マヂラブ野田 子ども時代を語る – ベネッセ 教育情報サイト

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「ゲームばっかりやってないでちゃんと勉強して!」
ついつい、毎日口うるさくなってしまう保護者のかたも多いのではないでしょうか。

「勉強しろ」圧力はなかったというマヂカルラブリーの野田クリスタルさん。お笑い芸人のほかゲームクリエイターとしても活躍し、『野田クリスタルのこんなゲームが作りたい! Scratch3.0対応』(野田クリスタル・廣瀬豪著/インプレス)も出版した野田さんは独学でプログラミングを習得。子ども時代の勉強のこと、目的に向けて努力できる秘訣を聞きました。

この記事のポイント

  • 「勉強はしないもの」。塾で「失敗作」と呼ばれていた
  • パソコンは小学生から。「勉強しろ」の流れは来なかった
  • 弱いキャラで強いキャラに勝つと気持ちいい
  • 親は子どもの熱量を全力でサポートして

「勉強はしないもの」。塾で「失敗作」と呼ばれていた

──野田さんは独学でプログラミングを学んでいるので、自習力があるのかなと思います。学校での成績はどうだったんですか?

野田クリスタル(以下野田):小中学校、ずっと地獄みたいな頭の悪さでした。兄貴が勉強できたので、同じ塾の先生が「本当に野田君の弟?」と。「失敗作」とも言われていましたね。

勉強って「しないもの」だと思ってたし、授業も聞いてなかったですね。勉強してる人のほうが不思議で。兄貴はゴリゴリに勉強してたんで、今でも変わり者だと思っています。

──プログラミングが好きな人って、数学は得意なイメージがありますが。

野田:そういえば中3のころ親が受験に向けて危機感を持ち出して、数学教室みたいなのに行かされたんです。そしたら数学はつよかったですね。数学だけで高校受かったみたいになって、高1のテストで数学だけは学年2位に。他の教科は下から4番目とかで、しかも僕より成績下の人はテストを休んでいたんですよね。

──数学が得意になったのは、ゲーム感覚ですか?

野田:覚えなくていいところがいいなと思いましたね。なんでも、最悪遠回りすれば解けるじゃないですか。これはプログラミングも同じで、きれいに簡潔にまとめるには頭の良さが必要だけど、遠回りすれば作れないものはないんですよ。それを数学でもやってました。

パソコンは小学生から。「勉強しろ」の流れは来なかった

──そうなんですね。家では「勉強しろ」みたいな圧力はありましたか?

野田:僕は末っ子で兄貴が勉強してくれてたんで、僕には「勉強しろ」の流れはまったく来なかったですね。好きなことしかやらずに生きてました

──パソコンはいつから使っていましたか?

野田:小学生の時から親父のパソコンを使っていて、中3くらいから兄貴と自分共用、高校時代はバイトして買ったパソコンでゲームしたりしていました。親戚のおじさんが家のパソコンを修理しに来たり、趣味で作ったゲームをやらせてくれたりしたこともありますね。兄弟みんなパソコンを使っていて、いちばん使っていたのは自分です。

──ではタイピングが苦手といったこともなく、自然に使っていた感じでしょうか。

野田:パソコンに対するおびえはなかったですね。タイピングはむしろ得意で、キーボードをカタカタ打って、めちゃめちゃ強くエンターキーを打つ人をまねてました。

弱いキャラで強いキャラに勝つと気持ちいい

──「勉強しろ」「成績が悪いからダメ」とか言われず、好きなことをできたことで「やればできる」気持ちや自己肯定感がもてたのかも……。

野田:自己肯定感ってどういう意味合いですか?

──自分のことを自分であるだけで認められるような感覚です。

野田:難しいですね。僕はあまり自分が優れているとは思わずに生きてきてるのでどうなんだろう。

──「自分はダメだ!」はあまりない印象です。

野田:ダメというか弱いキャラであれば、強いキャラに勝つ楽しさがありますよね。格闘ゲームとかで。すごい勉強できる人や賢い人、スポーツ万能な人に勝った瞬間はやっぱり気持ちいいし「お前そんなに才能あるのに負けてやんの」とは思います。

──勝つためにどんなことをしますか?

野田:必要なことを全部やりますね。筋トレを始めた時はダンクシュートがしたかったんです。学生時代にバスケ部の時もできなかったけど「できなくもないだろう」と思って、ダンクにつながりそうなトレーニングをしらみつぶしにやっていった感じですね。

──できました?

野田:ハンドボールでダンクできるようになりました。全部やっていく感じはゲーム作りのバグ取りに近い感じかもしれないですね。

親は子どもの熱量を全力でサポートして

──野田さんは「勉強しろ」と言われなかったそうですが、「子どもが勉強せずにゲームばかりやっていてガミガミ言ってしまう」保護者は実際とても多いです。

野田:親の立場じゃないのでわからないですけれど、ゲームよりも勉強という縛りがあることがそもそも不思議です。子どもがもっている熱量を冷ますことは悪習だし、無理に勉強させたって地獄みたいな人生になるかもしれないですよね。

好きなことがあれば、それがその子にとって成功になるよう周りを変えていけばいいし、むしろ熱量をもってゲームがやれているのであれば「金になるかも」って発想に転換したほうがいいと思います。

──将来の仕事になるかもしれないですね。そこまでの熱量はなくて、他のことをやりたくないからゲームばかりしているような場合はどうしたらいいでしょう。

野田:それはやりたいことがないだけだと思いますね。ゲームにも勉強にも熱量がないってことは、全部にあんまりはまってないのかも。人生を成功させる鍵は、自分が熱量をもてるもので稼ぐ方法を見つけた時です。イヤなことを連続でさせると、人は無気力になっていくので危ないですよね。

僕はゲームが好きなので、自分の子どもがゲーム好きなら完全なるゲーム環境を整えてあげたいし、まったく興味がない切符集めに夢中であれば、切符を集める環境を完全につくってあげたいですね。そこまでいって冷めるかどうかも見たいし、別のものにシフトしてもいいですし。親は全力でサポートしてあげたらいいんじゃないですか。

まとめ & 実践 TIPS

子どもたちが夢中になることが、いつか全力でぶつかれる職業につながるかもしれません。ゲームプログラミングでもそれ以外でも、子どもたちがもつ熱量を、冷まさずに伸ばす手助けをしたいですね。

執筆/樋口かおる

『野田クリスタルのこんなゲームが作りたい! Scratch3.0対応』(野田クリスタル著/廣瀬豪著、インプレス刊)

お笑い芸人・ゲームクリエイターの野田クリスタルさんとゲームクリエイターの廣瀬豪さんがタッグを組んでScratchを用いた本格的なゲーム作りを解説。アクション・カーレース・格闘アクション・シューティング・アクションRPGとバラエティーに富んだ5本のオリジナルゲームを収載し、Scratchの基礎から初級~上級までのゲーム作りを段階的に学べます。すぐに遊べるサンプルデータ付き。

プロフィール

野田クリスタル(マヂカルラブリー)

お笑いコンビ・マヂカルラブリーのボケ担当。ピンとしてR-1ぐらんぷり2020優勝、コンビとしてM-1グランプリ2020優勝。お笑い芸人として劇場やテレビで活躍する一方、独学で習得したプログラミングで自作ゲーム「野田ゲー」を開発しており、2021年4月にNintendo Switchから「スーパー野田ゲーPARTY」を発売している。

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