Glossyのファッション&ラグジュアリーサミットの2日目、ファッションとラグジュアリーブランドのリーダーたちがワーキンググループに参加し、eコマースの水準が高まりが、ブランドや小売業者にどのような結果をもたらすかについて意見を交わした。ディスカッションの主要テーマはAmazonだったが、最終的にはメタバースにおけるブランドの機会にまで及んだ。フェイスコネクション(Faith Connexion)のCEOマリア・ブッチェラーティ氏は、メタバースへの注目の高まりは、いずれインフルエンサーの終焉とアバターの台頭をもたらすだろうという。
「インフルエンサーは終焉期にある」とブッチェラーティ氏は述べた。
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進化するeコマースとメタバースの両方を模索するなかで直面する問題や次善策について知るために、創業者やエグゼクティブたちの言葉を紹介する。
【質問】ファッションブランドはAmazonで販売すべきか?
「ベンダーからのコストを相殺するために、D2C(販売)の一部をAmazonに転換しようと試みているが、うまくいかない」。
【解決策1】Amazonでの販売は避ける。
「Amazonはデータ企業だ。人類が作り出したあらゆる商品をウェブサイト上に掲載し、人々をそこに呼び込み、呼び込んだ人々を調査したいと考えている。だからこそ価格設定が意味をなさないし、Amazonが下す多くの決定が奇妙なことになっている。Amazonは、我々がどんな商品を売ろうがかまわない。Amazonで売るのは大いに結構だが、Amazonは小売業者ではないので、何の面倒もみてくれない」。
【解決策2】製品をどのように販売するかに注力することが重要。
「Amazonはあまりに大きくなり、人々はアートを含む非常に多くの高額商品をAmazonのマーケットプレイスで購入するようになった。成功するかどうかは、どのようにマーケティングし、どのように販売するかということがすべてである。Amazonの買い手は非常に特殊なタイプなので、かなりキュレーションする必要がある。Amazonで購入する人は、あなたのD2Cサイトや小売店では購入しないかもしれない」。
【質問】Amazonの偽造品業者への対策はあるか?
「偽造品業者と転売業者の両方に関して問題を抱えている。当社の製品を買おうとしている顧客がAmazonに行って、偽造品や転売品を見つけてしまう。そうした複製品が存在するために、当社がAmazonで販売しているかのように思われてしまうのだが、実際にはそうではない。対策として我々はAmazonで販売する必要があるだろうか。そうでない場合、どう対抗すればよいのか」。
【解決策】Amazonのプラットフォーム上に商標を作成する。
「(ブランドを守るために)商標を設定することができる。Amazonのアカウントは不要で、ブランド登録を通じて設定するだけだ。そしてそのアカウントへのアクセスを許可したい人だけに許可することができる」。
【質問】ラグジュアリー商品の販売には、どのプラットフォームを使うべきか?
「Amazonファッションとラグジュアリーストアが好調というが、まだ成功しているとは思えない。(Amazon)が高価格帯の商品にとって適切なプラットフォームなのか、そうではないのか、いつどのように判断するのか」。
【解決策1】Amazonで特定のラグジュアリーコレクションを出品し、必ず自社のD2Cサイトにリダイレクトさせる。
「ベストな方法は、Amazonで商品を見た人に対して、『Amazonにはいくつかアイテムがあるが、我々のメインウェブサイトには製品のコレクションが揃っているので、うちのサイトに来てくれ』と言うこと。まずAmazonで買い物をする顧客を引きつけて、その製品を気に入ってもらえるなら、メインのウェブサイトにリダイレクトして販売する。顧客を獲得するという意味で、本質的にAmazonをもうひとつのチャネルとして活用する」。
「実はAmazonのサイトはバックエンドが非常に安定していて、本当に美しく、かなりブランド化されたエクスペリエンスをAmazon上に作り出すことができる。動画も掲載できるし、まったくAmazonとは思えないような体験を生み出すことが可能だ。あとは顧客で決まる。そうした体験をしても、多くの場合はおそらくAmazonでは購入せずにブランドのサイトから購入するだろう」。
【解決策2】ベリショップ(Verishop)、ファーフェッチ(Farfetch)、オーチャードマイル(Orchard Mile)など、ほかのサードパーティマーケットプレイスも検討する。
「正直なところベリショップはブランドにとって好都合だ。なぜなら、実際に完全なソーシャルメディアチームが存在しているからだ。製品を受け入れ、それを売り込んでくれる。自社サイトでも使用できるすばらしい資産を提供してくれるだろうし、それらをとても簡単に行えるようにしてくれる」。
「オーチャードマイルは、どちらかというと小規模なラグジュアリースタートアップなので、当たり外れがある。だが、ドルチェ&ガッバーナ(Dolce & Gabbana)のようなトップブランドはすべてそこにいるので、露出という点ではすばらしい」。
「ファーフェッチは、Amazonのラグジュアリー部門と比較すると、現在、エンパワメントという感覚が進んでいる。ファーフェッチは多くのイベントに資金提供をしている。(そうしたイベントのために)アイテムを作り、オーナーと協力して(そのイベントを)ブランディングしている。ファーフェッチにとって重要なのは、あなたが単なるブランドのひとつではなく、自分たちのパートナーであると感じてくれることだ。
また、ファーフェッチにはプラットフォーム・イー(PlatformE)もある。これは、ユニークでカスタマイズされたアイテムを制作する別部門だ。こうした要素はとても重要で、違いを生む。ラグジュアリーの世界に参入する際、重要なのはマスではない。(顧客は)何か特別なものを求めている。ファーフェッチはそこを理解している。また、メタバースにおけるマーケティングも模索している」。
【質問】eコマースのマーケティングにインフルエンサーは必要か?
「私はデジタル広告とeコマースの出身で、これらのプラットフォームの進化をずっと見てきた。ライブコマースを今のところうまく活用している人がいるのかどうか興味がある。もしそうなら、それはどんな感じなのか?」
【解決策1】ライブコマースをやってみる。
「パンデミックの際にショップショップス(ShopShops)を活用したが、視認性がすばらしかった。販売については、プラットフォーム上で割引やスペシャルコードを提供すれば、それだけの価値がある」。
【解決策2】メタバースに売り込む
「メタバースは、大きなゲームチェンジャーになるだろう。(フェイスコネクションは)パリで開催したイベントをメタバースにも反映させた。現実世界では250人が参加し、ディセントラランド(Decentraland)では8万5000人のゲストが参加した。(後者は)メタバースファッションウィーク(Metaverse Fashion Week)の一環だった。すばらしかった。(メタバースのリーチは)インフルエンサーのリーチよりも拡大していくだろう」。
[原文:Inside the Glossy Summit: Selling luxury on Amazon vs. Farfetch vs. Verishop]
TATIANA PILE(翻訳:Maya Kishida 編集:猿渡さとみ)