安倍晋三首相の国葬をめぐり、台湾と中国が「空中戦」を展開している。台湾は国葬に代表者を派遣する意向で、中国側は「『台湾独立』勢力が政治工作を行う場を提供しないようにすべき」だと反発している。
駐日大使に相当する台北駐日経済文化代表処の謝長廷代表はフェイスブックの書き込みで、台湾側の代表は「国際的な礼儀と態度を守る」とした上で、過去に中国大使と鉢合わせした際の振る舞いを「マナーのなさを感じた」と指摘。議論は外交の場での「品格」にも及んでいる。
中国外務省「『台湾独立』勢力が政治工作を行う場を提供しないようにすべき」
台湾当局の外務省に当たる外交部の欧江安報道官は2022年9月8日の記者会見で、国葬に派遣する代表者の人選を進めていることを明らかにしたうえで、
「日本側と連絡を取り合い、関連する計画が完了した時点で順次お知らせする」
と述べた。
この会見を受ける形で、中国外務省の毛寧副報道局長は同日の会見で、
「『台湾独立』勢力が政治工作を行う場を提供しないようにすべき」
だとして、台湾代表の参列を認めないように求めた。さらに
「台湾当局がこの機会を利用して、政治的工作を行い、政治的発言を行い、政治的企図を成功させることは不可能だ」
とも主張した。中国が国葬に代表を送るかについては「お答えできる情報がない」とするにとどめた。
安倍氏をめぐっては、台湾当局が7月に頼清徳副総統を葬儀参列のために日本に派遣し、中国側が反発した経緯がある。
謝代表は9月12日のフェイスブックの書き込みで、中国側の反応に触れる中で
「台湾の総統と副総統は国際的な視野を持っており、日本で国葬に出席することはないだろう」
とする一方で、頼氏が7月に「低姿勢」で参列したことを引き合いに、仮に蔡英文総統が参列した際のたとえ話として
「習近平(主席)に会っても、国際的な礼儀と態度を守り、開催国に迷惑をかけることはないだろう」
と書き込んだ。
その上で、3年以上前に参加した園遊会での出来事として、中国側の「マナーのなさ」を次のように指摘した。
「安倍首相があいさつに歩いてくるのが見えたので、3歩ほど近づくと、左側15歩手前のところに中国大使が歩いてくるのが見えた。あいさつしようとしたが、彼は私を見るとすぐに右に向きを変えて去っていった。マナーのなさを感じた」
(J-CASTニュース編集部 工藤博司)