B2Bビジネスを拡大するフード系 D2C ブランドたち:スーパーナチュラルやスパイソロジーなどの場合

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フードサービスのB2B販売チャネルに事業を広げるD2Cブランドが増えている。

過去数年間、D2Cと食料品店の成長を経験した後、製パンブランドのスーパーナチュラル(Supernatural)と調味料ブランドのスパイソロジー(Spiceology)は、レストランや、ベーカリー、さらにはほかの食品ブランドに供給するB2B事業を拡大している。

トッピング用のスプリンクルや、着色料、菓子の上にかける糖衣などの商品を販売しているスーパーナチュラルは、自社のB2Bチャネルを10月下旬に開設した。最初のフードサービスパートナーには、ミルクバー(Milk Bar)、キングアーサーベーキング(King Arthur Baking)、および植物ベースのスナックの新興企業であるスナックコンシャス(SnackConscious)が名を連ねる。これらのブランドにとって、フードサービス戦略には2つの利点がある。新しい販売チャネルが得られることと、レストランのパートナーから新しい顧客を見つけられることだ。

量産体制の整備

2017年に創設されたスーパーナチュラルは、2020年から2021年にかけてダイレクト販売の売上が前年比700%以上の成長を遂げた。創設者でCEOを務めるカーメル・ハーゲン氏は、バルクビジネスの開始によって、同ブランドが、ベーカリーや、アイスクリームショップ、およびほかのCPGへのサプライヤーとして飛躍することを期待している。

同社は、穀物、グルテン、人工香料を含まないカスタムのスプリンクルをミルクバーに供給する。ミルクバーは今後、自社のクッキーのレシピにスーパーナチュラルのスプリンクルを使用する。さらに、ミルクバーの創設者であるクリスティーナ・トシ氏はスーパーナチュラルの役員会に加入した。

「人々は従来にも増して、天然素材に追加料金を支払ってもよいと考えている。しかし、それほど多くの額ではない」と、ハーゲン氏は述べている。これをきっかけに同社は、ミルクバーとの独占的なスプリンクルを立ち上げる前に、米国を拠点とする新しい製造業者とともに、研究開発フェーズで一連のレシピをテストすることになったと、同氏は付け加えている。「消費者を相手にして数年間の成長を達成したあとで、当社はようやく、独自の製法による商品を共同で作り上げようと希望する製造業者と協力できるだけの規模に達した」と同氏は述べている。

そして、まったく新しいチャネルを立ち上げるときに起きる最大の課題のひとつは、製造のリードタイムと、大量の発注に対応するために倉庫を確保する必要性とのバランスをとることだ。

「フードサービスの注文を充足するには、多くの投資が必要だ」とハーゲン氏は述べている。B2C事業の立ち上げを支援するため、スーパーナチュラルは、ボブズ・レッドミルのフードサービス事業に以前従事していたコンサルタントを招き入れた。また同社は、これらの大量の注文を自動化するため、ウェブサイトポータルを構築する必要があった。現在、同社のバルクポータルでは、買い手が25ポンド(約11.3kg)から数千ポンドまでを発注できる。

ハーゲン氏は、大規模なチェーン店の興味を引くことは良いことだが、それだけが目標ではないと語る。「スクープ店やアイスクリーム店が当社とのB2Bに適しているとみなしている」と同氏は述べ、独立系業者は健康によい材料を求める可能性が高いと語る。スーパーナチュラルのフードサービスの当初の取引先には、ノーベイクド・コーヒー・ドウ(NoBaked Cookie Dough)、サン・アンド・ウォルブス・フィリピンクス・ベイクショップ(San & Wolves Filipinx Bakeshop)、コロラドのスイートアクション・アイスクリーム(Sweet Action Ice Cream)など、地域のスクープ店チェーンが名を連ねている。

B2Bの取り組みのなかには、キングアーサーベーキングの場合のように、スーパーナチュラルを大手ブランドとともにクロスプロモーションすることも含まれている。ハーゲン氏は、キングアーサーは数年にわたって同氏と接点があり、以前は、インフルエンサー向けのギフトセット、PR、イベントにスーパーナチュラルのスプリンクルを使用したことがあるという。この伝統的なベーキングブランドは今年、ホリデーコレクションでスーパーナチュラルと提携し、共同ブランドのバンドルに使用するために何千ポンドものスプリンクルを購入する。また、キングアーサーは同社のバーモント州にあるベーカリーでスーパーナチュラルのスプリンクルの使用および販売を開始すると、ハーゲン氏は語る。

