DIGIDAYリサーチ: サードパーティCookie 廃止で利益を得る企業、損失を被る企業とは?

DIGIDAY

パブリッシャーとエージェンシーが一様に、サードパーティCookieが実際に廃止されるのかどうかについて、冷ややかな見方をしていることは以前報じたとおりだ。だが、現実化した場合、Cookieなき世界から恩恵を受ける者がいるとすれば、それは誰なのだろうか?今回、DIGIDAYリサーチがそれを明らかにした。

マーケティングおよびメディア業界では、サードパーティCookieのない世界がどんなふうになるのか、そもそも、実際にそうした世界が現実になるのかについて、際限のない推論がなされている。

パブリッシャーとエージェンシーが一様に、サードパーティCookieが実際に廃止されるのかどうかについて、冷ややかな見方をしていることは、米DIGIDAYがすでに報じたとおりだ。だが、現実化した場合、Cookieなき世界から恩恵を受ける者がいるとすれば、それは誰なのだろうか?

DIGIDAYリサーチでは2022年夏に、詳細を明らかにすべく、パブリッシャーとエージェンシー、ブランドの関係者132人を対象に調査を実施した。

DIGIDAYの調査から、パブリッシャーは、サードパーティCookieが廃止されると、Apple、Facebook、Googleが最も大きな恩恵を受けると思っていることが明らかになった。回答者のうち半数は、サードパーティCookieの廃止で多少なりとも恩恵を受けるのはAppleだと述べ、Facebookとの回答は38%、Googleは33%だった。エージェンシーとブランドの関係者も、トップ3についてはパブリッシャーと同意見だったが、回答の割合はかなり異なり、Appleが46%、続いてGoogleが33%で、Facebookは20%にとどまった。

興味深いことに、サードパーティCookieが完全に廃止された場合にパブリッシャーの運命にどう影響するかについては、パブリッシャーの関係者とエージェンシーおよびブランドの関係者とで意見が分かれた。エージェンシーとブランドの回答者では、パブリッシャーに多少なりともメリットがあると述べたのは17%にとどまるが、パブリッシャーの場合は、29%が、Cookieなき世界での行く末について楽観視している。

サードパーティCookieが廃止された(あるいはされる)際に、誰が損失を被るのかの特定においては、DIGIDAYの調査の回答者は、その答えは基本的に全員であることを示した。パブリッシャーの回答者は、ベンダーと広告主が最も損失を被ると述べ、サードパーティCookieの廃止で多少なりとも損失を被るのはベンダーと広告主という回答が、4分の3近く(73%)に達し、エージェンシーという回答が68%で、それに続いた。一方、エージェンシーとブランドの回答者では、73%が広告主とパブリッシャーが多少なりとも損失を被ると述べ、3分の2(66%)が、ベンダーと回答した。

だが、ここで重要なのは、サードパーティCookieの廃止で、これらの関係者すべてが、損失を被るとする回答者の割合が、利益を得ると考えている回答者の割合と比べて、いかに高いかということだ。DIGIDAYの調査で、サードパーティCookie廃止後に、多少なりとも損失を被ると答えた回答者が半数以下だったのはAppleとGoogleだけだった。Googleについてはほぼ半数に近く、サードパーティCookieの廃止で損失を被るという回答は、パブリッシャーの関係者では46%、エージェンシーとブランドの関係者では48%だった。

DIGIDAYの調査から、サードパーティCookieの廃止で誰が利益を得、誰が損失を被るかについては、パブリッシャー、エージェンシー、ブランドの意見が流動的であることも分かった。実際、GoogleがサードパーティCookie廃止の再度の延期を発表する前の今春からでさえ、意見を変えている。パブリッシャーの関係者の場合は、Google自体が利益を得るのか、損失を被るのかについて、意見を180度変えた。今春にDIGIDAYが実施した同様の調査では、パブリッシャーの回答者のうち54%は、サードパーティCookie廃止でGoogleが利益を得ると述べていたが、今夏にはこの割合が33%にまで低下した。一方、Googleが損失を被ると考えるパブリッシャーの割合は、今春の29%と比べて、今夏は46%にまで上昇した。

DIGIDAYの調査結果を見ると、エージェンシーとブランドも、サードパーティCookie廃止がGoogleに及ぼす影響について意見を変えている。サードパーティCookie廃止後にGoogleが利益を得ると述べたのは、今春はエージェンシーおよびブランドの回答者の半数だったのに比べて、今夏は回答者の3分の1にとどまった。また、直近の延期がFacebookに及ぼす影響に関するエージェンシーおよびブランドの関係者の考え方には、大きな差があった。Cookie廃止でFacebookが利益を得ると述べたのは、今春にはエージェンシーとブランドの回答者のうち37%だったが、今夏は20%にとどまった。一方、Facebookが損失を被ると述べた回答者の割合は、今春の42%から今夏の64%に上昇した。


[原文:Digiday+ Research: Who will gain and who will lose when (if?) the third-party cookie goes away?

Julia Tabisz(翻訳:矢倉美登里/ガリレオ、編集:黒田千聖)


Source

タイトルとURLをコピーしました