こちらは、小売業界の最前線を伝えるメディア「モダンリテール[日本版]」の記事です
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Amazon内でのブランド・インキュベーションを行うヘイデイ(Heyday)は、はじめてのセレブリティとのパートナーシップとして、女優のエヴァ・ロンゴリア氏と協力し、同氏の新しい多用途調理器具の商品ラインを発売することを発表した。この調理器具ラインはリサ(Risa)と呼ばれ、料理用鍋、フライパン、積み重ねできる蒸し器などの商品を販売する。リサは10月初頭にD2Cサイトで発売され、10月下旬にAmazonで売り出された。
ヘイデイはこれまでに、スポーツとアウトドア、機能的な住居、美容品とパーソナルケアのカテゴリーにおいて、ほかに6つのブランドをAmazonのマーケットプレイスで発売してきたと、名前は伏せて述べている。同社は2020年に設立され、Amazonのアグリゲーターとして操業を開始したが、Amazonのアグリゲーター市場で競争が激しくなるにつれ、ヘイデイのようなホールディング企業は自社を差別化するため、新しい戦略を強く探し求めるようになっている。ライバル企業のフォーラムブランズ(Forum Brands)は今年、競合他社より優位に立つため、2フェーズの行動計画を立案した。同社は、大きな可能性を持つ新興企業を買収し、それらの企業の規模を拡大して、可能ならば海外の市場にも展開する方法を特定すると語る。
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ヘイデイがはじめてのセレブリティとのパートナーシップをどのように行おうとしているのかをより詳しく知るため、米モダンリテールは同社に1年以上在籍し、同社の最高マーケティング責任者を務めるリーマ・バッタ氏と対談した。バッタ氏はヘイデイが誕生したときからの目標、構想、使命は「本質的にはブランド構築にデジタル優先の手法を確立することだった」と語る。以下の対談は、簡略化と明瞭化を考慮して編集を加えたものである。
ヘイデイがAmazonでのブランド立ち上げを支援するのはこれがはじめてか?
いいえ、当社がAmazonでブランドを立ち上げるのはこれがはじめてではない。エヴァ・ロンゴリア氏のリサは、当社がインキュベーションを行っているブランドのひとつにすぎない。これはオムニチャネルでの立ち上げだ。当社はこれをD2Cで発売した。現在ではAmazonにも展開しており、ほかにもいくつかの流通の機会を追及している。
この立ち上げが特別なのは、ロンゴリア氏とのパートナーシップだ。当社がセレブリティとパートナーシップを結ぶのはこれが最初だ。しかし、それ以外の点で当社はすでにいくつものブランドを立ち上げ、市場に送り出した。D2Cのものもあれば、Amazonで展開したものもある。
ヘイデイはリサやエヴァ・ロンゴリア氏とどのようにつながったのか?
実際には、当社のベンチャーパートナーのひとつであるレイングループ(Raine Group)から同氏を紹介された。レイングループは多くのタレントを管理しているエンデバー(Endeavor)と当社をつなげてくれて、当社はこのグループを通してごく自然に同氏を紹介された。ロンゴリア氏との対話は今年初頭に開始され、当社は市場のホワイトスペースを特定した。そして、当社が特定したホワイトスペースは本質的には焦げ付き防止加工がされた、有毒成分を含まない調理器具だった。このホワイトスペースは一般的な市場にも存在するが、Amazonにより具体的に存在する。
ロンゴリア氏は、このアイデアの調査に強い関心を持ち、このコンセプトを開発するために時間と技術を費やした。これが、我々の関係性が成立した経緯だ。同氏はリサの共同創設者でもあるため、単なるイメージキャラクターではない。これは、まったく異なる関係だ。同氏は最初からこのブランドに関わっており、ブランドをどのように位置付けるべきか、商品はどのように開発されるかの決定、そして当社が以後に行ったすべてのマーケティング活動に関わってきた。
リサはヘイデイの戦略全体でどのような位置を占めるのか?
当社は昨年の今ごろにシリーズC資金調達を公表した。我々が話し合ったことは本質的に、ブランド構築のため3つの中核的な分野、すなわち商品のイノベーション、オムニチャネルでの展開、ブランドイクイティの構築に投資することだ。当社はこれら3つの分野への投資により、リサのようなブランドを立ち上げることができた。ブランドイクイティへの投資は、当社がセレブリティとのパートナーシップにより行っていることすべてで、商品のイノベーションは実のところ、当社が社内で開発した、すべてのIPを保有している中核商品だ。そして、オムニチャネルでの展開はAmazonでの立ち上げよりもさらに広い範囲に及ぶ。リサはすでにD2Cで販売を開始し、独自のウェブサイトを保有している。そして当社は、ほかの流通の機会も同様に見据えている。
ヘイデイはブランドを買収するだけでなく、さらに多くのブランドの立ち上げを支援することを計画しているか?
当社の中核的な考えは、ブランドを獲得するか、またはブランドのインキュベーションを行うときは、それを一般家庭に広く受け入れられているブランドにすることをめざすというものだ。そのためには、ブランドに投資する必要がある。そして、3つの中核分野、すなわち前に述べた商品のイノベーション、ブランドイクイティ、オムニチャネルでの展開にわたって投資する必要がある。当社はこの戦略を活用し、買収したものとインキュベーションしたものの両方のブランドの成長を促進する。
ヘイデイがブランドを立ち上げるためのプレイブックはどのようなものか?
当社が自社のデータプラットフォームと自分たちの能力に対して行ってきたすべての投資によって、当社はホワイトスペースを特定できる。そして当社は、買収とインキュベーションの両方の機会を追求し、財務に基づいて評価する。当社は高いレベルで3つのカテゴリーへの投資を選択し、美容品とパーソナルケア、スポーツ、アウトドアと機能的な住居の分野でホワイトスペースを見つける。
当社はホワイトスペースを特定した時点で、その市場の規模を評価する。規模は、当社が最終的にどの程度の金額を受け入れることを望むかを決定する重要な要因となる。市場の規模によって、それぞれ異なる段階の投資が正当化され。この決定を行うためにデータを使用する。
新しいブランドがAmazonで目立つよう立ち上げるために役立ったと感じたものはあるか?
当社が投資したものは、その商品がデジタルシェルフでどのように展示されるかといったもので、当社は有意義な投資を行い、Amazonで商品が最高の形で展示されるよう心がける。画像の表示方法から、商品の定義のしかたまでを含むすべてだ。また当社はAmazonのアフィリエイトプログラム、PPC(ペイ・パー・クリック)、ブランド付き動画にも投資している。
VIDHI CHOUDHARY(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)