大手にはない独自性

別のD2Cブランドであるスパイソロジーは、自社のフードサービスチャネルを重視している。香辛料と調味料のブランドである同社は当初、独立系シェフへの販売を2017年にテストしたが、この1年間でシェイクシャック(Shake Shack)やモッドピザ(Mod Pizza)のような、より大規模のクイックサービスレストランを加えた。

同社は今秋、シェイクシャックとのパートナーシップを拡大し、より多くのメニュー品目を作り上げた。このパートナーシップは1月に開始されたもので、バーガーチェーンである同社は自社のバッファローチキンサンドイッチに、専用のスパイソロジーのブレンドを使用する。現在のところ、同社は数十のレストラン店舗でこの商品を使用している。

スパイソロジーのイノベーションおよびパートナーシップ担当シニアディレクターを務めるトニー・リード氏は、シェイクシャックとの提携によって、フードサービスがマーケティングの機会としても機能することが証明されたと語る。「シェイクシャックのマーケティングキャンペーンのいくつかに、当社のロゴを使用できた」と同氏は付け加え、シェイクシャックの広範囲な顧客ベースのあいだで、スパイスブランドとしての認知を広めることができたとしている。

リード氏は、同ブランドが大手企業を引きつけることができる理由のひとつは、食品新興企業としての動きの速さと、特にサプライチェーンが不安定な状況で、大手サプライヤーには提供できない、独自で低コストの材料を提供できることだと語る。「たとえば、当社は食品の世界でトレンドとなっている材料であるビネガーパウダーを大量に利用している」と同氏は述べている。

リード氏は、スパイソロジーがシェフや業者からの需要があるほかの新しい材料として、マッシュルームパウダーを挙げている。「当社はシェフ向けに、時間とコストを削減するために役立つホワイトラベルブレンドプログラムも開始した」と、同氏は述べる。また同社は、独自のスパイスブレンドを提供するために各ブランドと協力している。同社は今年前半、ウイスキーブランドであるメイカーズマーク46(Maker’s Mark 46)と提携し、同ブランドの4種類のスパイスブレンドの立ち上げを行った。

収益の多様化と注文数量の増大をめざして

収益の多様化と注文数量の増大をめざすD2Cブランドにとって、B2Bはますます人気の高いチャネルになってきた。家庭用品ブランドのパブリックグッズ(Public Goods)は昨年、ホテル、レストラン、コーヒー店とのパートナーシップを強化しはじめ、パブリックグッズのバス用品やキッチン用品を供給するようになった。同様に、カクテルミックスブランドのオーウェンズクラフトミキサーズ(Owen’s Craft Mixers)はホスピタリティ向けのビジネスを成長させる目標を掲げ、バー、レストラン、スタジアムに商品を供給している。

小規模なチャレンジャーブランドが全国的な食品サプライヤーと対抗して規模を拡大するとき、最大の課題になるのはリソースだろう。たとえば、スパイソロジーは今年、需要が急増するなかでパートナーシップの運用を支える手助けとして、新たな人材を雇用した。リード氏は次のように述べている。「このようなレストランとの関係をさらに増やす余裕があればよかったのにと考えることがある。しかし、当社の成長を助けてくれる新しい高品質のパートナーを毎年1社か2社増やし、同時に当社の商品をそのパートナーの顧客に紹介していきたいと思っている」。

フードサプライヤーとして操業を開始したばかりのスーパーナチュラルにとって、ビジネスのこの部門を成長させることには無限の可能性があると、ハーゲン氏は語る。

同氏は次のように述べている。「今後1年間に口コミでさらに多くの顧客を獲得できることに期待している。最終的にはダンキン(Dunkin’)やティムホートンズ(Tim Hortons)を顧客にしたい」。

[原文:How startups like Supernatural and Spiceology are building out foodservice programs]

GABRIELA BARKHO(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Supernatural

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