時計マーケットプレイス の躍進:ヨーロッパの高級ブランドとアジアの消費者をつなぐ

DIGIDAY

香港の人口は700万人だが、高級時計の売上においてはあらゆる指標で米国を上回っている。香港を拠点とする時計マーケットプレイス、リストチェックの創業者兼CEO、オーステン・チュー氏は、香港とアジアのほかの地域全体での高級時計に対する桁外れの需要はスイスの時計会社に注目されていると述べている。

香港の人口は700万人だが、高級時計の売上においてはあらゆる指標で米国を上回っている。この小さな島で1年間に販売される時計の数と金額は人口3億人の国よりも多いというわけだ。

スイス時計市場にとって重要なアジア

香港を拠点とする時計マーケットプレイス、リストチェック(Wristcheck)の創業者兼CEO、オーステン・チュー氏は、香港とアジアのほかの地域全体での高級時計に対する桁外れの需要はスイスの時計会社に注目されていると述べている。

チュー氏は「スイスのどの時計ブランドからも望まれている一番の顧客はアジア人だ」と述べ、スイス時計協会(the Federation of the Swiss Watch Industry)によるとスイス時計の輸出の50%をアジアが占めていることを指摘している。

高級時計マーケットプレイス、リストチェックの躍進

リストチェックはヨーロッパの時計メーカーと成長を続けるアジアの時計消費者のあいだのゲートウェイとしての地位を確立しており、それは同社の急速な成長に貢献している。創業はわずか2年前だが、過去12カ月間で委託時計の総額は前年比で75%増加し、現在では合計で約8000万ドル(約103億円)に達している。パネライ(Panerai)、ロレックス(Rolex)、パテック フィリップ(Patek Philippe)といったブランドの高級時計のみを販売している。また、委託者の数は年間で127%増加している。バイヤーの大部分(約60%)はアジア在住で、残りはヨーロッパ、中東、北米に均等に分散している。チュー氏は、マーケティングではグローバルマーケットプレイスとして自社をブランディングしており、最終的にはアジア内外での売上を50対50と均等にすることを目指していると語っている。主にアジアの顧客ベースが想定されており、同社サイトの主要通貨は香港ドルがデフォルトになっている。

リストチェックは、1月17日(火曜日)、中国の投資家、ゴビパートナーズ(Gobi Partners)とアリババ創業者基金(Alibaba Entrepreneurs Fund)が主導する800万ドル(約10億円)の最初の資金調達ラウンドを発表した。

リストチェックはブランドと直接提携し始めているが、これは時計委託販売プラットフォームとしては珍しい。リストチェックは、10月、世界最大の時計ブランドの1社であるオーデマ ピゲ(Audemars Piguet)の有名なロイヤルオーク(Royal Oak)ウォッチを再デザインするために、同社と共にオープンデザインコンペを主催した。審査はチュー氏とオーデマのCEO、フランソワ=アンリ・ベナミアス氏が担当した。

米国のウォッチボックスも中国市場に注力

ほかの時計再販業者も同じ理由から中国に特に注目している。ペンシルバニアに本拠を置くウォッチボックス(WatchBox)は、9月、英国のオークションハウス、フィリップス(Phillips)の中国の元時計ディレクターであるアンディ・ジャン氏を、新設したウォッチボックスの中国部門のCEOとして採用した。ジャン氏は上海からウォッチボックスの市場拡大を主導する。

ウォッチボックスのグローバルCEO、ジャスティン・レイス氏は、「当社のグローバル拡大戦略は高級時計セグメントの強力な成長が予測される地域をターゲットにしている」と述べている。同氏は、スイス時計協会によると中国の高級時計の輸入は昨年記録的な水準に達したと言及している。

若い顧客層へのアクセスを提供するリストチェック

しかし、チュー氏によると、リストチェックには別の顧客層があり、それゆえに時計ブランドがリストチェックとの協働を熱望しているという。同社の顧客の40%以上が30歳未満なので、高級時計小売業者の大部分が発見に苦労している若い層へのアクセスが提供されるのである。

チュー氏は次のように述べている。「言うまでもなく、世界の平均的な高級時計の購入者は30歳未満ではない。我々は次世代の時計愛好家の獲得を目指している」。

[原文:Watch marketplaces are racing to connect European brands with Asian consumers

DANNY PARISI(翻訳:ぬえよしこ、編集:山岸祐加子)


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