Temuを運営する PDD ホールディングス、第1四半期の収益が58%増:中国eコマース回復の兆し

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ピンドゥオドゥオアプリで知られる中国企業のPDDホールディングス(PDD Holdings)は、中国でのオンラインショッピングに対する消費者心理の回復の恩恵を受け、決算において前年同期比58%の増収を報告した。

2023年の第1四半期について、PDDホールディングスは、2022年第1四半期の37億5000万ドル(約5250億円)から、54億8000万ドル(約7670億円)の増収となった。同社は、オンラインマーケティングサービスの収益が50%増加し、eコマースサービスが86%増加したことが、今四半期の収益全体を押し上げたと語る。第1四半期の純利益は、前年同期の4億1000万ドル(約574億円)から、2倍以上の11億7000万ドル(約1640億円)に増加した。

PDDホールディングスの執行役員兼共同最高経営責任者であるジアゼン・ザオ氏は、「オンライン小売は回復しつつある」と、第1四半期の決算発表で語った。「ピンドゥオドゥオの利用者は購入の意欲が高い。消費の活力が高まっていることがますます明らかになっている。このような良好な傾向は、年間を通して消費が着実に成長するための強固な基盤になるだろう」と、同氏は付け加えている。同社は、1月22日の旧正月を中心に割引を強化し、追加クーポンを発行したと述べている。

加盟小売業者に対する支援を強化

また同社は、加盟小売業者を支援し、「高品質の供給」へのアクセスを改善するため、専用の「100億エコシステム構想(10 Billion Ecosystem Initiative)」を立ち上げると発表した。この構想は、農業分野の重要なニーズに対応するよう設計された2021年からの「100億農業(10 Billion Agriculture)」構想など、ピンドゥオドゥオが過去数年間に行ったほかの大規模な取り組みと同様の命名方法に従っている。同社は詳細について多くを説明していないが、このプログラムは、プラットフォーム全体のサービスの効率と品質の向上をめざしており、高品質の売り手に対して多くのリソースを提供するものであると述べている。

「前四半期において、消費者心理は改善し続けた。当社が提供するさまざまな商品を探求したいという消費者の熱意を反映し、さまざまなカテゴリーにわたって需要が急増した」と、PDDホールディングスのチェアマンで共同の最高経営責任者を務めるレイ・チェン氏は述べる。

インサイダーインテリジェンス(Insider Intelligence)で小売およびeコマースのシニアアナリストを務めるスカイ・キャナバス氏は、PDDの好調な業績について、「加盟小売業者がより多くの販売を行っていることと、PDDが加盟小売業者に提供するマーケティングサービスをより多く利用していることの両方によるものだ。同社の広告やプロモーション、そして同社の収益源すべてが好調に推移していると思う」と述べている。

ティームーの貢献度

米国では、昨年9月に開設したPDDのオンラインショッピングサイト「ティームー(Temu)」の売上への貢献度はまだ小さく、まだ「模索」の初期段階であると、同社は述べている。

「ティームーについては、当社が前にも言及したように、我々の焦点は常に、消費者のニーズをいかに的確に理解するか、いかにそのニーズを満たすかということだ。財務指標は、我々の価値創造の自然な結果となるだろう」と、PDDホールディングスの財務担当バイスプレジデントを務めるジュン・リュー氏は決算発表で述べた。

ティームーについて、PDDは引き続き顧客獲得に注力し、米国だけでなく全世界においてユーザーベースの規模を拡大すると、キャナバス氏は述べている。マーケットプレイスパルス(Marketplace Pulse)によると、GDP上位50カ国のうち25カ国で、もっともダウンロードされているショッピングアプリはシーインかティームー(Temu)のどちらかだ。ティームーは米国、フランス、イタリア、スペイン、ドイツ、英国においてもっともダウンロードされているショッピングアプリであることが、レポートに示されている。

消費者需要の回復と競争激化

最近、上海で開催された今年のダブルファイブ(Double Five)ショッピングフェスティバルにおいて、PDDは40億人民元(RMB)(約5億6600万ドル[約788億円])以上の金額をクーポンと割引に投資し、過去最高記録を打ち立てた。「このイベントで、当社はライブストリーミング販売について中国中央電視台(China Central Television)やオリエンタルテレビ(Oriental TV)と提携し、インタラクティブかつダイレクトな方法でさまざまな商品を視聴者に紹介して、オンラインショッピングに対する消費者の信頼を高めた」と、ザオ氏は述べている。

全体として、これらの数値は中国の消費者需要が回復しはじめていることを示すと、キャナバス氏は語る。「多少不均衡だが、前四半期と比べても明らかに回復しており、1年前から比べれば間違いない」と、同氏は述べている。中国では小売の売上高が5.8%増加し、オンライン小売の売上げ高は8.6%増加しており、ピンドゥオドゥオの成長に大きく貢献していると、同氏は述べている。

インテリジェンスインサイダー(Intelligence Insider)のデータによると、中国でのピンドゥオドゥオの売上は、2023年における中国の小売eコマース全体の売り上げの17.4%を占める。これに対して、中国のオンラインコマース市場全体のうち、アリババ(Alibaba)のシェアは42.2%、JDドットコム(JD.com)は20.9%だ。

中国のオンライン販売における競争の激化は、PDD全体にとって引き続き課題となるだろうと、キャナバス氏は指摘する。「同社は、配送処理に要する時間を72時間から48時間に短縮したと語っている。これは、同社がアリババやJDドットコムなど、商品を非常に短時間で消費者に届けられる企業に対する競合力を維持するのに役立つだろう」と、同氏は述べている。

[原文:Pinduoduo earnings indicate a recovering Chinese e-commerce landscape]

Vidhi Choudhary(翻訳:ジェスコーポレーション、編集:戸田美子)
Image via PDD Holdings

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