6人の大家族でも「ワーケーション」は楽しめるか?–北海道ニセコ町での体験レポート

CNET Japan

 ニセコ町がモデル事業として取り組んでいるワーケーション。前回は、その企画背景や実施に向けた思いなど、現地で伺った関係者の声を取り上げた。今回は2021年の年末にニセコ町に1週間滞在し、どのようなワーケーション体験ができたのか詳しくご紹介しよう。

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 なお、私はスポーツが趣味で、主にマラソンやトライアスロンに取り組んでいる。仕事では指導する側の立場でもあり、ワーケーション中も“運動する”ことは必須だ。また、幼稚園児から中学生まで4人の子どもを持つ、いわゆる大家族でもある。そのため、子連れでのワーケーションに興味のある方も、ぜひ参考にご覧いただきたい。

 
筆者は幼稚園児から中学生まで4人の子どもを持つ6人家族

ワーケーション先までの移動手段と2つの宿泊先

 私は千葉県印西市に住んでいるので、まず移動は成田空港へ。LCCのPeach Avitationを利用して新千歳空港へ向かい、さらに高速バスでニセコ町に入った。バス移動は約3時間。高速バスはWi-Fiが備わっているので、移動中も仕事させてもらった。なお、札幌からニセコ(倶知安)まで新幹線の開通が予定されているそうで、これが実現すれば約30分に短縮される。

 
 
 
 

 今回のワーケーションでは2カ所の宿泊施設を使用した。最初の4泊は「ニセココテージボンゴ広場」、そして最後の2泊はスキー場が目の前にある「LODGE MOIWA834」だ。

 ボンゴ広場で泊まったのはキッチン付きのログハウスコテージ。ちょうど12月24日からの滞在だったこともあり、子どもたちはコテージを見て「クリスマスっぽい!」と大興奮だった。大人数だと滞在中の食費もかさむし、ホテルなどでは騒ぎ声なども気になるので、コテージ滞在は非常に嬉しい。また、詳しくは後ほどご紹介するが、いろいろな現地食材を購入して調理するのも楽しみの1つになる。

 
「ニセココテージボンゴ広場」
 
 

 屋根裏が寝室になっているのも子ども心をくすぐったようだ。なんと、小学1年生の三男が率先して全員の布団を敷いてくれた。室内はストーブで暖かく快適。まさにイメージ通りの“雪国の生活”を満喫できる。

 一方で中学2年生の長男は、屋根に大きな氷柱を見つけては、雪をかき分けて折っていた。何に使うわけでもないのだが、それを見ている小5次男や三男も大喜び。確かに彼らにとって、氷柱すら初めての体験である。宿にいるだけで楽しめる、これだけで「連れて来てよかった」と感じられた。

 
 

 コテージとは全く環境が変わり、LODGE MOIWA834はいわゆるカプセルホテル。基本的に部屋は“寝るだけ”の仕様だが、ちゃんと6人家族でも泊まれる広い部屋も用意されている。モイワスキー場が目の前なので、スキー好きにはたまらないだろう。娘は「寒い」と雪より暖かさ優先だが、三兄弟はすぐさま外で雪遊び。それを見ながら仕事するのも、なかなかに充実したワーケーションと言えるのではないだろうか。

 
「LODGE MOIWA834」
 
 

 薪ストーブのある広いラウンジがあるので、寝る時間以外はこちらでゆったり過ごせる。そのため、カプセルホテルでも特に不便は感じなかった。なお、部屋以外にスキー/ボードロッカーがあるので荷物が多くても安心。コインランドリーも設けられているため、長期滞在でも苦にならないだろう。私たちは家族連れということでボンゴ広場の方が気に入ったが、単身あるいは数名なら十分に快適と言える。

 
薪ストーブのある広いラウンジ
 
 

小さな子どもも楽しめるアクティビティが満載

 それでは1週間の滞在中、体験したアクティビティなどをご紹介しよう。これだけ年齢がバラバラな大人数だと、“ちゃんと同じ場所で楽しい時間を過ごせるのか”はとても重要になる。実際のところ、特に妻はこれをとても心配していた。

 初日は移動で夕方になってしまったので、2日目の朝からワーケーションにあたり実施された顔合わせのガイダンス。ワークスペースでもある、ニセコ中央倉庫群の旧でんぷん工場で行われた。スケジュールの確認や周辺情報などを教えていただく場だが、小さな子どもたちがずっと大人しくしていられるわけもない。最初こそ一緒に座って話を聞いているが、すぐに「遊びたい」と言い出す。

2日目:ガイダンス中も遊ぶ!
2日目:ガイダンス中も遊ぶ

 しかし室内には、これを見越したかのようにキッズスペースが。本やおもちゃが置かれているほか、文字探しなど子どもを飽きさせない工夫が施されていた。たまに遠くから「一緒に遊ぼう〜」と呼ばれるが、お陰でじっくりお話が伺えた。雪や雨で外遊びできない日なども、ここに来ればだいぶ満足させられそうだ。

