グローバルかつフレキシブルに切り込む「変革の伴走者」: エッセンス・メディアコム が日本のブランドに提供する新たな価値

DIGIDAY

メディアチャネルの多岐化や、広告単価の上昇など、広告・メディア市場を取り巻く環境が加速度的に変化する今、それをつぶさに掴み取り、従来のマーケティング手法を適応させていくことは容易ではない。こうしたブランドの課題に対し、グローバルな視点と包括的な支援で向き合おうとする動きが、巨大エージェンシーのなかから生まれようとしている。

世界最大のマーケティング・コミュニケーションズグループWPPの一員であるメディア・エージェンシー、グループエムは4月、傘下のエッセンス(Essence)とメディアコム(MediaCom)を2023年1月に統合し、新メディアエージェンシー「エッセンス・メディアコム(EssenceMediaCom)」を設立すると発表したのだ。

デジタルファーストの視点に基づいたデータ計測・分析に強みを持つエッセンスと、メディアに対する深い知見や洞察を持つメディアコム。統合によって日本における事業規模は2倍になるが、変化の激しい広告・メディア業界において、「単なる足し算ではない価値を提供する必要がある」と語るのは、現在エッセンス日本法人の事業統括責任者を務める村上公太氏だ。マーケティング施策にとどまらず、「流動的なデータに基づく消費者インサイトを踏まえたマーケティングコミュニケーションにより、上流工程からブランドと深く関わり支援してきたい」という。

幅広い提案が可能になることで、グループ全体の注力市場のひとつであり、日本の広告・メディア業界においても、プレゼンスを発揮していく。そして、グローバル企業ならではのネットワーク力と、同社に根差したフレキシビリティが、日本市場における「差異力」となり得る。現在メディアコム日本法人の事業統括責任者を務めるウェンディ・シュウ氏は、「我々は成熟したオペレーティングシステムを持ちつつ、メンタリティはベンチャー。伝統に縛られることなく果敢に挑戦していく」と強調する。

エッセンス・メディアコムへと統合する狙いは何か。統合されることで両社の持つ強みはどう掛け合わされるのか。また、日本市場において、それをどうローカライズし、新たな価値をもたらすのか。村上公太氏とウェンディ・シュウ氏に聞いた。

エッセンスとメディアコムが統合した背景

DD:エッセンスとメディアコムが2023年1月に統合し、エッセンス・メディアコムが誕生します。その背景や狙いについて教えてください。

村上公太氏(以下、村上):変化が激しいマーケティング・広告業界で、当社はデジタル広告が台頭してきた時代の先を見据えていました。たとえば、Cookieが廃れる時代が訪れたらどうなるのかなど、あらゆる状況を想定しながら消費者とのコミュニケーションのあり方などを模索していました。

またプラットフォームの興盛や衰退も激しく、消費者の志向も目まぐるしく変化します。そんななか、ブランドのメッセージを伝えきるには、エッセンスの持つデジタル計測の強みと、メディアコムが持つメディアやオーディエンスに対する知見を掛け合わせ、単なる足し算ではない価値を提供する必要があると考えています。

これにより、予算や既存枠ありきの広告宣伝施策だけではなく、たとえば消費者インサイトを踏まえたマーケティングコミュニケーション戦略の提案など、上流工程からブランドと深く関わり、ご支援できると考えています。

村上 公太/米NYで通訳・翻訳としての活動を経た後、現地広告代理店でSaaSを活用したクリエイティブ制作の効率化を大手ブランド及び広告代理店パートナーに提供。2015年のエッセンス日本法人設立に伴い、営業リーダーとして参画。現在、日本における事業統括責任者として、マーティング・広告テクノロジーを通した顧客中心のイノベーションを推進。エッセンス・メディアコムへの合併後も、シュウ氏とともに日本事業の事業拡大をリードする。グループエム・ジャパンの執行委員としても従事し、グローバルとローカル双方の視点でチェンジマネジメントによる事業成長をめざすとともに、組織及び人材の多様化・最適化を推進している。コーチング資格の所有者でもあり、アジア・パシフィック全域における社内リーダーシップ育成研修プログラムのコーチとしても活動。

