バイブレーター にとってビッグイヤーとなった2022年。CVSとターゲットでの販売に極右の専門家たちが立腹

DIGIDAY

これまで大手小売店の片隅にひっそりと置かれていたセックストイが、人目を引く場所に陳列されるようになり、右派の専門家や議員たちは大きな衝撃を受けている。

2022年12月12日、レイトナイトトークショーの司会者ジミー・キンメル氏は番組のモノローグで、共和党下院議員マージョリー・テイラー・グリーン氏の最近の発言を揶揄した。10日夜、若い共和党議員の祝賀会にてグリーン議員は、出席者に向かって「最近ではターゲット(Target)やCVSでバットプラグやディルドを手に入れられる」と述べたのだ。この事実は保守派のキャスター、タッカー・カールソン氏がもたらしたもので、その前の晩にカールソン氏の番組では、CVSでセックストイが販売されているという事実にスポットを当てたコーナーを放映していた。その結果、その週のTwitterではユーザーがそうした態度は清教徒的だとこぞって嘲笑し、「CVSとターゲット」というトピックがトレンドになった。

セックストイにとってビッグイヤーとなった2022年

この10年間、大手小売店でセックストイが販売されるのは特にめずらしいことではなかったが、この1年でインティマシー製品関連のスタートアップが次々と登場し、そうした製品にまつわるタブーを打ち破る方向へと大きく前進している。

2022年は、セックストイが注目されるようになった「ビッグイヤーだった」と語るのは、インティマシーブランドのブルーミ(Bloomi)のCEOで共同創業者のレベッカ・アルバレス・ストーリー氏だ。3月、同ブランドはバイブレーター、潤滑剤、ボディオイルを含むフルコレクションを全米のターゲット1000店舗にローンチしている。

「セックストイが小売店に並ぶのは、いまではごく普通のこと」と彼女は言う。「でも2、3年前はそうではなかった」。

タッカー・カールソン氏の番組でCVSで販売している製品が取り上げられたセクシャルウェルネスブランドのケイク(Cake)も、2021年のウォルマート(Walmart)4000店舗への導入に続き、今年はターゲットにローンチしている。

美容小売業者も今年はセックストイの仕入れラッシュに参入、アルタ・ビューティ(Ulta Beauty)とセフォラ(Sephora)の両社は2022年に初めてバイブレーターを発表した。アルタ・ビューティはインティメイト・ウェルネスのセクションを 9月にオンライン限定でローンチし、一方セフォラは2月にシックなバイブレーターブランドのデイム(Dame)をラインアップに加えている。これらの小売業者は、2021年に95ドル(約1万2900円)のバイブレーターを紹介したグープ(Goop)に続く。

過去10年間の大型小売店のバイブレーターの品揃えは、店に置いてあったとしても一般的に限定的であり目立たなかったと、ストーリー氏は言う。彼女いわく「今年になるまで、セックストイのフルコレクションを目にしたことはなかった」。ブルーミのコレクションはスタイリッシュなブランディングが特徴で、小売店ではセクシャルヘルスのコーナーの棚で存在感を放つ。

セクシャルウェルネス関連製品は、ロックダウン中に売上が急増し、2020年にオンラインでのカテゴリーが大きく成長したことを受け、今年になって小売店での取り扱いが拡大した。小売業者や投資家がこの分野を重要な成長カテゴリーと見ていることが、「これらの製品を日常の製品として正常化させる進化」を牽引しているとストーリー氏は指摘した。「いまではターゲットに行けば、食品、美容製品、そしてプレジャーアイテムを買えるようになった」。

CVS、ターゲット、ケイクからはコメントをもらえなかったが、セクシャルウェルネス製品が小売店で販売されていることに対する右派の批判に対し、ブルーミではソーシャルチャネルやeメールで声明を出す予定だとストーリー氏は述べている。

セックストイは批判し、銃やタバコは支持するのか

こうしたアイテムが小売店に並ぶことへの保守派による批判は、銃やタバコのように身体に害をもたらす製品の販売を支持する姿勢を示していると、Twitterのコメントでは指摘されている。カールソン氏は、CVSのセックストイに関する番組コーナーで、「だが、マルボロ(Marlboro)を売るのは不道徳なのだ」と発言した。彼は以前にも自分の番組で、2019年に拳銃と弾薬の販売を中止した(のちに撤回ウォルマートを批判するコーナーを放送している。一方、グリーン議員も銃規制には反対の声明を出しており、小売店でのセックストイについては、スピーチで「どうしてこんなことになっているのかわからない」と述べている。

「自分のキャリアを通じて、セックストイにかなり反対の人たち、私たちを阻止しようとする人たち、そして危険なレトリックや主張をする人たちから、非常に保守的で、ほとんど危険な考え方に遭遇してきた」とストーリー氏は語る。「そうした人々は、私たちの健康やメンタルヘルスに害を及ぼしている」。

これらの製品に右翼が与える烙印は発言だけにとどまらない。現在アラバマ州ミシシッピ州ではセックストイの販売が禁止されている。テキサス州では2008年に禁止令が覆されたが、2004年にテキサス州の郊外に住む43歳の母親が、セックストイを販売した罪で逮捕されている。

セックス・ポジティブへと大きな変化を

「セックスに肯定的でない政治家のコメントを聞くと、政治的には私たちと意見が一致していないだけでなく、共通モラルもないことがわかる。しかし、それはまたそうした政治家たちは現在起きていることを理解していないという点も示している」とストーリー氏は述べた。

既存のスティグマと戦うために、ブルーミは「セックス・ポジティブに向けて大きな変化をもたらすこと」に注力している。ストーリー氏は、文化的な進歩を目にしているという。

「もはや隠す必要もなければ、買い物するときに居心地の悪い思いをする必要もない。もちろんまだ気まずい気分になる人もいるが、私たちは楽しい体験となるようにしようとしている」。

[原文:Vibrators’ ‘big year’ at CVS and Target irks far-right pundits]

LIZ FLORA(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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