDPは要件を満たしていないと感じている。この問題の発端として各消息筋は、CDPの諸機能をめぐる混乱によって助長されたマーテクプロバイダーの自己認証を挙げている。

この結果は、マーケティングテクノロジープロバイダーのゼタ・グローバル(Zeta Global)から依頼を受けてフォレスター・コンサルティング(Forrester Consulting)が作成し、今年5月17日に発表されたレポートのなかで明らかにされている。同レポートによると、マーケターはデータ管理がCDPの機能のなかでもっとも重要であると確信する一方で、さらなる機能の充実を求めるようになっているという。

たとえば、データを分析してインサイトを導き出す機能や、メッセージのパーソナライズを含めたキャンペーンのカスタマイズする機能、全チャネルのパフォーマンスを測定する機能など、マーテクプロバイダーの製品も必要とされている。

「メールの相談をしていてもCDPの話になる」

このレポートの結果が示すのは、マーテクプロバイダーが提供するサービスの保証と実績のあいだで広がるギャップだと、ゼタのCTO兼プロダクト部門責任者、クリスチャン・モンバーグ氏は述べている。これはマーケティング業界の現状に巣くう複雑さの副産物だと同氏は指摘する。

フォレスターは300を超える消息筋に質問を行い、この結果を導き出した。モンバーグ氏は、企業が平均で3つ以上のCDPを利用していることを示す別の調査結果を引き合いに出し、データ統合が必要とされるときに、いかに多くの企業がそのデータをサイロ化しているのかを物語る証拠だと話す。さらに、CDPと一般に分類される既存技術の多くが、タグ管理エコシステムとデータ管理プロバイダーから進化したものであることについても触れている。後者はサードパーティCookieの減少によって脅かされているエコシステムの一角を形成している。

「私個人が顧客からよく聞くのが、ニッチなソリューションプロバイダーが数多く存在するという話だ」と、モンバーグ氏は補足する。「問題の解決を試みるマーケティングプロバイダーは、ショッピファイ(Shopify)などからデータを取り出して、Googleアナリティクス(Google Analytics)に入力する。おそらくは、そのソリューションが成長してCDPの分類になったのだろう」

この分野の進化が意味するのは、マーケターとマーテクプロバイダーの両者がマーケティングクラウドを構築したが、そうしたプラットフォームの機能不全につながる「一連のギャップ」を抱えているという事実だ。

「CDPに関するRFP(提案依頼書)が増えているという話を顧客から聞いている」と、モンバーグ氏は語る。総合的なサービスの提供を求める潜在顧客が増えてきているという。「どの顧客と話していても、やがて話題はマーケティングクラウドとCDPへと変わっていく(中略)メールのことで相談にやってきた人も、2週間もすると、メールに加えてCDPのサービス提供を求めるようになる。いうまでもないことだが、顧客を一元的に理解することなく、マーケティングを行うことなど不可能だ。それが結論だ」。

プライバシー規制がテクノロジーを分裂させ、混乱を広める

オンライン活動の改善に取り組むマーケターをサポートするコンサルタント企業、カントン・マーケティング・ソリューションズ(Canton Marketing Solutions)の共同創業者、ロバート・ウェブスター氏によれば、その不満の多くは、2010年代の初めから半ばにかけて、大手マーケティングクラウドプロバイダーによって行われた投資に端を発しているという。

だが、これらテクノロジーの多くは、ますます厳しさを増すデータプライバシー法のため機能しなくなっており、DMP(データマネジメントプラットフォーム)などの技術は冗長であり、すぐさま登場した代替ソリューションの数々も要件を満たしていない。

またウェブスター氏は、マーテクサービスがその価値をアピールするためには、それを推進するためにファーストパーティデータが不可欠だが、必ずしもすべてのブランドがそれを保有しているわけではないと指摘する。「DMPの世界では、必要なのはウェブサイトのタグだけだった。それがあれば動作した」と、同氏は語る。「だがCDPの場合、ユーザーが本人の登録データでサインアップしてくれないかぎり、ほとんど何もできない」。

さらにウェブスター氏は、多くのマーケターがCDPに不満を抱いていることに関するもうひとつの重要な要因として、高度なデータ分析、さらには洗練されたメディアバイイング技術などの分野における業界全体のスキル不足にも言及している。

「これがストレスと混乱の原因になっている。CDPの数は100を超えているが、どれもが違うことを言っては、極めて高額の費用を請求してくる」と、同氏は語る。それだけの価値はあると広く認識されているカスタマーサポートを用意しているCDPなど、市場にはほとんど存在しないという。「購入してはみたものの、それで何をすればいいのかがわからなければ、不満を抱くのは当然だ」。

ないに等しい基準と不足するコミュニケーション

米DIGIDAYが取材したどの消息筋も口にするのは、CDPの構成要素とはいったい何なのかをめぐって広まる混乱だった。彼らの多くは、それが単なるポイントソリューションのプロバイダーであれ、包括的なマーケティングクラウドのプロバイダーであれ、マーテクベンダーはこの無知に乗じていると述べている。

「CDPという言葉が意味するものは人によって異なる」と、アクションIQ(ActionIQ)のCEO、タッソ・アーガロス氏は指摘する。ある人はそれをこのカテゴリーのなかで「顧客データのデータレイク」に分類し、またある人は「高級なウェブタグマネージャー」に分類するという。

「CDPプロジェクトが失敗する最大の理由は、CDPの定義の欠如と、要件に関する明確さの欠如だ」と、アーガロス氏はいう。この分野には、目的にかなうサービスの提供に必要な膨大な量のデータを処理できるベンダーなどほとんどいないという。

同セクターでなじみの名前の多くは、何年も前から「CDPソリューション」を販売してきたが、その多くは使い回しの不完全な技術で、「スライドでの見栄えこそいいが、顧客の期待に応えたためしがない」ことは「業界人なら誰もが知っている」と、同氏は補足する。

CDPを押しつけられている?

一方、CDPインスティチュート(The CDP Institute)の創設者、デビッド・ラーブ氏は、サードパーティの検証を必要とする同組織の「リアルCDP(RealCDP)プログラム」は、ベンダーが認定を得るのに必要な基準を6つ設けていると話す。

以下がその6つの基準だ:

  • どのソースからもデータを取り込むことができる
  • 取り込んだデータの全詳細を捕捉できる
  • 取り込んだデータを無期限で保存できる(プライバシー法の制約下において)
  • 識別された個人の統合プロフィールを作成できる
  • それを必要とするどんなシステムともデータを共有できる
  • 新規データ、プロフィールリクエストにリアルタイムで対応できる

ラーブ氏によれば、マーケティングチームの多くはCDPを、ITチームや、場合によっては調達部門から押しつけられている可能性があるという(ゼタのモンバーグ氏もこれを指摘している)。そして、それに続くコミュニケーションとスキルの不足によって、実行率の低下やフラストレーションの蔓延が生じるおそれもあるという。

「技術そのものではなく、その実装に問題があることもある」と、同氏は語る。「たとえば、こんなシナリオが考えられる。CDPに興味を覚えた組織内の誰かが、プロジェクトチームを招集してCDPの購入に動く。ところが、それを実際に使う人たちのほとんどが、そのプロジェクトには関わっていない。そのような場合、彼らの口をついて出てくるのは、こんな不満だ。『いったいこれは何なんだ? こんなもの頼んでもいないのに。いったいどうやって使えばいいんだ?』」

[原文:The vast majority of marketers are unhappy with their Customer Data Platforms, but then again, not many are sure what they really are

Ronan Shields(翻訳:ガリレオ、編集:分島翔平)

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