月に「水を貯蔵するガラス球」が存在することが判明、月全体で2700億トンもの水が貯蔵されている可能性も

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中国とイギリスの研究チームが、2020年に月へ着陸した中国の無人月面探査機「嫦娥(じょうが)5号」が持ち帰った月の土壌サンプルから、「水を貯蔵するガラス球」を発見しました。ガラス球の水は太陽風によって補充されており、月全体で最大2700億トンもの水が貯蔵されている可能性があるとのことです。

A solar wind-derived water reservoir on the Moon hosted by impact glass beads | Nature Geoscience
https://doi.org/10.1038/s41561-023-01159-6

China discovers strange glass beads on moon that may contain billions of tons of water | Live Science
https://www.livescience.com/china-discovers-strange-glass-beads-on-moon-that-may-contain-billions-of-tons-of-water

Shiny Glass Beads Reveal How the Moon ‘Recharges’ Its Water
https://www.inverse.com/science/moon-water-glass-beads

Glass beads on moon’s surface may hold billions of tonnes of water, scientists say | The moon | The Guardian
https://www.theguardian.com/science/2023/mar/27/glass-beads-on-moon-surface-hold-billions-of-tonnes-of-water-scientists-say

中国の無人月面探査機である嫦娥5号は2020年に月面着陸に成功し、月面を深さ2mまで掘削して採取した約2kgの土壌サンプルを地球へ持ち帰りました。

中国の無人月面探査機「嫦娥5号」が2kgの「月の石」を携えて無事帰還 – GIGAZINE


中国科学院や南京大学、イギリスのオープン大学などの研究チームは、嫦娥5号が持ち帰った土壌サンプルから発見された「マイクロテクタイト(インパクトガラス)」の分析を行いました。テクタイトとは、隕石(いんせき)が高速で衝突したことで惑星表面の物質が蒸発し、空中に浮遊したものが急冷されて固化したガラス質の鉱物であり、その中でも1ミリメートル以下のものがマイクロテクタイトと呼ばれます。

南京大学の惑星地球化学者であり論文の共著者であるHejiu Hui氏は、「これらのマイクロテクタイトは、ガラスであるため輝いています。マイクロテクタイトの中には透明なものもあれば、そうでないものもあります。それらはまた、異なる色を持っており、黒・緑・オレンジのガラスビーズの可能性があります」と、ウェブメディアのInverseに述べました。

研究チームが公開したマイクロテクタイトの画像が以下。それぞれのマイクロテクタイトはわずか数十マイクロメートル~1ミリメートルほどで、非常に小さいことがわかります。


研究チームが月のマイクロテクタイトを分析したところ、内部に水が含まれていることが確認されました。水はガラスビーズの周縁部に豊富だったものの、中心部になると水の含有量が減少していたとのこと。これは、マイクロテクタイトの内部で水が拡散し、徐々に周辺の大気や土壌に水を放出していることを示唆するものです。

また、マイクロテクタイト周縁部にある水素同位体の組成は、太陽から吹き出す高温のプラズマである太陽風の水素同位体と似ていることもわかりました。研究チームはマイクロテクタイトの水が、太陽風由来の物である可能性があると指摘しています。

月の土壌には酸素が含まれているため、月面で形成されるマイクロテクタイトにも酸素が含まれています。この酸素と太陽風に含まれるイオン化された水素原子が反応して生成された水が、マイクロテクタイトに吸収される可能性があるとのこと。科学系メディアのLive Scienceは、「時間が経つにつれて、ガラス球の一部はレゴリスと呼ばれる月のチリに埋もれ、水が入ったまま地下に閉じ込められます」と述べました。研究チームによると、月全体で3億~2700億トンもの水がマイクロテクタイトに貯蔵されている可能性があるとのことです。


今回の研究結果は、隕石の衝突によって形成されたマイクロテクタイトに水が含まれるだけでなく、その水が数年単位で徐々に放出され、失われた水が太陽風によって補充されるサイクルの存在を示唆しています。オープン大学の惑星科学教授であり論文共著者のMahesh Anand氏は、「月のガラス球の中でこの種の水が形成され、地質学的記録に残るまでにわずか数年しかかかりません」とコメントしています。

水は人間が生命維持のために飲むだけでなく、呼吸のための酸素を抽出したり燃料に利用したりすることも可能であるため、月に水が存在することは将来の有人探査ミッションにおいて重要です。

中国科学院の惑星地質学者であり論文共著者のSen Hu氏は科学系メディアのLive Scienceに対し、「将来の月探査のためにマイクロテクタイトに含まれる水を取り出したい場合、まずガラス球を採取し、オーブンで煮沸して放出された水蒸気を冷却します。最終的に、ボトルに入った液体の水を得ることができます」と述べました。


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