ミームアカウントの酒類ブランド、フォロワーを顧客に:FuckJerry の「ハハ・テキーラ」

DIGIDAY

4月15日から開催されているコーチェラ(Coachella)フェスティバルに赴く人は、「ハハ・テキーラ(Jaja Tequila)」のビルボードを道中で目にすることになるだろう。バイラルなインスタグラムのミームアカウントからマーケティングエージェンシーとなったFuckJerry(ファックジェリー)が手がけるスピリッツブランドだ。ブランドの共同創設者であるモーリス・テベル氏によると、彼らの「ターゲット層が足を運ぶ文化イベント」の周辺に屋外広告を掲示することは、ブランドの認知度を高める戦略の一環だという。

同ブランドは、ビルボードやイベントマーケティングでブランド認知度の向上を目指すかたわら、TikTokでのインフルエンサーとの連携も試すなど、自社のソーシャルチャンネルの枠を超えた広告の規模拡大を続けている。2018年の創設以来、同ブランドは「@FuckJerry」(インスタグラムでフォロワー約1660万人)や「@DudeWithSign」(インスタグラムでフォロワー約800万人)といった自社のミームアカウントを活用してきた。

ハハ・テキーラは、それらのアカウントで社内マーケティングチームのアイデアを試し、ファンがそのマーケティングアイデアに反応するかどうかを見ることが可能だ。あるアイデアに対して十分な数の「いいね!」やメッセージ、コメントが寄せられれば、チームはそれを実行に移すことができる。

「我々にはソーシャルプラットフォームやチャンネルがあるので、何かを作ってテストし、反応がよければその実物を作るというやり方ができる」とテベル氏は話す。「その一例が、(テベル氏の兄弟で「FuckJerry」ことエリオット・テベル氏が投稿した)アイスクリームトラックだ。彼がハハ(・テキーラ)のアイスクリームトラックを投稿したところ、何百万ものインプレッションを獲得し、借りたいというDMが何百も来た。そのトラックは実際には存在しないものだったが、需要が見てとれた。そこでアイスクリームトラックを手に入れ、ラッピングを施し、すぐに実用化した」。

独自のユーモア感覚を生かす

現在、バーテンダーやその他のアルコール提供業者向けのイベントマーケティングは、同ブランドの広告予算の約30%を占めると、共同創設者のマーティン・ホフスティーン氏は述べている。また広告予算の約40%は、屋外広告と有料デジタルに充てているという。そのほかインフルエンサーマーケティングも試しているが、有料パートナーシップ契約ではなく、商品の無償提供に重点を置いている。自社アカウントに関しては、ブランドがタレントの旅費を負担する場合を除き、それらのチャンネルに広告費を支払う必要はない。

ハハ・テキーラは具体的な金額を明かさなかったため、同社が広告にいくら費やしているかは不明だが、ホフスティーン氏とテベル氏によると、同社はアイデアを実行に移す前に自社のソーシャルチャンネルでテストすることが多いという。同社によると、たとえばFuckJerryのフォロワーの約90%は21歳以上であるなど、それらのソーシャルアカウントのフォロワーは大半が成人だ。

「マーケティングの観点から我々が作るものはすべて、第一印象を生み出すことが目的であり、それがどんどん共有されていくことで、我々のすることすべてに会話が生まれる」とホフスティーン氏は述べ、自社のミームアカウントと同様のユーモア感覚を生かすようにすることも、全体的なブランド戦略の一環だと明かした。「我々が行ってきたことの多くが、反応に基づいている。ビルボード広告のアイデアを思いつくと、そこから逆算していく。アイデアはある。それをどこで展開するのがもっとも効果的か? そしてそれを素早く展開し、世に送り出す」。

そうしたアイデアのなかには、ビルボードでマーケティング予算や広告の仕組みについて語り、ブランド広告そのものをからかうようなメタ的なものもある。

「フォロワーを顧客に変える」

自社アカウントを「フォロワーを顧客に変える」取り組みに利用できることは、ブランドにとって強みだと、パフォーマンスマーケティングエージェンシーのテイク・サム・リスク(Take Some Risk)の創設者デュエイン・ブラウン氏はいう。「すべてのブランドやインフルエンサーがフォロワーを顧客に転換できるわけではないので、これはFuckJerryのブランドにとって、ひとつの試験になるだろう」。

自社アカウントを使いすぎないように注意し、「頻繁にお酒がらみの投稿をする」ことを避ければ、社内のミームアカウントを利用することは理にかなっていると、ブラウン氏は指摘する。「面白いエンタメ系のコンテンツにちょっとしたマーケティングを混ぜるのは、何も悪いことではない」。

ハハ・テキーラは今後、ソーシャルチャンネル、ビルボード、イベント以外にもマーケティング活動の幅を広げ、ミーム広告のほかにもライフスタイルコンテンツを発信し、ブランド認知度の向上に引き続き取り組んでいく計画だ。

「若い消費者とのつながりを構築することを目指してきた」とテベル氏は話す。「彼らはお酒を飲むのも、テキーラを飲むのも初めてだ。お酒を楽しむひと時に焦点を当てて、ひとつの年代や層だけでなく、さまざまな属性の人々に対象を広げ、彼らが楽しんでいる姿を発信していきたい」。

[原文:‘If there’s a good reaction then we create it’: Inside Jaja Tequila’s ‘reactive’ approach to advertising as the brand aims to boost brand awareness

Kristina Monllos(翻訳:高橋朋子/ガリレオ、編集:黒田千聖)

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