ベンチャーキャピタル についてTikTokでわかりやすく説明するマギー・セラーズ氏

DIGIDAY

ベンチャーキャピタルを取り巻く男性社会にありがちな複雑な世界について、3万1000人のTikTokのフォロワーに教えているのが、マギー・セラーズ氏だ。「どうやったらこの業界に関わることができるのか、知識や経験を共有して、コミュニティを作ってくれる人がいたらよかったのにと思う」と話す。

ベンチャーキャピタルを取り巻く男性社会にありがちな複雑な世界について、この2月から3万1000人のTikTokのフォロワーに教えているのが、マギー・セラーズ氏だ。

セラーズ氏はベンチャーキャピタルの分野について「どうやったらこの業界に関わることができるのか、(自分が若かった頃にも)私のように知識や経験を共有して、コミュニティを作ってくれる人がいたらよかったのにと思う」と話す。

セラーズ氏の経歴は興味深いものだ。彼女は、カナダのサラダチェーンであるフレッシー(Freshii)の特別プロジェクトとマーケティング分析の仕事からキャリアをスタートした。そこからエレクトリックフィール(Electric Feel)のアーティスト開発およびブランド戦略の責任者になる。エレクトリックフィールは、ポスト・マローン氏、ブラック・アイド・ピーズ、24kゴールデン、イアン・ディオール氏といったミュージシャンのマネジメントを行っている会社だ。同社で彼女は企業に対し「株式の一部と引き換えに、セレブリティへのアクセス」を提供していた。今日、彼女は多くの企業への投資を行うほか、アドバイザーも務めている。その中には「CSOP(セレブリティ・ストックオプション・プラン)」契約の設計に関与したヌードスティックス(Nudestix)などがある。また、メガネブランドのフューチャームード(Futuremood)、ヘルシーなクッキー生地のドゥ(Deux)、ネイルポリッシュブランドのファコルティ(Faculty)といった企業へのアドバイスも行っている。

教育ツールとなるTikTok

以前のセラーズ氏は、TikTokでライフスタイルに関するコンテンツを気軽に投稿していた。その日に食べたものやビジョンボードの制作過程を紹介する動画を作っていた。だが友人から、自分の専門知識をもっと活用するよう勧められ、2022年初頭にベンチャーキャピタルでの自身のキャリアについて話すようになった。

TikTokはもはやティーンエイジャーがベッドルームで踊るためのアプリではないということは、現在すっかり定着している。「金の弁護士エリカ」ことエリカ・クルバーグ氏は、なんと900万人ものフォロワーがいて、そのフォロワーに「(契約書などの)細かい規定」について解説することで知られている。動画の最中や動画の最後で、クルバーグ氏は自分のことを三人称で呼び、「弁護士のエリカが細かい規定を読んでくれるから、私が読む必要はない」と、熱い決め台詞を言う。また、消費者ブランドを中心にビジネス戦略について語るダルマ・アルタン氏がいる。アルタン氏と同様に、セラーズ氏もセレブリティブランドについて話している。たとえば、ヘイリー・ビーバー氏のロード(Rhode)が成功すると思う理由についてセラーズ氏は動画を作成しており、ビーバー氏がブランドをローンチする前から美についてオーガニックに語ってきたことで「隠れた信頼性」が築かれているからだと述べている。

TikTokがZ世代に好まれる検索エンジンになったことで、TikTokはまた教育ツールにもなり、部外者にはよく知られていなかった業界の事情や情報にアクセスできるようになった。

自分が作ったコンテンツで投資について学んでほしい

10万ビューを達成している最初に成功した動画では、セラーズ氏は「スタートアップに投資することの意味、なぜそうするのか、実際に儲かるのはいつなのか」を分けて説明している。この動画には多くの質問が寄せられた。あるコメントは「どうやってこの仕事をしているの? とても興味がある」と彼女に尋ねており、また別のコメントは「でもどうすれば投資先を見つけて参入することができるの? ほとんど(の機会は)一般人が参加できない」とあった。それを受けて、セラーズ氏はすぐに行動を開始した。

投資を始めるにあたって、セラーズ氏自身はモノよりも企業の株式にお金を使うことを優先させたと話す。「もちろん、すべての会社に投資できる5万ドルの小切手などは持っていなかった。でも、株式のパワーは知っていた。そこで、新しいハンドバッグや新製品をあれこれ買う代わりに、手始めに2500ドル(約36万円)、あるいは5000ドル(約72万円)と、実際に企業に投資するためのお金をいつも貯めていた」。彼女は少額の資金を別々に投資していくことが多く、また一緒に仕事をしている企業のアドバイザーも務める。

TikTokで目にした「いいね!」を通じて、セラーズ氏は自分が制作しているコンテンツに対する人々の関心に気づいたという。「自分のアカウントが成長し始めたとき、昔から不透明でエリート主義で、誤解の多いこの業界について明らかにすることにフォーカスしようと考えた」と彼女は言う。「ベンチャーキャピタルにいるなら君も仲間だ、というような、『知ってる人ならわかるよね』という雰囲気がこの業界にはある」。彼女は、自分のコンテンツがそれを変えるのに役立ってほしいと考えている。「自分がやっていることに対するお手本は見たことないし、私自身、こんなことをするとは思ってもみなかった」と彼女は言う。「でもとにかくもっと多くの女性に、資本政策に付加価値を与えるパワーについて理解してもらいたいと、情熱を注いでいる」。

[原文:Glossy Pop Newsletter: Maggie Sellers is demystifying VC on TikTok]

SARA SPRUCH-FEINER(翻訳:Maya Kishida 編集:山岸祐加子)


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