TV広告 の売上への貢献を測定する、オムニコムとインスタカートの提携

DIGIDAY

今年のカンヌライオンズで大手エージェンシーホールディンググループのオムニコムは様々な動きを見せていた。そのなかでも注目を集めたのは、食品配達サービスのインスタカートと戦略的パートナーシップだろう。この提携は両社のデータと測定の共有を含んでおり、売上とテレビ広告をより直接的に結びつけることができる。

今年のカンヌライオンズで大手エージェンシーホールディンググループのオムニコム(Omnicom)は様々な動きを見せていた。そのなかでも注目を集めたのは、食品配達サービスのインスタカート(Instacart)と戦略的パートナーシップだろう。

この提携は両社のデータと測定の共有を含んでおり、売上とテレビ広告をより直接的に結びつけることができる。

「広告を見て購入したか、が重要だ」

この提携でおそらくもっとも興味深いのは、インスタカートがオムニコムが最近同社のマーケティング運営プラットフォームに構築したデータクリーンルームのインフラと連携するために、データ経路を構築している点だろう。このクリーンルームのセットアップは、プランニングと測定のためにオムニコム・メディア・グループ(Omnicom Media Group、以下OMG)がNBCとディズニー(Disney)と結んでいるパートナーシップにアクセスすることになる。

インスタカートは、消費者がオンラインで商品を探し購入するという膨大な販売データを武器に、広告代理店やCPGブランドは、そのデータを武器に、より効果的な効果測定や販売促進を行えるようになるというわけだ。

OMGの最高アクティベーション責任者であるメーガン・パグリウカ氏は、この提携は、ブランドのメディア投資の様々な側面に分析を提供するというOMGの目標を推進し、測定を強化することで広告費を投入することの価値を証明するのに役立つだろうと説明した。

「HuluやNBCを見てから、インスタカートで買い物をした人たちを測ることができる」とパグリウカ氏は言った。「これは非常に大きなことだ。なぜなら、従来のテレビ広告購入はGRP(延べ視聴率)やリーチ、フリークエンシーを基準に考えられていた。それに対して今は、『広告を見てインスタカートのリストに追加して買ったか』ということが重要になっている」。

「データは石油、メディアはエンジン」

「たとえば将来的には、家庭用クリーニング用品ブランドであれば、Huluでの広告がインスタカートでの商品購入をどのように促進したかをよりよく理解できるようになるだろう」とインスタカートの広告販売担当バイスプレジデントであるライアン・メイワード氏は語った。

「私たちはオムニコムと共同でバスケット分析とコンテンツ消費トレンドを深く掘り下げ、どの製品が視聴者からもっとも反応を得られるかをクリーニング用品ブランドが理解できるようにすることができる。目標は、消費財ブランドがビジネスをよりよく理解し、成長機会を特定するために必要なデータとショッピングの洞察を提供することだ」。

「データは石油であり、eコマースやデジタル体験は船だとして、メディアはそれを前進させるエンジンだ」と語るのは、フォレスター・リサーチ(Forrester Research)のバイスプレジデントでありエージェンシーアナリストであるジェイ・パッティサール氏だ。「これらのことはすべて連動して動いており、非常に急速に変化するデジタル環境で競争力を維持するための競争の一環だ」。

パグリウカ氏はまた、この動きがエージェンシー内や消費財ブランドにおける、ブランドとショッパーの予算融合にさらなる一歩をもたらすと指摘した。「(ブランドとショッパーの)壁が崩壊しつつある。そのなかで、これを別個のものとして捉えるのではなく、一緒に捉える方がはるかに良い結果が得られる」。

[原文:Omnicom and Instacart agree to share data that connects sales data to TV ad spend

Michael Bürgi(翻訳:塚本 紺、編集:分島翔平)


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