メモ
アメリカでは2021年1月から、海外からの入国者に対して入国前日に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査を行い陰性であることを証明することを求めていました。しかし、航空会社や旅行業界からのロビー活動を受け、アメリカ政府はついにこの陰性証明要件を廃止することが明らかになりました。
U.S. drops COVID testing for incoming international air travelers | Reuters
https://www.reuters.com/world/us/us-drop-covid-testing-incoming-international-air-travelers-2022-06-10/
US no longer requires COVID test for travelers flying into the country – The Verge
https://www.theverge.com/2022/6/10/23162779/us-covid-test-international-flight-requirement-change
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)のロシェル・ワレンスキー氏が、2022年6月12日0時に発効される公衆衛生サービス法および連邦規則に基づく新しい命令を公表しました。これは海外からアメリカに入国するすべての航空会社およびそのサービスを利用する渡航者に対して課せられるもので、命令発効後はCOVID-19の陰性証明書の提出が不要となります。
航空会社はアメリカ政府が海外からの渡航者に対してCOVID-19陰性証明書の提出を義務付けてから、「多くのアメリカ人がPCR検査で陽性となって海外で立ち往生することになるのではという懸念から海外旅行をしなくなった」と述べています。
アメリカ保健福祉省のザビエル・ベセラ長官は、CDCの決定は科学と入手可能なデータに基づいていると述べ、「後にこの要件が必要となった場合、海外への渡航前の段階で検査要件を復活させることに躊躇(ちゅうちょ)することはありません」と述べています。ただし、CDCは陰性証明書の提出不要について、3カ月以内に再評価する予定です。
アメリカではCOVID-19のワクチンを接種した渡航者とワクチン接種を受けていない渡航者の両方に対して、アメリカに入国する前日のタイミングでPCR検査を行うことを義務付けていました。なお、2歳未満の子どもは例外として検査を必要としていません。
ただし、ヨーロッパやその他の多くの国ではすでにCOVID-19の検査要件が廃止されているため、アメリカでも検査廃止が求められてきました。当局関係者がロイター通信に語った内容によると、アメリカ政府はCOVID-19のワクチン接種を行った渡航者に対してのみ検査規則を解除することを検討しているとのことで、ワクチン未接種者に対しては引き続き検査を義務付けていく模様。
アメリカの格安航空会社であるジェットブルー航空のロビン・ヘイズCEOは、これまで存在した検査要件について「完全な海外旅行の回復に対する最後の障害でしたが、もはやその目的を果たしていませんでした」とコメント。同じく航空会社・デルタ航空のエド・バスティアンCEOは、「要件が廃止されることで旅行者が増えると思います」と言及。加えて、デルタ航空がサービスを提供している50カ国中44カ国が、既にCOVID-19の検査を必要としていないとのことです。
世界最大の航空業界団体であるIATAは、「アメリカ政府がアメリカへの旅行者のための効果のない出発前のCOVID-19の検査要件を削除することは素晴らしいニュースです」とコメント。
なお、投資銀行のレイモンド・ジェームズ・ファイナンシャルは検査要件を廃止することが「海外旅行増加の重要なカギとなる」と述べています。
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