製菓のスタートアップが、 OOH 広告への投資を増やす理由:ベリウェリーの認知獲得戦略

DIGIDAY

スナック菓子とウェルネスのブランドであるベリウェリー(BelliWelli)は2022年初頭、「ホット・ガール・ハヴ・IBS(Hot Girls Have IBS:魅力的な女性は過敏性大腸症候群[IBS]に悩んでいる)という広告看板キャンペーンがバイラルした。同社は現在、ブランドの認知度を高めようと、OOH(アウト・オブ・ホーム)広告を利用してさらなる攻勢をかけている。

2021年、人々が再び屋外に出て、オフィスでの仕事やその他の活動に戻るにつれ、同ブランドは徐々にOOHへ広告費をシフトした。全米屋外広告協会(OAAA)の2021年のOOH広告における費用対効果の詳細報告によると、OOHに対する支出は2020年の61億ドル(約7625億円)から増えて、2021年は71億ドル(約8875億円)に達した。

「Facebookよりも広告看板に費やす」

立ち上げからわずか1年のカリフォルニアを拠点とするこのブランドは、2022年のマーケティング予算の20~30%をOOH広告に充てている。キャンペーンが口コミで広がったあと(同ブランドのTikTokが数百万ビューに達したことを含む)、その割合はさらに増加する可能性が高い。

ベリウェリーの共同創設者であるケイティ・ウィルソン氏は、その増加した支出がどのくらいになるか具体的な数字は明らかにしていない。カンター(Kantar)によると、2021年、この新興企業は1万3500ドル(約169万円)をメディアに投じている。ただし、この数字にはSNS支出は含まれていない(カンターはこれらの数値を追跡していないため)。

「現時点で把握している情報に基づいたものだが、5000ドル(約62万5000円)あれば、私はFacebookよりも広告看板に、つまり24時間365日広告できる方に費やすほうを選択する」とウィルソン氏は述べる。同氏によると、OOH広告看板は、ユーザーが「常に氾濫している」デジタルマーケティングと比較して、ブランド認知度の向上について、測定しやすく、かつ費用対効果の高い手法だと証明されているという。

ソーシャル上でバイラルに

2021年11月、ベリウェリーはロサンゼルスで広告看板によるキャンペーンを開始し、続いてポートランドとタイムズスクエアでさらにふたつのキャンペーンを開始した。以来、看板による広告手法自体が非常に勢いを増す形となった。ポートランドに設置されたホットピンクの看板を映した動画は、同ブランドのTikTokアカウントで200万回の再生回数を記録。このアカウントは2021年6月の開設以来すでに2万8000人以上のフォロワーを獲得している。さらに、モデルで女優のカミラ・モローネ氏の目にも留まり、310万人のフォロワーを持つ自身のインスタグラムでその画像を投稿、9万5000以上の「いいね」がついた。

社会通貨(同社が築き上げた社会的価値)は別として、ベリウェリーは、LAとポートランドの広告看板が推定で4万ドル(約500万円)の製品売上に結びついたと発表している。

口コミキャンペーン以前は、ベリウェリーのマーケティングの大部分はFacebookグループを介したオーガニックな手法だった。ウィルソン氏によれば、この新興企業は現在、広告費の20~30%をOOHに割り当てているが、ほかに25%をデジタル広告に割り当てている。別の20%はインフルエンサーマーケティング戦略に充当。残りの広告費は非公開のメディアプロジェクトに充てられている。

メディアバイヤーは以前から、バイラルマーケティングは戦略ではないと広告主に警告してきた。ウィルソン氏はその考え方に矛盾を感じ、ブランドを立ち上げてから早い段階で口コミ拡散すれば、「会話に参加し、通常よりも早くテーブルに着けるようになる」と語る。

各社もOHH支出を増やす

OOH広告への支出を増やしているのは、なにもベリウェリーだけではない。クラウドソーシング会社のファイバー(Fiverr)や水着メーカーのアンディー(Andie)なども2021年から、社会が対面活動に戻ってきていることに応じて、OOH支出を増やしている。

「ワクチンを打つ人が増え、人々はより安心して外に出かけるようになってきている。現時点では、屋外広告はとても理にかなった手法だ」と、広告代理店フィッツコ(Fitzco)で企画グループディレクターを務めるミシェル・チョン氏は話す。

チョン氏によれば、OOHがさらにデジタル化され、アトリビューションと測定が容易になるにつれて、この傾向はますます増加するだろう。広告主もまた、メディア支出を多様化する方法としてOOHに注目している。特に、データプライバシー規程の変更により、デジタルマーケティング自体が混乱の一途をたどり、費用がかかるうえ、測定が困難になっている現状を鑑みれば、なおさらのことだと彼女は付け加えた。

「看板広告はもっとも古いメディアだが、最近になって、その進化が著しい」とチョン氏は言う。「当社は、OOHがこれからどのように変わっていくのかをワクワクしながら見届けたいと思っている」。

同ブランドの広報担当者によると、ベリウェリーはOOHへの投資を今後も継続し、カリフォルニアでさらにふたつの看板を設置する予定だそうだ。

「今のところ、OOH広告におけるROIは非常に明確だ」とウィルソン氏は語る。「数字上の因果関係を直接把握しようと、当社は広告看板を3箇所に設置し、各費用対効果を測定している」。

[原文:Why a startup snack and wellness brand is investing more in OOH advertising after viral moment success

Kimeko McCoy(翻訳:SI Japan、編集:黒田千聖)
Illustration by Ivy Liu

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