メタバース について理解を深めるマーケター、ゲーミングよりもWeb3に着目:Advertising Week New Yorkレポート

DIGIDAY

ブランドおよびマーケター勢は依然、メタバースを理解しようと必死だ――10月第3週に開催のカンファレンス、Advertising Week New Yorkでも、大半のパネルセッションがその話題で持ちきりだったことが、それを物語る。同イベント中、スピーカーおよびパネラーはこぞって、メタバースにおけるWeb3テクノロジーの重要な役割を事細かに語ったが、そのルーツがゲーミングにある事実は、ほぼ無視されていた。

もしも君が、これまでメタバース関連の記事を避けてきたのなら、Web3 VSゲーミングおよびメタバース、という構図について知るべきは、以下のとおり。ざっくり言うと、メタバースという言葉は、永続的デジタル世界を意味する――ユーザーがページをめくるようにひとつのサイトから別サイトに移動するのではなく、3次元のアバターを操作するという、新形態インターネットの後継版だ。

そして、そんなメタバースに異を唱える競合他分野が2つある。1つはゲーミングだ。実際、ゲーミングユーザーはすでにバーチャルワールド内で社交している。もう1つがWeb3で、その支持者らは、ブロックチェーンテクノロジーが必ずバーチャル世界の基盤になると、断固主張している。

重要視されたのはWeb3のコンセプト

今回のアドバタイジングウィークで、メタバースにおけるゲーミングの側面に触れたスピーカーがいたのは確かだが、メタバース関連パネルディスカッションでそれよりもはるかに重要視されたのは、Web3のコンセプトだった。

「ゲーミング」という単語は、10月18日のパネルディスカッション「Women in the Metaverse(ウィメン・イン・ザ・メタバース)」のなかで一度だけ出てきたが――モデレーターを務めたエージェンシー、カルチャー(Qulture)の創業者クィン・メイ氏が「Web3はゲーミングの延長であり、ゲーミングはメインストリームだ」と発言した――同パネルのフォーカスは、ブランドおよびプラットフォーム勢が非代替性トークン(NFT)といったテクノロジーを活用するための方法であり、ゲーミングコンテンツが詳しく語られることはなかった。

NFTは同カンファレンスのほかの場にも登場していた。たとえばあるブランドアクティベーションでは、出席者にQRコードを読み取らせ、無料モバイルアプリを通じてオンラインでの「NFTワーク(NFTwork)」に使える無料トークンを提供していた。

今回のアドバタイジングウィークで顕著だったWeb3スペースの高優先度には、同イベントと出席者の多くがメタバースにおけるマーケティングの未来にどうフォーカスしているのかが、如実に表れている――つまり、それは必ずしも、ゲーマーがすでにデジタルスペース内で楽しんでいるような、わかりやすい形ではない、ということだ。

「メタバースとWeb3は一枚岩ではない。両者は言うなれば、超が付くほど分散型の概念だ」と、スピーカーを務めたEYコンサルティング(EY Consulting)のパートナー、ジャネット・バリス氏はあらかじめ録画されていたセッションで話した。「それは何かひとつのコンセプト、という話ではない――多数のコンセプト、という話なのだ」。

しかし、依然注目のゲーミング業界

ただ、ゲーミング業界はそれでも、同イベント中に存在感を示した。成長著しいゲーム内広告分野に関するパネルディスカッションはその一例で、同部門は事実、以前からメタバースにおける自身の揺るぎない価値を臆することなく公言している。ただし、ゲーミング関連パネルのフォーカスは、大半がモバイルおよびCTVゲーミングといった、メタバースと直接の関連が薄い分野であり、結果、Web3スピーカー勢が余裕綽々で自らの主張を述べる機会をたっぷりと手にしていた。

もっとも、メタバーススピーカーのなかには、ゲーミングがいま現在、永続的バーチャルワールドに最も近い存在だと評価した者も、多少はいた。デヴィッド・シング氏(ハンドルネーム:シンギー[Shingy])もそのひとりだ。「繋がりたいという人々が抱える問題を我々は解決していく。デジタルリアリティは、その環境にいる人々にとっては、フィジカル(物理的)リアリティと同じくらい重要だ」と、同氏は語った。「そして、その環境はいま現在、主にゲーミングなのだ」。

[原文:Advertising Week Briefing: When it comes to the metaverse, marketers focus on Web3 over gaming

Alexander Lee(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)

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