毎年ホリデーシーズンには、ブランドは買い物客の注目を集め、クリック数を増やし、そして当然ながらホリデーシーズンの買い物をしてもらうという課題に直面する。政治から「バチェラー(The Bachelor)」まであらゆるものをユーモラスに取り上げることで知られるメディアプラットフォームのベッチェス(Betches、ソーシャルメディア全体でフォロワー数1300万人)は、今年、ベッチェス・ホリデーハウス(Betches Holiday House)と名づけたバーチャルハウスを構築することにした。この体験は、11月14日にbetches.co/holidayhouseで稼働スタートした。このショッパブルなバーチャルハウスはホリデーシーズン後も継続され、ベッチェスの2023年の戦略にも組み込まれており、四半期ごとに内容やテーマを更新していく予定だ。
ゲーミングに興味のないユーザーも気楽に参加できる仕組み
多くのユーザーにとって幸運なことに、これはメタバース体験ではない。つまりアバターを必要としないので、ゲーミングには手を出していない、あるいはおそらく出したくないと思っているユーザーも戸惑うことはないだろう。バーチャルアパートメントに近いが、ストリートイージー(StreetEasy)のほとんどのオプションよりもはるかに上品だ。ショップベッチェス(Shop Betches)の商品紹介に加えて、パートナーであるサックスオフフィフス(Saks Off 5th)のアイテムで飾られた「ウォークインクローゼット」も特徴となっている。このハウスは、バーチャル小売店舗で知られるオブセスが制作した。以前、サックスオフフィフスはベッチェスと提携し、インスタグラムのストーリーで7月4日のセールを宣伝している。
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同社の創業者でチーフクリエイティブオフィサーのサミ・セージ氏と、セールスおよびブランドパートナーシップ・バイスプレジデントのランディ・ウィント氏によると、ハウスはショッピング体験を提供することに加えて、ベッチェスのチームがいま優先するコミュニティ構築も意図している。ホリデーハウスは、インスタグラムのストーリーやブランドの大半のバーティカルサイトのフィード投稿、さらにTikTokの動画、ポッドキャストのプラグ、ニュースレタープロモーションなど、ベッチェスのネットワーク全体でプロモーションされる予定だ。
ターゲットはミレニアル世代の女性
ベッチェスは、サックスオフフィフスにホリデーハウスのパートナーになる機会を持ちかけた。「この分野の女性パブリッシャーと過去に行った仕事、ハイファッションとローファッションの両方の価格を幅広く提供する能力、そしてオーディエンスの層が重なっていることなどに基づき、サックスオフフィフスは私たちのオーディエンスとコミュニティにとって本当にすばらしい小売パートナーだと認識しており、今回のパートナーシップは、コミュニティに理想のバーチャルショッピング体験を提供できると確信している」とウィント氏は述べている。
ベッチェスのオーディエンスは、ミレニアル世代の女性で、大半が25~35歳の年齢層だ。「彼女たちは私たちのコンテンツに参加し、私たちが薦める製品を購入し、自分の意見を共有することを恐れない。94%が女性で、93%が21歳以上だ」。
ハウスの動機については、「私たちは新しいこと、次のこと、コミュニティとのエンゲージメントをさらに促進できる場所を考えることをみずからに課してきた」という。
サックスオフフィフスのマーケティング・シニアバイスプレジデントであるサラ・グリフィン氏は、「これは当社にとって、コアな顧客と密接につながっている新たなオーディエンスに関与できるすばらしい機会だ」と述べている。
ユニークなしかけや限定コンテンツを多々提供
クローゼットで注目すべきアイテムのなかで、グリフィン氏はグッチ(Gucci)のサングラス、カシミアのセーター、スチュアートワイツマン(Stuart Weitzman)のブーツを挙げた。セージ氏は、ベッチェスの共同創業者でCEOのアリーン・ドレクスラー氏とともに、アソリーヌ(Assouline)のコーヒーテーブルブック、ウエストエルム(West Elm)のカラフルなベルベットスローピロー、キッチンエイド(Kitchen Aid)のミキサーなど、ハウスのほかの部分に置くものをキュレーションしている。化粧台には、レアビューティ(Rare Beauty)のチーク、サマーフライデーズ(Summer Fridays)のフェイスマスク、パット・マクグラス(Pat McGrath)のアイシャドーパレットなど、人気のビューティアイテムが並ぶ。サックスオフフィフスのクローゼットを除き、ホリデーハウス全体で紹介されているすべての商品は、アフィリエイト報酬かショップベッチェスの商品であるとウィント氏は言う。
「アリーンと私は、デザインやアートに本当に細かく指示を出し、ハウスにこうした面白いタッチを取り入れた。ミニバージョンの自分たちのオフィスをデザインするようなものだ」とウィント氏は語った。
また、ハウス内でのエンゲージメントをさらに高めるべく「電話ボックス」を設置しており、そこを訪れた人はブランドがGoogleボイスのアカウントで集めた恥ずかしいエピソードを聞くことができる。またハウス内を探索してトークンを集めると、ショップベッチェスの特別ディスカウントを獲得することも可能だ。
キッチンではホリデーレシピを発見できるなど、ハウス内にはほかにも限定コンテンツがある。「また、すべてのポッドキャストから面白いクリップを聴けるポッドキャストウォールを設ける予定だ」とセージ氏。このメディアブランドは、12のポッドキャストを運営している。
[原文:Betches and Saks Off 5th team up for virtual, shoppable Holiday House]
SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)