サステナブルビューティ で美容業界にイノベーションを起こす:アクセラレータープログラム採択者2社の事例

DIGIDAY

本記事は、MASHING UPからの転載となります。

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グローバルの美容業界では、既にスタンダードとなりつつあるサステナビリティの視点。コスメロス(大量廃棄)の問題、原材料の調達における持続可能性や透明性、多様なバックグラウンドを持つ顧客をターゲットとするユニバーサル性など、業界は大きな変革を求められている。

今回、「美容」を通して社会を変えるべく挑戦する2社のスタートアップに、ビジョンを形にするまでの道のり、そしてそれを支えるアクセラレータープログラムの価値について聞いた。

コスメ事業とは無縁だった。想いを実現に導いた支援プログラム

2022年3月に新たなブランドが始動した。日本発のクリーンビューティブランド「7NaNatural(ナナチュラル)」だ。天然由来成分100%のクリーンカラーコスメは瞬く間に話題となり、アイカラー、チーク、リップに使えるマルチカラースティックは、早くも感度の高いZ世代を中心に、幅広い世代に支持され始めている。

このブランドを立ち上げたのは、化粧品づくりは全くの初心者だったという、メディアジーンの中村圭さん。彼女はメディア会社の編集者であり、美容業界のクリエイティブ開発やコミュニケーション支援の仕事が本業。これまで化粧品を作った経験はない。ただ「社会・地球環境課題に向き合い、解決の糸口を探っていくようなブランド体験を創出したい」という想いが強くあったという。

そんなコスメ事業とは無縁だった彼女の想いを実現へと導いたのが、2020年に始まった「ビューティーアクセラレータープログラムTOKIWA Lab.」だ。

TOKIWA Lab.は、国内カラーコスメ製造・開発事業(OEM/ODM)において、10年連続で、No.1のポジションを堅持している化粧品受託製造の老舗企業 トキワが行うアクセラレータープログラム。「高品質・高機能を誇るJビューティーを世界中に届ける」、「消費者目線の製品をつくる」、そして「持続性を意識した、人と地球に優しい製品をつくる」の3つが、このプログラムの目指す着地点だ。

アクセラレータープログラムの第1回目でアワードを受賞し、採択されたのが、社会・地球環境が抱える7つの課題解決を目指したブランド、7NaNaturalだ。

「7NaNatural」は社会・地球環境が抱える7つの課題解決を目指したブランド。「人に左右されないTrend Free、使い切れるミニサイズのGuilty Free、使い方自由なFree to Use、再生プラスティック原料を使用するWaste Free、7つの化学成分不使用のChemical Free、固定観念にとらわれないFree your mind、そして誰もが安心安全を手に取れるEconomic gap Freeを実現したい」とブランド名の由来を語る、ブランドディレクターの中村圭さん。撮影/MASHING UP編集部

「応募した当初、私たちはコスメ事業に関しての知識に乏しく、自分たちの事業の市場規模すらすぐには答えることができないほどでした。最終プレゼンでは、どう売り場を作るのか、商品のバリエーションやSKUはどうするのかなど、いろいろ質問されました。TOKIWA Lab.メンバーの皆様には事業計画を作成する段階でもいろいろなアドバイスをいただいていました。そのように、プログラムのスタートから一緒に伴走し、スタートアップとしては未熟な状態の私達にも、事業としての可能性を見出してもらったのは、ありがたかったです」(中村さん)

発色が命と言われる、カラーコスメ。天然由来成分100%で目指す色味を実現するのは、かなりハードルが高い。トキワの製造担当者と何度も試作を重ね、ようやく理想の色が実現したという。

「開発担当の方や製造現場の方が粘り強く付き合ってくださったおかげです。クリーンビューティへの意識が高いところも、TOKIWA Lab.とご一緒したかった理由のひとつです」(中村さん)

7NaNatural の商品は、鉱物油・石油系界面活性剤、紫外線吸収剤、合成香料、パラベン・防腐剤、シリコン、アルコール、タール系色素の7つの成分不使用。そこにこだわると表現できる色のバリエーションがどんどん減っていくなかで、何度も試作を重ね、たどり着いたのがオリジナル配合のラメ。天然由来成分100%、マイクロプラスチックフリーでありながら高発色をかなえる突破口になったのだという。画像提供/7NaNatural

また、上市した後の手厚いサポートも、TOKIWA Lab.の大きな特徴。審査員を務める美容業界の第一線で活躍するリーダー陣から、販路の開拓や販売戦略のアドバイスなどが得られる。7NaNatural のECサイトではカラーパレットは完売、すでに増産に入っているという。さらに、2022年7月16日からは、ロフト23店舗など全国の小売店での販売も決まっている。

今後は「より、ひとや社会にインパクトのあるブランド体験を生んでいけるように、他企業やアーティストとの共創、協業などにもチャレンジをして、ひとと世界をナナイロにするミッションを遂行していきたいと考えています」と、中村さんは語る。

2度目の挑戦で、Jビューティを世界に送り出す

韓国や中国発の美容ブランドが世界で存在感を強めるなか、Jビューティは遅れをとっているのが現状だ。しかし、ここを商機と捉え、挑戦に臨むのがアメリカに拠点をもつ「Cosme Hunt Japan」のCEO高橋麻衣さん。第2回目となる2021年度のアクセラレータープログラムの採択者のひとりだ。

