婦人服小売のエバーイブ、PBが全収益の20%にまで成長:顧客を熟知した拡大戦略

DIGIDAY

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女性向けファッションブティックのエバーイブ(Evereve)は20年近くにわたり、ナショナルブランドの品揃えを中心にビジネスを行ってきた。自社の顧客が何を欲しがっているかを十分に把握した同社は、プライベートブランドを立ち上げることで、自らの手で課題を解決している。

2021年9月に発表したエバーイブコレクション(Evereve Collection)は、トップスや、ジャケット、アクセサリーの品揃えを特徴としている、毎シーズン新しいスタイルがリリースされ、8月下旬には、コレクションにデニムも加えることを発表した。

全国の店舗マネージャーからのフィードバック

2004年にメガン・タムテ氏とその夫により設立されたエバーイブは、当初の社名はホットママ(Hot Mama)だった。同社は全国に約96店舗を構え、150以上の高級なコンテンポラリーブランドを提供している。フリーピープル(Free People)やケネスコール(Kenneth Cole)などのブランドを何年にもわたって販売してきた同社は、買い物客の購買パターンやフィードバックに注目し、エバーイブコレクションの設立を決定した。それから1年後、このプライベートブランドは同社の収益の20%を占め、同社のもっとも大きな成長要因のひとつになった。

「当社は顧客と親密で、顧客について十分な知識があるため、保有するすべての情報を使用して独自のブランドを立ち上げることに決めた」と、エバーイブの共同創設者で共同CEOを務めるメガン・タムテ氏は述べる。「それがベストセラーとなった」。

同社は2021年に2億5000万ドル(約360億円)の収益を上げ、今年は3億ドル(約432億円)に達する見込みだ。プライベートブランドの商品ラインを追加したことが、成長の理由のひとつだ。同社にはeコマースサイトと、トレンドセンド(Trendsend)というデジタルスタイリングサービスもある。

タムテ氏は、エバーイブのことを「女性だけのための近所の店」と表現している。これは、よく見られるショッピングの行動について学ぶために、各店舗でスタイリストやマネージャーと密接な関係を保つということを意味している。また、同社はソーシャルメディアやインスタグラムライブを活用して、買い物客から直接フィードバックを受け取っている。

タムテ氏は次のように述べている。「当社には、顧客と密接に関わっている全国のマネージャーたちからフィードバックを受けることができるフィードバックループを持っている。私は、顧客にもっとも近い従業員と近い関係であることが、企業のリーダーにとって本当に重要だと常に感じてきた。それは我々にとって、店舗のマネージャーだ」。

利幅の大きいプライベートブランド

スタイリストとマネージャーから得られたフィードバックに加えて、現在のファッションのトレンドから、エバーイブはデニムへの拡大を行うことを決めた。デニムの品揃えには、ジ・エバー・ショート(The Ever Short)、ジ・エバー・ストレート(The Ever Straight)、ジ・エバー・トラウザー(The Ever Trouser)などさまざまなスタイルとカットが、24〜32インチのサイズで用意されている。同社のプライベートブランド全体を通して、商品はフィット感と生地の肌触りを重視している。顧客から得たデータに基づいて、エバーイブの顧客はスタイリッシュな衣服を求めているが、快適性を犠牲にしたくないと、タムテ氏は語る。

「プライベートブランドを持っていて、その品質が優れていて、ファンを獲得できれば、当然、その顧客を維持することができる」と、コンサルティング企業のザ・パーカー・アベリー・グループ(The Parker Avery Group)の代表を務めるマーティ・アンダーソン氏は語る。同氏によると、大手小売業者は、利幅を広げて商品の品揃えをより細かくコントロールするため、長年にわたってプライベートブランドを活用してきたと語っている。たとえばターゲットのプライベートブランドは、同社のアクティブウェアブランドであるオールインモーション(All in Motion)も含めて10億ドル(約1440億円)の売上を生み出してきた。ウォルマートはファッションデザイナーのブランドン・マックスウェル氏を戦略的に起用することで、同社のプライベートブランドの価値を高める取り組みを行ってきた。

タムテ氏は、プライベートブランドの急速な成長は、エバーイブのマーチャンダイジングチームの功績だとしている。2017年に同社はクリスティン・マックベイ氏を雇用し、エバーイブの最高マーチャンダイジング責任者とした。同氏はターゲットで11年を超える経験を持ち、マーチャンダイジングのさまざまな職位に就いていた。タムテ氏は、マックベイ氏がプライベートブランドを築き上げるための社内のデザインチームも作り上げたという。

エバーイブが17年以上の経験を持っていることも、同社のプライベートブランド戦略を周知するため役立ったと、小売代理店のレコンリテイル(Rekon Retail)でマネージングパートナーを務めるレベッカ・コンドラット氏は語る。同氏は次のように述べている。「同社には、自社セレクションの厳選によって何年もかけて築かれた信頼がある。このため買い物客は、エバーイブの名前が付いた商品を進んで購入する傾向がある」。

顧客が望むものを供給し続ける

しかし、プライベートブランドへの投資には、独自の課題もある。専門家は、プライベートブランドは小売業者の運営を複雑化し、在庫に投資するためにコストが増大すると語る。ベッド・バス・アンド・ビヨンド(Bed Bath & Beyond)などほかの小売業者の場合、プライベートブランドの商品はリードタイムが長いため、一部で在庫の問題を引き起こすことがあった。

現在のところ、エバーイブは顧客を観察し、プライベートブランドの商品ラインを拡大するためのほかの機会を探すことを計画している。タムテ氏は、同社が成長する可能性がある分野としてドレスに着目していると語る。パンデミックが終わり、対面の集会に参加する女性が増えているからだ。

プライベートブランドの提供とは別に、同社は店舗数を増やして成長を続けることを計画している。2023年までに100店舗の開設を計画している。

タムテ氏は次のように述べている。「我々はトレンドを絶えず観察している。拡大する機会と、顧客が望むものを供給する機会を探し続ける。しかしそれは、当社のすべての成長と同様に、極めて計画的なものだ」。

[原文:How Evereve’s private label took up 20% of its business]

MARIA MONTEROS(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via Evereve

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