ホカ 、初のグローバルキャンペーンでコネクテッドTVを採用:若年層へのリーチ拡大へ

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アスレチックフットウェア企業のホカ(Hoka)は、自社初のグローバルキャンペーンで、コネクテッドTVなどのマーケティングプラットフォームを採用する。それにより、これまで舞台裏での小売の成長に集中していた同ブランドは、広く一般への販売に向けて大きな一歩を踏み出すことになる。

この「フライ・ヒューマン・フライ(Fly Human Fly)」キャンペーンは32か国で開始される。60秒のスポットCM、デジタル広告看板などの屋外広告の設置、ソーシャルメディアとデジタル広告が行われる。しかし、北米におけるキャンペーンの基盤となるのは、この新しい広告をHulu(フールー)、ロク(Roku)、YouTube TVなどのコネクテッドTVのプラットフォームにおいて放送することだ。

コネクテッドTV経由の新規ユーザーは80%に

ホカのキャンペーンは、競合の激しいアスレチックフットウェア分野に割り込むため、これまでは主に卸売での流通とパートナーシップに頼ってきたブラントにとって、成長の触媒となるポイントだ。ほかの小売業者にとっては、実験的なキャンペーンで新しいオーディエンスにどのように訴求できるかのケーススタディとなる。

ホカのグローバルブランドマーケティング担当バイスプレジデントを務めるノーマ・デラニー氏は、北米における同ブランドの予算の30%がコネクテッドTVに注ぎ込まれたと、米モダンリテールに語った。同氏は、このプラットフォームによって従来のテレビ広告よりも「アクティブな大人たち」をより効果的にターゲットにできると語る。

同氏は次のように述べている。「当社は一般に、フィットネスランナーやハイカーに分類される人々に語りかける。コネクテッドTVによりその間口を広げ、しかも的確にターゲットを絞ることができる」。

キャンペーンが開始されて1週間で、コネクテッドTVの広告からホカのサイトを訪れるトラフィックの80%以上は新規ユーザーからのものとなった。

全体として、ウェブサイトへの訪問数は68%増加した。また、ソーシャルプラットフォーム全体でフォロワーが1万4000人増加し、このキャンペーンでブランドへの認知が促進され、新しい顧客を引きつけたことが示されたと、デラニー氏は述べている。

卸売販売を主販路にしてきたホカ

ホカは2009年に創設され、2013年に数十億規模のデッカーズブランド(Deckers Brand)に完全に買収されたが、2022年度には収益が前年比で56%増加し、9億ドル(約1220億円)近くに達した。同社は、第3四半期に多少の欠品と在庫の遅延が発生したにもかかわらず、デッカーズのポートフォリオ収益の4分の1以上を占めている。

デッカーズのプレジデント兼CEOを務めるデイブ・パワーズ氏は、2022年5月の決算発表において、この成長が既存の専門小売業者や卸売パートナーとともに市場シェアを拡大したことにより促進されたと語った。同社のウェブサイトに掲載されているD2C売上高のほかにも、ホカの商品はフリートフィート(Fleet Feet)、アールイーアイ(REI)、ディックススポーティンググッズ(Dick’s Sporting Goods)などのアウトドアやアスレチックの店舗で販売されている。

ホカの商品はこの夏、フットロッカー(Foot Locker)の一部店舗で販売される。「ホカが既存の販売チャネルではまだ存在感を示せていない主要市場の若い消費者に向け、ブランドの露出を増やすため」と、パワーズ氏は述べる。

リーチ拡大へ

卸売市場は売上を促進する大きな要因だが、同社はデジタルマーケティング活動により18歳から34歳までの買い手も対象としてきた。ニューヨーク、ロサンゼルス、シカゴのような大都市におけるポップアップ市場も、ブランドへの認知を促進するため役立ってきた。同社は2023年度末に、最初の恒久的な店舗をニューヨークに開設することを計画している。

「ホカのブランドの新しい戦略的な卸売販売、ターゲットを絞ったデジタルマーケティング活動、そして主要な市場におけるポップアップ小売店舗は、ブランドへの認知を広めることによって、全世界で顧客獲得を推進するよう総合的に設計されたものだ」とパワーズ氏は述べている。

このような舞台裏での成長計画について、同社がこの時期を選んで新しいグローバル広告キャンペーンを開始したのは、「当社がブランドへの評価を、商品への評価と同じように特別なものに高めたいと考えたからだ」と、デラニー氏は米モダンリテールに語った。

「我々は、すべての作業をつなぐブランド言語と視覚的ボキャブラリーを発信することに、多大な努力を行ってきた」と、同氏は述べる。

60秒のスポットコマーシャルには、ランナーが虹色に染まった街並みを、ニーナ・シモン氏の「フィーリング・グッド(Feeling Good)」のEDMスタイルのカバーのサウンドトラックに合わせて進む映像が収められている。目立つ明るい色使いと、新しい「フライ・ヒューマン・フライ」のタグラインが、キャンペーンのアセット全体を通して散りばめられている。

このキャンペーンの背後にある考えのひとつは、第一線のアスリートやハイカーだけではなく、「プレップアスリート」、すなわち高校・大学のアスリート、高齢者、および普段から履けるものを探している人々など、より幅広い層に対象を広げることだ。

「当社は、この非常に競合が激しいカテゴリーに新たな商品を持ち込む」と、同氏は述べている。

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アパレルブランドとの相性

デジタルコマースプラットフォームのコマースツールズ(Commercetools)で最高マーケティング責任者を務めるジェン・ジョーンズ氏は、アスレチックフットウェア分野には多くの実績のある大手業者が存在することを考えると、ホカにとって、コネクテッドTVの分野を試してみるのは特に有意義だと語る。

同氏は次のように述べている。「このようなブランドにとっては目立つことが必要で、このキャンペーンは市場に送り出すブランドに対して的確なものと思われる。同社のブランドの信頼性を高めるためにも役立つと、私は考えている」。

コネクテッドTVは新しい分野であるため、投資対効果の高い方法で実験を行えると、ジョーンズ氏は語る。しかし、この形式の人気は上昇しつつある。IABニューフロンツ(IAB NewFronts)がスタンダードメディアインデックス(Standard Media Index)およびアドバタイザーパーセプションズ(Advertiser Perceptions)とともに作成した2022年5月のレポートによれば、コネクテッドTV広告への出資額は2021年に合計152億ドル(約2兆700億円)に達した。この分野は今年39%増加し、212億ドル(約2兆8800億円)に達すると予測されている。

「我々は、物事が急激に変化しようとするのを目の当たりにしている」とジョーンズ氏は述べる。

同氏は、ブランド、特にアパレル関連ブランドは、顧客が存在する場所で顧客に接触するためにコネクテッドTVに着目することは必須だと語る。若い世代の購買力は増加しており、従来のテレビコマーシャルにはあまり感銘を受けないと、同氏は述べている。

同氏は次のように述べている。「アパレルやファッションの分野では、多くの試みが行われるだろう。これらのブランドは、自社顧客と歩調を合わせるため、ずっと先のことを考えている」。

[原文:Why Hoka is experimenting with connected TV in its first global campaign] 著者:Melissa Daniels(翻訳:ジェスコーポレーション 編集:)

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