ソーシャルコマース の鍵は「スクロールして発見」:「再開発」されるショッピング体験

DIGIDAY

ソーシャルプラットフォームでの販売は新しいことではない。各プラットフォームはここ数年、ショッピング機能と関連のアップデートを提供してきた。しかし、今年はマーケターにとって、この要素がより大きな焦点になりつつある。

TikTokやインスタグラムのようなプラットフォームは、人々がお気に入りのクリエイターが紹介するものを見て、購入を意図してクリックし、アプリを通じて購入することを容易にすることを目指している。そのため、マーケターにとってソーシャルコマースはより重要なものになっているのだ。

販売まで担うクリエイター

ユーザーたちはアプリからわざわざ外部サイトにアクセスして何かを購入する、ということを全くしない(購入プロセスをすべてソーシャルアプリ上で済ませたい)かもしれない。そんな世界に対応するため、マーケターたちは、全体的なマーケティングアプローチを調整する必要がある、とマーケターやエージェンシーの幹部たちは言う。

「以前は、クリエーターにブランドのティーザー的な動画をやらせていた。いまでは、彼らに(ブランドプロダクトの)紹介をするためのショーをやってもらう必要がある」と、最近WPPに買収されたインフルエンサーマーケティング代理店ビレッジ・マーケティング(Village Marketing)の創設者ヴィッキー・セガー氏は述べた。

「これはまったく異なるアクション喚起だ。以前であれば、クリエイターは関心を集めてユーザーを(ブランド)に誘導し、ブランド自身が販売を完了していた。いま、ブランドはクリエイター側で販売を完了してもらう必要がある」。

「発見」が中心のショッピング体験

TikTokやインスタグラムなどのプラットフォームがソーシャルコマースを優先するようになるにつれ、マーケター、エージェンシー幹部、クリエイターたちは戦略の「大きな転換」に取り組む必要が出てくるだろう。インフルエンサーとのコラボレーションは今後、ブランド認知やメディアプレイのレベルを超えて、プラットフォーム内の「コマースエンジン」になるとセガー氏は述べた。

米DIGIDAYが以前報じたように、ロレアル(L’Oreal)のような大手マーケターは、すでにTikTokを通じたコマースに注力している。

「これまでのeコマースで最も重要だったのは商品補充の側面だった。これは、機能的かつ実際的な動機に基づいていた」と英国・アイルランドロレアル(L’Oréal UK and Ireland)のCMOであるレックス・ブラッドショー=ザンガー氏はTikTok上でのショッピングについて、以前米DIGIDAYに語っている

「TikTokとそのクリエイターたちはすべて『(偶然)発見される』ことを中心に動いている。そのため、クリエイターを視聴することの楽しさに合わさって、アプリをスクロールしていくという『発見』の要素を中心に、ショッピング体験が改めて開発されようとしている」。

これからの拡大は確実

ロレアルだけではない。マーケターやエージェンシーの幹部らは、ソーシャルコマースに関する議論や、ソーシャルコマースに焦点を当てたプラットフォーム戦略をテストする計画が盛り上がっていると述べている。メカニズム(Mekanism)のパートナーでCSO(Chief Social Officer)のブレンダン・ガーン氏は「今年はライブ・ソーシャルコマースでいくつかのテストキャンペーンを行う予定だ」と語った。「間違いなく、この分野での認識が広がり、人々の期待は大きくなっている。全体的に見て、この分野はまだ初期段階のように思われる。しかし、これから大きくなることは明らかだ」。

「これは、iOS 14における(広告)ターゲティングは以前と違うものになったというマクロでの動きとも連動している。そのため、コミュニティと協力してソーシャル経由で直接販売することは、かなり成長しそうだ」と同氏は続けた。

プラットフォーム経由でのショッピングが増えたこのソーシャルメディア状況の変化に適応するために、ブランドがどのようにクリエイターやプラットフォーム、エージェンシーと連携していくのかはまだわからない。それでも、プラットフォームがソーシャルコマースを強調する中、ブランドたちはそれを活用する方法を模索している。

コマースが獲得の手段にも

「ソーシャルコマースはより一般的になり、利用する人々の数も増える一方だ」と、電話会社ビジブル(Visible)のCMO、シェリル・グレシャム氏は語る。同社は小売店を持たず、eコマースを通じて新規顧客を獲得することに注力している。

「私たちもこのことについて検討している。私たちは今この分野を観察しており、この方法で潜在的な会員にリーチするために、将来どに向けてどのように構築する必要があるかを考えている」。

同氏は「テクノロジーが現状を維持することを考えると、その一点だけでも今後、ますます一般的になるだろう」と付け加えた。

[原文:Marketing Briefing: ‘Build for the future’: Marketers and agency execs want to make their advertising work for social commerce

Kristina Monllos(翻訳:塚本 紺、編集:黒田千聖)

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