採用 や募集プロセスを短縮するファッションブランド:従業員がより大きな力を持つように

DIGIDAY

世界が再び開かれていくなかで、求職者数よりも求人数の方が多いことに雇用する側は気づいている。米国の失業率はわずか3.5%に低下した。

ファッションブランドも美容ブランドも、従業員がより大きな力を持つようになった労働市場に対応するため、募集や面接、最終的な雇用の方法を見直す必要に迫られている。ブランドが採用している新たな方策の多くは、募集から採用までの期間を短縮することにある。

新規採用者の面接回数の削減

たとえば、10月6日に開催されたGlossyエグゼクティブラウンドテーブルで、参加者がまず懸念していたのが採用に関するむずかしさだった。ハイエンドなバッグブランド、カラー(Caraa)のCEOアーロン・ルオ氏は、Glossyに対し、新規採用者が受ける面接の回数を3、4回から1回に減らしたと語ってる。

「関係している採用担当者の8割がその人にチャンスを与えることに同意すれば、本人の理解の上で、当社は30日間の試用期間として仕事をしてもらう」とルオ氏はGlossyに述べ、そうすることで候補者と採用担当者のどちらにとっても楽になると説明した。「それだけでなく、いずれにせよ面接では必ずしもその人が適しているかどうかはわからない。適任かどうかを確認する最適な方法は、とりあえずやらせてみることだ」。

ほかのブランドも同様の方法を採用している。

「全体の面接回数を減らすために、サードラブでは面接官を一緒にするようになった」と話すのは、サードラブ(ThirdLove)のCEOハイディ・ザック氏だ。候補者に対して、ふたりの採用担当者が別々に2度面接を行うのではなく、たとえば現在ではふたりが同席して1回の面接で済ませるようになった。「特定の職務については、実績のある一連のスキルや経験に基づき、(候補者にタスクを完了させて働きぶりをみるという)プロジェクト段階も廃止している」。

ザック氏は、面接回数を減らすといった具体的な変更に加え、サードラブが面接のプロセスで行っている、哲学的な変更についても語っている。候補者が楽観主義や社会的責任といったブランドのコアバリューを共有しているかどうかを探ることをもっと重視するよう、サードラブのリクルーターや採用担当者には指示しているという。

つねに周囲にアンテナを張る

ラマルク(Lamarque)、ケッズ(Keds)、スパンクス(Spanx)といったファッションと美容のクライアントを対象とする企業、CLD PRの創業者ミシェル・ウェンデル氏は、同社の採用プロセスにおいて多くの変更を余儀なくされたと語る。ウェンデル氏は通常すべての面接と採用を自分で行っている。

「以前は、募集をかけると100通の履歴書が届き、それを12通程度に絞り込んでそれぞれ面接を行い、その中からもっとも優秀な人を選んでオファーを出すという、非常に直線的なプロセスだった」とウェンデル氏は言う。「ほとんどの場合、そのオファーは受け入れてもらえる。でも今は、3人か4人に絞っている。なぜなら私がオファーを出した人は、現在の雇用主から逆オファーを受けるかもしれないし、最後の最後で手を引くかもしれないからだ。あるいは、人生をまったく変えて、ヨガの先生になることを決意するかもしれない」。

ファッションと美容の分野では、労働市場と潜在的な候補者から目を離さないでいることがこれまで以上に重要だと、ウェンデル氏は指摘した。従業員がいつ競合他社に移ったり、あるいはまったく別のキャリアパスを歩むのか、わからないからだ。ウェンデル氏は今回初めて、新たな人材を探すためにフルタイムのリクルーターを雇うことを検討しているという。

「人材に熱心で、つねに市場を調査している人が必要だ。そうすれば、誰かが突然辞めたときに慌てずにすむ」と、ウェンデル氏は述べた。

また彼女は、CLD PRが抱える約8万人の全eメールリストに候補者の紹介を求めるメールを送るという、さらに独特な戦術も試している。紹介した候補者が採用されたら1500ドル(約22万円)の報奨金を出す、というインセンティブがあった。このようなインセンティブは、社内の現職の社員に対してオファーされることはよくあるが、Shopify(ショッピファイ)やロッキード・マーティン(Lockheed Martin)など一部の大企業を除くと、外部に向けて行われるケースはめったにない。

[原文:In a tight labor market, fashion brands are shortening their hiring and recruiting processes]

DANNY PARISI(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)

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