Cosme Huntは、アメリカのミレニアル女性をターゲットに2018年にサンフランシスコで誕生した、日本の化粧品・コスメを届けるマーケットプレイス。ECプラットフォームに加え、日系化粧品メーカーが海外進出する際のコンサルティングやサポートも行う。

Cosme HuntのCEO 高橋麻衣さん 画像提供/Cosme Hunt

エントリーのきっかけとなったのは、「『日本のコスメは高品質だが、もっとこうだったらいいな』という声がお客様から集まるようになったこと」と高橋さんは振り返る。

「アメリカのカラーコスメは白人向けのものが多く、様々な肌の色に対応したものがなかなかないことに気づきました。大手メーカーに開発してもらうと時間も手間もかかるため、それなら自分で作ろう! とこのプログラムにエントリーし、現在BBクリームを開発中です。“J-Beauty・日本の美容を世界へ”というTOKIWA Lab.のコンセプトにも大変共感しました」(高橋さん)

じつは、Cosme Huntがプログラムにエントリーしたのは、この時が初めてではないという。惜しくも受賞を逃した第1回目を、高橋さんは振り返る。

「2回目も続けて応募したのは、この事業をどうしても実現したかったからです。2回目のチャレンジでは、1回目に通過できなかった理由をしっかりと聞き、その課題を解決してから臨みました。審査員の方にどうすれば事業の魅力がしっかり伝わるかをアドバイスいただき、ビジネスとして弱い部分をブラッシュアップしました。その本気度も伝わったのだと思います」(高橋さん)

現在は、完成に向けて準備を重ねる日々。高橋さんの拠点であるロサンゼルスとTOKIWA Lab.メンバーのいる東京をオンラインでつなぎ、毎週ミーティングを行っているという。

「弊社は、化粧品開発に関しては初心者。ですが、TOKIWA Lab.では開発のタイムラインや、必要な作業について明確なアドバイスがもらえるので、スムーズにスタートしていると実感しています。現在は、Cosme Huntとトキワ双方のアイデアがしっかりと固まり、製品の成分も決定。容器の検討まで進んでいます」(高橋さん)

さまざまな人種が暮らすアメリカでは、販売されているカラーコスメのカラーバリエーションも30色~40色と幅広い。資金力がネックであることも多いスタートアップにとって、商品在庫を抱えながら色展開を充実させるのは難しく、これが中小企業にとってカラーコスメの参入障壁が高いと言われる所以のひとつでもある。

「カラーコスメも間違いなく、サステナブルで多様性包括性に富み、いろんな肌の色の方々にマッチするもの、つまり『誰も取り残さない』という思想が当たり前になってきていると感じています。カラーコスメを作る際、そういった点を意識しないと今後は戦っていけません。ですが、規模の小さいスタートアップにとって、在庫を抱えるのは障壁です。TOKIWA Lab.の皆さんと相談し、リサーチを重ねてもっとも最適なカラーバリエーションを生み出すことができました。これも、化粧品開発で大きな実績と歴史があるTOKIWA Lab.がサポートしてくださったおかげ」(高橋さん)

さらに、「プログラムを通して、最大10,000個の初回生産の無償サポートが受けられる点も、スタートアップにとって大きな魅力です。また日本の工場だと、国内向けの販売・生産に特化した会社が多い。トキワのように、海外・特にアメリカでの販売実績や、アメリカの有名企業と一緒にブランドを立ち上げたことがあるOEMは多くない」と、TOKIWA Lab.の持つ優位性についてコメント。

コスメの開発・販売においては、ゼロからのスタートだった7NaNatural とCosme Hunt。TOKIWALab.との併走で、持っていたパッションを具現化し、社会に新たな価値を届けている。本プログラムが、美容業界にイノベーションを起こすべく活動する挑戦者にとって、飛躍の大きなきっかけになるに違いない。

第3回TOKIWA Lab.エントリーを受付中!

<審査スケジュール>エントリー受付:2022年6月1日~8月15日
一次選考~最終審査:2022年8月15日~11月上旬
採択者決定:2022年11月以降

<テーマ>
本プログラムでは以下4軸いずれかに基づくビューティー製品の事業展開をサポートします。
・より人を輝かせる機能と人・環境への配慮の両立
・次世代に誇れる社会貢献と持続的な事業活動の両立
・ダイバーシティとインクルージョン「多様性への理解とサポート」
・人々を笑顔にできる幸せを提供する

<活用できるリソース>
1. カラーコスメ受託開発・製造 国内No.1 が製品開発・生産をバックアップ
2. 最大10,000個の初回生産を無償でサポート
3. 販路拡大や、製品告知などの顧客接点開拓をサポート
4. 経験豊富な審査員、トキワの製品開発担当者によるアドバイス・メンタリングの実施
5. 事業開始時の大きなハードルである投資家・VCへの訴求

<エントリー条件>
分野、業種を問わず、すべてのスタートアップ法人がエントリーできます。
(NG企画:ギャンブル、政治、宗教、反社会的内容、公的にふさわしくない内容の企画/法律に違反する企画/サービスの売り込み)

<プログラム詳細>プログラムはこちら。エントリーはこちら

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Written by Yukari Shimada (MASHING UP)

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