以前見に行ったヤンバルクイナはすごく厳重に飼育されていました。
沖縄で天然記念物というとヤンバルクイナとかイリオモテヤマネコとかを思い浮かべる。生息数が少なく、絶滅の危機がある動物たちだ。
ところが沖縄にはサバ缶を置いておくとぞろぞろと集まってくる天然記念物がいるらしい。本当だとしたらかなりリーズナブルなやつらだ。確かめてきました。
※2006年9月に掲載された記事を、AIにより画像を拡大して加筆修正のうえ再掲載しました。
本当だろうか
サバ缶に天然記念物が集まる、そんな話を聞いて早速サバ缶を買ってきた。68円だった。こんなので本当に天然記念物が集められるのだろうか。以前見に行ったヤンバルクイナはかなり厳重に管理された環境で飼育されていた。たぶんサバ缶とか与えられたことはないだろう。
その動物は砂浜のある海で、しかも近くに樹木が生えている場所を好んで生息しているらしい。いろいろ探した結果、意外と近所の海がその条件を満たしていることに気づいた。こんなところに本当に天然記念物がいるのだろうか。
早速サバ缶を開けて木の下へ置いてみた。場所を変えてあと2箇所、缶詰の中身だけを置いてある。
あとはじっと待ちます
野生の動物なのだからそれなりに警戒心も強かろうと思い、ちょっと離れた場所から望遠レンズで撮影することにした。この体勢でじっと天然記念物の出現を待つ。何が現れるのだろうか。ワニとか蛇とかだったら嫌だな。
来た!
物音を立てないようにじっと天然記念物の出現を待つ。しばらくするとそこらじゅうから小さな音が聞こえ始めた。小さいけれどとても力強い音だ。しかもよく耳を凝らすと、僕の(というかサバ缶の)周り一帯からすごくたくさんの音が聞こえる。
がさ・・
がさがさ・・
ざざざ、ざざざ・・・
来るのか、天然記念物。あらためて望遠レンズを覗いてみた。そうしたらどうだろう
オカヤドカリです
そう、天然記念物というのはヤドカリなのでした。ヤドカリといっても沖縄に生息するのは天然記念物のオカヤドカリという仲間。その名のとおり陸上で生活するヤドカリなのだ。海に入ると溺れてしまうらしい。
僕の置いたサバ缶は、あっというまにオカヤドカリに群がられていた。オカヤドカリたちはうまそうにサバ缶を食べていた。本当にサバ缶に天然記念物が集まってきたのだ。
ところでオカヤドカリはこんなにうじゃうじゃいるのになぜ天然記念物に指定されているのだろうか。
オカヤドカリは小笠原諸島に生息していることが確認され、昭和45年に天然記念物の指定を受けた。全国的に見ると希少な生き物だったのだ。しかし昭和47年に沖縄が本土に復帰してみると、なんと沖縄には希少だったはずのオカヤドカリがうじゃうじゃいた。
沖縄の人たちはオカヤドカリが天然記念物に指定されたと聞いて驚いた。当時は釣りの餌に使ったりしていたのだ。それがいきなり天然記念物として保護対象になった。こんなにうじゃうじゃいるのに、だ。
沖縄では現在、許可を得た人のみ定められた時期と捕獲量の中でオカヤドカリの捕獲が許されている。ペットとして販売することも許可されている天然記念物なのだ。
捕まえてはいけません
オカヤドカリは確かにサバ缶の好きな天然記念物だった。そしてペットとして飼うこともできる。確かにその動きを見ているととてもかわいらしいので飼ってみたくなるが、許可なく捕獲したり販売したりするともちろん罰せられる。なんといっても天然記念物だから。
それに沖縄の高温多湿でサンゴ砂の環境を好むオカヤドカリは、ペットとして飼育するにもかなり本格的な設備が必要だといわれている。そこまでしてペットにするよりも、沖縄に来たときにサバ缶を置いてうじゃうじゃ集まる様を見てもらった方がヤドカリとしてもうれしいんじゃないかなと思いました。