ウェンディ・シュウ氏(以下、シュウ):村上がお伝えしたように、現代は移り変わりの激しい時代です。そこで特に求められているのは、よりアジャイルな行動です。メディアコムはもともとオムニチャネルにおけるコミュニケーションの構築に強みを持ち、購買行動の分析も得意としています。これらのノウハウを活かして、消費者のニーズをタイムリーに捉えて、クライアントに還元していきたいですね。

エッセンス・メディアコムが示す、日本市場へのコミットメント

DD:日本市場については、どのように捉えていますか。

村上:大きなポテンシャルを秘めていると感じています。当社の母体であるWPPでは日本市場におけるビジネスを5年で3倍に拡大するという目標を掲げており、これを実現するために、エッセンスのグローバルCEOであった松下恭子がWPP Japanとして初めての代表取締役社長兼CEOに就任して、日本市場にコミットメントすることになりました。

一方で、これまで常識とされていた従来の代理店のやり方では、日本市場で成功を収めるのは難しいと感じています。そのため、当社はグローバルの動向からインスピレーションを受けつつ、日本の現状にマッチした戦略などをブランドに提案したい。GAFAM(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)などのプラットフォームから得られるデータを活用しながら、消費者の情報消費や広告への反応を探り、クリエイティブや商品開発に役立つ知見をブランドに提供したいですね。

シュウ:日本市場でも広告単価は年々上がっており、複雑性も増しています。だからこそ、まずは「広告にアテンションを取れているか」といった指標を、データドリブンな視点でブランドに示す必要があると考えています。

今回の統合はエッセンスとメディアコムが対等な関係にあり、日本においては会社の規模はほぼ2倍になります。できることもそれだけ増えているので、クライアントが展開するブランドの価値をどう上げていくのか、ブランド認知の向上なども見据えながらトータルで取り組んでいきたいですね。

ウェンディ・シュウ/20年間に渡り、広告・メディア業界での豊富な経験を持つビジネスリーダーであるとともに、デジタルメディアプランの実務経験も有する。2011年メディアコムに参画。アジア・パシフィック全域で多様性に富むチームメンバーを率い、デジタルファーストのアプローチで、イノベーションと綿密なオペレーションを遂行し、効率的なメディアROIをクライアントに提供してきた。2019年、メディアコム日本法人の事業統括責任者に就任。統合後のエッセンス・メディアコムでは、村上氏とともに、日本事業のビジネス成長をリードする。グループエム・ジャパンの執行委員としても従事。シンガポール出身。

村上:シュウが話したとおり、できることが増えているのもあり、より本質的な部分からブランドに関わることができます。それこそ、成功の基準となる売上の設定などもサポートできるでしょう。これまでのようにご予算をいただき、そのなかで広告宣伝施策を実行して改善案を示すことももちろんできますが、今後を見据えて、それ以外、それ以上の価値を示すために、多種多様な人材及びテクノロジーへの投資をすでに始めています。

「フレキシブル」を強みに、ブランドに価値を提供したい

DD:日本では総合エージェンシーの存在が大きいですね。その市場で、メディアエージェンシーとしてどのように価値を発揮していくのでしょうか。

村上:総合エージェンシーの対比的な存在として、あえて巨大プラットフォームを挙げますが、巨大プラットフォームはそれぞれ独自の消費者データを持っています。複数プラットフォームを横断したデータの抽出設計、読み方、洞察など含めて突き詰める力は当社の強みになっています。

また世界各地に拠点を置き、各国の企業を支援してきた実績から、グローバルチームの一部としての日本市場での提案の仕方や、消費者に対してのみならず、社内コミュニケーションの深いサポートも日本の総合エージェンシーより一日の長があると思います。