 
 
 
 

 室内遊びに飽きれば外に出れば良い。周囲にはたくさんの雪が積もり、それだけで大満足の遊び場になっている。ソリに乗ったり雪にダイブしたり、屋根から落ちそうな雪の塊を雪玉で撃ち落としたり。気が付けばオリエンテーション後、1時間以上も外で遊び続けてしまった。

 
 
 
 

 ニセコ中央倉庫群には、多目的に使用できる広々とした倉庫がある。中に入ると大きなテントにスクリーン、そして遊具が設置されていた。3日目はこちらの倉庫を貸し切り、朝から夕方まで過ごさせていただいた。

映画鑑賞&マカロニ工作
映画鑑賞&マカロニ工作

 こちらでは映画鑑賞したり遊具で遊んだり、思い思いの時間を過ごすことができる。広いスペースを活用し、三男はスケボーに初挑戦していた。私も一緒に遊んだり、たまに様子を見ながら仕事したり。思い切り身体を動かして遊べる室内施設は、特に育ちざかりの子どもを持つ家庭にとって嬉しいポイントとなるだろう。危ないものもないので、自由に遊ばせながら妻もゆっくり過ごせたようだ。

 
 
 
 

 さらに国際交流員の方々がいらっしゃり、みんなでマカロニを使った工作も。作り方を教わりながら、みんな熱心に思い思いの飾りを作っていた。ちなみに一番熱中していたのは……恐らく妻だろう。私は仕事していたが、かなりこだわっている様子で完成品を見せてくれた。子どもだけでなく、大人も一緒になって楽しめるアクティビティがあるのはありがたい。制作物は今も自宅の壁に飾ってあるし、良い思い出になった。

 
 
 
 

 冬のニセコと言えば、やはりスキーだろう。今回のワーケーションでもバケーション部分のメインとなり、4・5日目を使って存分に楽しんだ。長男と次男は私と一緒にスキー、三男と幼稚園児の娘は妻と雪遊び。ただ、初日すぐに三男も「スキーやってみたい!」と言い始め、午後からはスキー組に加わった。

 次男と三男は人生初。長男も学校のスキー教室には行ったことがあるものの、横歩きだけで発熱して帰宅した経緯があるのでほぼ初体験である。そういう私も実に20年以上ぶりのスキー、やはり家族だけでは不安だ。しかし今回、なんと贅沢なことにインストラクターが付き、しっかりレッスンを受けながらのスキー体験となった。

パウダースノーのスキー体験
パウダースノーのスキー体験
 
 

 子どもの成長は本当に速いもので、短い時間でもめきめき上達する。ニセコといえば“パウダースノー”が有名で、転んでもサラサラした雪はまったく痛くない。だからこそ思い切り失敗できるし、特に転びながらも果敢に攻めの姿勢で学んでいた。なお、ニセコには数多くのスキー場があるが、今回利用したのはモイワスキー場。こちらはコース数こそ少ないが、初心者向けで利用料もリーズナブルなのだとか。スキー初心者や「仕事しながらたまにスキーも楽しみたい」という方にはおすすめのスポットだ。

 リフトに乗って滑るレベルまで上達した子どもたち(三男はインストラクターさんと一緒に)。最初は怖がっていたが、特に2日目は「もう今日でスキーは終わりだよ」と伝えると、何度も率先してリフトに乗っていた。また、次男は偶然にもパウダースノーだからこその“パウダーラン”を体験して大喜び。人生初のスキーがニセコというのは、実のところものすごくラッキーなことなのかもしれない。

 
 

 ちなみに、娘は2日間とも妻とマンツーマンで過ごしたが、こちらも問題なかった。たまに雪遊びして、あとは暖かい待合室にいたようだ。何かあったら連絡するよう伝えていたが、ヘルプが入るようなことは一度もなかった。帰宅してから「もっと遊びたかったな」と言うくらいなので、娘も楽しんで満足できたのだろう。

 
 

 私の趣味はランニングで、陸上競技の指導者でもある。そして長男は陸上部に所属。1週間まったく走らなければ、どうしても体力や走力は落ちてしまう。ということで、時間を見つけて2回だけだが、長男と一緒に雪上ランニングを楽しんだ。

 まずはニセコ中央倉庫群で過ごした3日目。最初は「寒い……」と嫌がっていた長男だが、ひとたび走り出せばテンションアップ。雪の上を走るという体験、そして周囲の景観を楽しんで8kmほど走った。ちなみにシューズには上から被せる簡易的なスパイクを装着したが、これだけで滑らず走りやすい。ランナーなら、雪国でのワーケーションには欠かせないアイテムと言えそうだ。

長男と一緒に雪上ランニング
長男と一緒に雪上ランニング

 2回目は6日目。なんと地域おこし協力隊の方がランナーだったので、一緒に走らせてもらった。地元ランナーおすすめの道を会話しながらの約5km。趣味があれば伝えておくことで、ワーケーション中だけでも思いがけず地元の方との交流が生まれるのだと知った。

 
 

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