決断の遅さが指摘されることも多い岸田文雄首相が、機敏な動きを見せたのが防衛費の増額や、それにともなう増税の方針の決定だ。
立憲民主党の泉健太代表は2022年12月16日の定例会見で、岸田氏の決断力は「党内向け」に発揮され、「党内基盤を補強するため」のものでしかない、などと皮肉った。
国債発行検討に「宏池会の岸田政権のもとで破られるとは」
16日午後に閣議決定する予定の国家安全保障戦略など防衛3文書では、「反撃能力」保有や、防衛費を27年度に国内総生産(GDP)比で2%まで増やす方針を盛り込んだ。増額分の一部を増税で賄うほか、施設整備費には建設国債の発行も検討。これまでの予算編成方針の転換でもある。
泉氏は、こういった経緯を「乱暴、危うい」と批判した。特に、1966年に福田赳夫蔵相(当時)が、防衛費を国債発行の対象にするのは適当でないと答弁していたことを引き合いに、
「それが宏池会の岸田政権のもとで破られるとは、あの福田さんも全く思っていなかったのではないか。福田赳夫さんは天国で泣いているんじゃないですか?まぁ、怒っていると思いますね」
などと述べた。
記者からは、岸田氏が就任時に提唱していた「新しい資本主義」をめぐる動きが進まないのに対して、防衛関係では「乱暴」な動きが進む背景を問う質問も出た。