ウォルマート 第4四半期、プライベートブランドの需要が増加:節約派の買い物客は購入品のランクを下げる傾向に

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ウォルマート(Walmart)の買い物客は、第4四半期、価値あるものを求めてプライベートブランド商品に目を向けている。

同社のプライベートブランドの普及率は160ベーシスポイント以上も増加した。同社の経営幹部は、過去90日間にさらに多くの消費者がブランド品ではなくプライベートブランドに引き寄せられるのを目の当たりにしたと、第4四半期の決算発表で述べた。同社の第4四半期の合計収益は7.3%増の1640億ドル(約22兆3000億円)に達し、通期の合計収益は6.7%増の6113億ドル(約83兆1000億円)になった。

「この変化は昨年3月に本格的にはじまり、年末まで続き、第4四半期には多少強まった」と、ウォルマートU.S(Walmart U.S)のプレジデント兼CEOを務めるジョン・ファーナー氏は投資家やアナリストとの電話会議で述べた。「当社はブランド品とプライベートブランド品のそれぞれにターゲットを設定していない。当社はあらゆる顧客に対応し、すべての商品ラインにわたって品質と価値が適正であることを保証しようとしているが、プライベートブランドには間違いなく加速度がついている」。

消費財メーカー大手各社が、この数カ月で値上げを行った後、同社のプライベートブランド商品は、お金を節約したい買い物客から恩恵を受けることになった。経営幹部は決算発表で、買い物客が予算を管理し、ランクを下げた商品を購入したと、同社の価値提案を繰り返し説明した。

商品コスト上昇の影響も

プライベートブランドへの需要の高まりは、商品のコスト増加と時を同じくしている。労働省(Labor Department)のデータは、商品とサービスのコストの指標である消費者物価指数が12月の時点で6.5%上昇したことを示している。インフレは減速してきたが、コストは前年の数値を大きく上回ったままだ。

プライベートブランドは、ホリデーシーズンになると、買い物客が必需品以外にギフトを買い込みコストがかさむため、特に人気があった。「物価への大きな圧力があるときはいつでも、消費者は工夫する」と、ガートナー(Gartner)の消費財担当シニアディレクターアナリストを務めるグレッグ・カールッチ氏は語る。「消費者は自分たちの好む、または必要とする商品を、自分にとって適切な価格で見つけることができる」。

経営幹部は、ウォルマートのプライベートブランドル商品への需要の高まりは、同社が営業しているほとんどの市場で起きていると語る。ウォルマートには家庭用品、アパレル、食料品など、いくつかのカテゴリーにプライベートブランド商品を出している。同社のもっとも人気がある低価格ブランドとして、食料の必需品を扱うグレートバリュー(Great Value)や、パーソナルケアやヘルス商品を扱うイクエイト(Equate)などがある。

高所得世帯による買い物が増加

同社の米国での既存店売上が第4四半期に8.3%増加したことも、同社のプライベートブランドや食品カテゴリーの好調、平均購入価格や店舗取引額の増大を反映している。食料品大手のクローガー(Kroger)も、プライベートブランドの成長の恩恵を受けており、12月には同社の保有ブランドについて既存店売上高が10.4%増加したことを報告している。

サイズモアキャピタル(Sizemore Capital)の最高投資責任者を務めるチャールズ・ルイス・サイズモア氏は、迫りくる景気後退によって、ウォルマートのブランドポートフォリオがさらなる成長の機会を得る可能性があると語る。同社は自社のブランドポートフォリオを成長させてきたが、ごく最近、過去に運営していたシークレットトレジャーズ(Secret Treasures)の後継ブランドとして、下着および寝間着ブランドのジョイスパン(Joyspun)を立ち上げた。また大手小売業者である同社は、この四半期に、高所得世帯がウォルマートでの買い物を増やすようになったことを目にしている。経営幹部は、同社の食料品におけるシェア拡大の半分近くは高所得層の買い物客からのものだと語る。

「よりハイエンドの食料品店やデパートに通っていた人々が、ランクを下げてウォルマートに通うようになっている」と、サイズモア氏は語る。ただし、低収入の買い物客も、ウォルマートからさらに安価な小売店へとランクを下げている可能性があると、同氏は付け加えている。「これはおそらく、当社のなかで低収入の消費者が、当社から1ドルショップなどにランクを下げているということも意味しているだろう」。

通期見通しに慎重な姿勢

ウォルマートの結果は比較的楽観的な情勢を示しているが、同社の利幅は依然として、過剰在庫、マークダウンの増加、インフレなど、ここ数四半期にわたって小売業者を苦しめている逆風の影響をまだ受け続けている。同社の粗利益率は83ベーシスポイント低下し、粗利益は100ベーシスポイント以上も下落した。同社の四半期末での在庫水準は昨年と比べてほぼ横ばいだった。

ウォルマートは通期の見通しについても、より慎重な姿勢を見せている。同社は、営業利益の増加が売上の増加を上回ることを予測していると語った。また、米国の既存店売上が2024年度に燃料を除いて2.0%から2.5%増加することを予測している。

「ウォルマートは、世間一般の悲観的な市場の状況を利用して目標を低く設定し、簡単に達成できるようにしているように見える」と、サイズモア氏は述べる。

プライベートブランドに加えて、ウォルマートのeコマース売上も、今期における同社の業績の結果の明るい話題となっている。同社のeコマース売上は、今期17%、2年間積みで18%の伸びを示した。

[原文:Walmart sees higher demand for private label products in the fourth quarter]

Maria Monteros(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Walmart

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