コンテンツマーケティング 成長の手段、エージェンシーはWeb3、インフルエンサーに注目

DIGIDAY

コンテンツマーケティングの需要が高まるなか、メディアエージェンシーやクリエイティブエージェンシーは、Web3やコンテンツクリエイターに目を向けている。

需要に対応し、クライアントの期待に沿う信頼性の高い本物のコンテンツをつくるため、エージェンシーがコンテンツ業務をフリーランサーに外注するケースが増えている。しかし、リソースの制約、特定テーマに関する業界知識の不足など、コンテンツマーケティングには多くの課題がある。

一部のメディアエージェンシーでは、具体的な測定基準の設定、Web3をはじめとする新しいメディアの開拓が解決策の一翼を担っている。そして、分散型インターネットのモデルであるWeb3への投資を実験する企業が増えている。ピュブリシス・メディア(Publicis Media)の最高コンテンツ責任者、エリック・レビン氏はDIGIDAYの取材に対し、コンテンツは「文字通り、すべてのものを意味する広範な言葉」であり、Web3の体験もそのひとつになったと述べている。

メタバースでのコンテンツ構築

コンテンツにおけるそのギャップを埋めるため、ピュブリシス・メディアはクライアントと協力し、メタバースに参入させている。たとえば、サムスン(Samsung)はVRプラットフォームのディセントラランド(Decentraland)に、ニューヨークの旗艦店を再現した。

しかし、メタバースで没入感のあるコンテンツをつくることは、その一部にすぎないとレビン氏は補足する。エージェンシーは、クライアントとの社内外での採用を促進するために、これが実際に何を意味するのかについて戦略的に考える必要がある。こうした戦略と一致する投資を行うため、ピュブリシス・メディアは、リニアTV以外の広告付き環境、広告なし環境における機会を狙い、制作、Web3、APXコンテンツ事業を構築してきた。

「どこで視聴しているかにかかわらず、人々に意味あるコンテンツを届けるためのインサイトとツールが必要だ」とレビン氏は話す。

また、メディアエージェンシーはコンテンツクリエイターやソーシャルメディアインフルエンサーと協力し、コンテンツマーケティングを拡大している。独立系エージェンシー、エクスベラス・メディア(Exverus Media)のマネージングディレクター、ビル・デュラント氏は、アーンドメディアとアフィリエイトコンテンツを比較し、後者は「パブリッシャーやインフルエンサーと真のビジネスパートナーになる」ものだと述べている。

パフォーマンスチャネルの補完としてのコンテンツ

パフォーマンスチャネルでは、ブランドや製品について深い話をするスペースが必ずしもないため、アフィリエイトコンテンツはメディアミックスの補完に役立つとデュラント氏は説明する。さらに、パブリッシャーやインフルエンサーを活用することで、真正性や信頼性を確立し、ブランドに対する信頼を築くことができる。そしてこれは、Z世代、多少ではあるものの、ミレニアル世代のオーディエンスへの訴求力となる可能性がある。

「コンテンツ制作をこれらのパートナーに任せることで、エージェンシーとブランドの処理能力が解放され、より多くのコンテンツを制作、テスト、サポートできるようになる」とデュラント氏は話す。「パブリッシャーやインフルエンサーが、ブランドとその体験について本物の声を伝えるのがベストだ。特に、Z世代とミレニアル世代が本物であることを評価する今、これは極めて重要になる」。

効果的なコンテンツを生み出すには、すべてのデータを分析し、結果を理解するためのツールと指標を持つことも重要だ。広告マーケティングエージェンシー、ベイダー・ラター(Bader Rutter)の最高コラボレーション責任者、アリソン・マデル氏は、オーディエンスを理解するため、検索エンジン最適化(SEO)や顧客関係管理(CRM)システムが広く使われているが、エージェンシーはその情報を実際のコンテンツに反映し、指標を提供する必要があると述べている。

「私たちは常に、ブランドとのつながりをつくり、コンバージョンに結び付き、ブランドについて伝えることができるコンテンツを探している」とマデル氏は話す。「コンテンツ制作は以前より難しくなったか? 間違いなくそうだ」。

ベイダー・ラターが気付いたのは、統合チームがコンテンツの目標達成に大きな役割を果たすということだ。コンテンツチームにさまざまな分野の人々が参加し、「協調性、機敏性、クライアントとの関係やコンテンツ開発のスキル」を発揮する必要があるとマデル氏は補足する。「コンテンツ開発はチームスポーツと捉えるべきだ。SEOから分析、UXまで、さまざまな分野をコンテンツ制作に効果的に関与させる方法を見つけることが、今後ますます重要になるだろう」。

広告のない環境に慣れたオーディエンスへのアプローチ

収入源としてコンテンツに大きく依存しているエージェンシーもあり、そのようなエージェンシーはコンテンツ戦略の一環として、今後も投資を続けていく可能性が高い。コンテンツ制作エージェンシーのバーブリオ(Verblio)によれば、現在、4分の1のエージェンシーが収入の半分以上をコンテンツ制作から得ているという。

多くのエージェンシーがコンテンツ業務を外注するなか、ピュブリシスなどの持株会社は組織内に300人以上のコンテンツ専門家チームを抱えている。これは、どの持株会社よりも規模の大きい集中型コンテンツプラクティスだと、レビン氏は述べている。ピュブリシスのチームは10年近く前からコンテンツを構築しているが、コンテンツマーケティングはこの2年で様変わりした。

「特にこの2年(余り)、従来型テレビに矛盾が生じており、ストリーミングのような新しい環境でできることの導入が遅れている」とレビン氏は話す。「一方、オーディエンスはコマーシャルが少ない環境やコマーシャルのない環境に慣れ、従来型のアプローチを拒否するようになっている」。

コンテンツや体験の選択肢は圧倒されるほど多く、そのなかで目立つコンテンツを制作できるかどうかはエージェンシー次第だ。ブランドが伝えるべきこととパートナーやプラットフォームの声のバランスを取ることがその答えだと、レビン氏は考えている。そのためには、クライアントの教育がこれまで以上に重要になる。

「コンテンツとクリエイティブが持つ役割の違いをクライアントに教えることが重要だ」とレビン氏はDIGIDAYに語った。「クリエイティブはブランドのメッセージを伝えるためのものだが、コンテンツはより深いストーリーを伝え、新しい方法で消費者の関心を引き、最終的に消費者に合わせて、その体験を邪魔することなく、(むしろ)高めるためのものなのだ」

[原文:Media Buying Briefing: Media agencies look to Web3, influencers to grow content marketing

Antoinette Siu(翻訳:米井香織/ガリレオ、編集:分島翔平)

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