スポーツベッティング企業、スーパーボウルCMに今年も参戦 : 消費者エンゲージメントの拡大を狙う

DIGIDAY

スポーツベッティング企業のドラフトキングス(DraftKings)が、昨年2月にスーパーボウルで初めてCMを流したところ、CMに合わせて開催したプールのエントリー数が100万件を超え、1日あたりの最高記録を更新した。

そこで同社は、今年もスーパーボウルでCMを流すことに決めた。昨年は視聴率が振るわず、そして今年の30秒スポットCMの価格も昨年の550万ドル(約6億3200万円)から650万ドル(約7億4700万円)へと100万ドル(約1億1500万円)上がったにもかかわらず、この決断に迷いはなかったと、最高マーケティング責任者のステファニー・シャーマン氏は述べている。

ドラフトキングスは今年も、テレビ画面を介して潜在顧客にリーチし、自社ブランドとの関係を築いてもらう手段として、スーパーボウルのCMを利用する。そのために、5人の当選者にそれぞれ100万ドル(約1.1億円)をプレゼントする無料の賭けを提供して、1万人がエントリーできるようにした。

狙いは差別化を図ること

試合の第1クォーターに放映されるこの30秒のスーパーボウルCMは、ヴェイナーメディア(VaynerMedia)が制作を担当しており、視聴者が賭けに参加できるのは試合中に限られる。

ドラフトキングスは今回のスーパーボウルCMで、インタラクティブ性をさらに高めながら、幸運の女神を新しいブランドキャラクターとして導入する。シャーマン氏によれば、その狙いは「引き続き差別化を図る」ことだという。「我々がスーパーボウルに目を向けているのは、ブランドをもう一度売り込む機会となるからだ」と、同氏は語った。

スーパーボウルのCMにゲーム的要素を持ち込もうとしているブランドは、ドラフトキングスだけではない。そして、その多くがコンテストやくじのような仕掛けを用意している。ドラフトキングスにとってこのCMは、「観戦中の消費者にリーチ」しながら「独自のやり方で消費者とやり取り」できるチャンスをもたらすものだと、シャーマン氏は説明した。

ゲーム的要素を盛り込む理由

ドラフトキングスがスーパーボウルのCMに支払う金額は、シャーマン氏が明らかにしていないため不明だ。調査会社のカンター(Kantar)によれば、ドラフトキングスは2020年の1~9月に1億6420万ドル(約188億7000万円)を広告に費やしていた。だが、この金額には、カンターが追跡対象としていないソーシャルメディア広告費は含まれていない。

エージェンシーのメカニズム(Mekanism)で最高ソーシャル責任者兼パートナーを務めるブレンダン・ガーン氏は、企業がスーパーボウルCMにゲーム的要素を盛り込もうとする理由を問われると、「ブランド各社は、広告費を最大限に活かすために、消費者エンゲージメントの最大化に取り組んでいる」と語った。「彼らは、スーパーボウルCMを利用した従来型の『ブランド構築』アプローチではあまり考えられないやり方で、消費者に商品を試したり商品のことを調べたりするよう促している」と、同氏はいう。

さらにガーン氏は、「スーパーボウルへの投資をリード(見込み客)獲得ツールとして活用するブランドも出てきている」と付け加えた。

「極めて重要な機会」となる

スーパーボウルのCMにこのようなアプローチで臨むマーケターが増えるなか、ドラフトキングスのようなマーケターにとっては、自社をどのように差別化するかが課題となる。ドラフトキングスは、自社の取り組みによってブランドをもう一度売り込みながら、「賭け事をするスリル」を味わってもらうことを期待しており、100万ドルが当たるチャンスはまさにその役割を果たしてくれるはずだと、シャーマン氏はいう。

いずれにしても、スーパーボウルはドラフトキングスにとって「極めて重要な機会」(シャーマン氏)なのだ。

[原文:‘Maximizing consumer engagement’: How DraftKings is using its Super Bowl advertising to differentiate and lift consumer engagement

KRISTINA MONLLOS(翻訳:佐藤 卓/ガリレオ、編集:長田真)

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