シュウ:私たちがクライアントから受ける評価のひとつに「フレキシブルに対応できる」ということがあります。マーケティングにおいても、会社ごとにやり方は異なりますし、それに合わせていく必要がある。当社であれば、グローバルの方針に則りつつ、総合代理店のような日本のエージェンシーとパートナーとして協力体制を作ることを両立するなど、ブランドごとに異なるニーズ・状況にも対応できます。

DD:それはブランドにとって、エッセンス・メディアコムと協働する大きなメリットになりますね。

村上:まさにシュウがお伝えしたように、フレキシブルにお付き合いできるというのは大きなメリットです。日本の企業にとってエージェンシーを変えるというのは大変なことです。それならば、現時点でまず何ができるか、ということだけでも当社にご相談いただきたいです。

たとえば、海外でマーケティングを展開する際に、どのように予算配分をすればいいのか。当社なら過去の事例やデータ、そして日々仕事を共にする各グローバル市場のエキスパートの洞察などを踏まえながら提案ができます。

具体的な取り組みのお話をさせていただくと、昨今はオフラインとデジタルの境目が曖昧になりつつあります。テレビ画面で見ている番組が、テレビ局のものではなくOTTのコンテンツであるといったケースも増えています。視聴者の方からすればその違いを大きく意識する必要はありませんが、広告主からすると予算配分に関わる大きな問題です。

グローバルでは日本より早くこの課題解決に取り組んでおり、当社も日本において起きるであろうこの流れを5年ほど前より見据えてクライアントの支援を行ってきました。今後、日本でもより顕著になることが予想されますが、我々ならこのような問題にも柔軟に対応できます。

グローバルの知見を武器に、変革の伴走者を目指す

DD:なるほど。海外に進出したい日本の企業にとっても、御社の知見が大きな力添えになりそうです。具体的には、どういった価値を提供できるでしょうか。

村上:先ほども申し上げたのですが、当社はグローバルネットワークに強みがあります。それは、単に拠点があるだけではなく、海外の知見を日々取り入れて、グローバルの最先端をキャッチアップしているということです。

一方で、日本のクライアントが日本市場特有の状況下で直面している課題を解決する過程で生まれる価値も、必然的にあります。それを日本発の学び・価値としてグローバルに向けて打ち出し、形を変えながらほかの市場へ還元することも、当社ではすでに行っています。あらゆる人材や知見が集まり、日本が「Center of Excellence」になるような取り組みを今後も進めたいですし、その成果を多くのクライアントにも還元したいと思っています。

シュウ:当社は成熟した企業のオペレーティングシステムを持ちつつ、メンタリティはベンチャーです。伝統に縛られることなく果敢に挑戦できますし、初めは手探りになるかもしれませんが、クライアントとは今までにないパートナーシップを築けるでしょう。

DD:最後に、日本のマーケターの皆様へのメッセージをお願いできますか。

村上:従来のやり方を変えるのは、日本においては特にとてもハードルが高いように感じます。一方で、市場と消費者の変化は早く、今までとは異なる要素やプロセスを組み込んで変革を行う必要もあります。

当社はそれを踏まえた上で、日本市場におけるほかのエージェンシーにはない違いを出し、クライアントにも、我々と組んだことで、「従来との違いが生まれた」と認知していただきたいです。当社が持つ人材、テクノロジー、データなどのアセットに少しでも興味を持っていただけたら、気軽に問い合わせをしてほしいと思います。

そして将来的にご賛同いただけるクライアントのマーケティングチームの変革を伴走できるような存在になりたいですね。

シュウ:日本の市場の独自性や複雑性について、私はポジティブに捉えています。日本には独自のプレイヤーやプラットフォームがあり、グローバルとは異なる部分もある。それをユーザーデータなどを解きほぐしながら、ブランドと仕事をするのは有意義な経験でありチャレンジです。これからも日本独自の環境において「違い」を作れるエージェンシーとして、引き続き貢献していきたいですね。

Sponsored by Essence and MediaCom

Written by DIGIDAY Brand STUDIO(山田雄一朗)

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