EUの「チャット規制法」でLinuxなどのオープンソースOSが違法化してしまう可能性大

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欧州議会では、メールやチャットサービスの提供者に通信内容の監視を義務付ける「チャット規制法」が議論されています。このチャット規制法について「規制対象がオープンソースOSのパッケージ管理システムにも及んでおり、既存のOSが違法状態になる可能性がある」という懸念が指摘されています。

EUR-Lex – 52022PC0209 – EN – EUR-Lex
https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=COM:2022:209:FIN


EU chat control law will ban open source operating systems – Blog | Mullvad VPN
https://mullvad.net/en/blog/2023/2/1/eu-chat-control-law-will-ban-open-source-operating-systems/

チャット規制法は2022年5月に欧州議会に提出された法案で、メールやチャットサービスの提供者に対して「通信内容の常時監視」「年齢確認の実施」などを義務付けることを目的としています。この法案では通信暗号化の有無に関係なく通信内容を監視することが求められるため、「プライバシーの侵害につながる」「虚偽の報告による誤審のリスクが高まる」といった理由から法案に反対する声も多く寄せられています。

チャット規制法の問題点は、「法案の規制範囲が広すぎる」という点にもあります。法案ではメールやチャットサービスの提供者だけでなく、アプリケーション配布プラットフォーム(software application stores)も規制対象となっており、該当プラットフォームにも年齢確認や年齢制限を義務付けています。


「アプリケーション配布プラットフォーム」と聞くと、App StoreやGoogle Play、Microsoft Storeといったプラットフォームが思い浮かびますが、法案ではアプリケーション配布プラットフォームを「ソフトウェアやアプリケーションに焦点を当てたオンライン仲介サービス」と定義しています。このため、オープンソースのVPNシステムを提供する「Mullvad VPN」は、「多くのLinuxディストリビューションが提供しているパッケージ管理システムもチャット規制法の規制対象となる可能性がある」と指摘しています。

Linuxディストリビューションで採用されているパッケージ管理システムは、ユーザーの要求に従ってアプリケーションをダウンロードするように設計されており、ユーザーの「年齢」「性別」「利用地域」といった情報を収集するようには設計されていません。このため、チャット規制法に適合するためにはシステムの再設計が必要ですが、システムの再設計には多大なコストがかかるため、コミュニティによって開発されているオープンソースOSがチャット規制法に適合することは現実的ではありません。

Mullvad VPNは「チャット規制法が施行された場合、インターネット上のサービスやインフラストラクチャーの大部分を支えるオープンソースOSが違法となってしまいます」と述べ、チャット規制法に異を唱えています。

なお、欧州議会におけるチャット規制法の裁決は2023年10月に実施される予定です。

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2023年02月02日 23時00分00秒 in ソフトウェア, Posted by log1o_hf

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