「反マスク、反ワクチンの方々はご自分でマークを作ってください。うちのマークを無断使用したりデザインを盗用したりされるケースが後を断ちません」
病気などでマスク着用が困難な人に向け、意思表示カードを無償提供している会社が2021年10月19日、ツイッターでこう訴えた。新型コロナウイルスの「反ワクチン本」の著者で知られる医師の関係者によって、このカードが趣旨と反する形で紹介されたためだ。
「『付けない』と『付けられない』はまるで違います」
被害を訴えたのは、心理カウンセリングルームなどを運営する「しまうま」(千葉県流山市)。同社は、やむを得ずマスク着用ができない人への配慮を求める活動「わけがありますくプロジェクト」をしている。
その一環で、”マスクをつけられません”と書かれたロゴマークを制作し、理念に賛同した自治体や公共施設などを通じて意思表示バッジやシール、カードを配布している。個人向けにデータの無償公開もする。著作権はしまうまが持つ。
ウェブサイトでは、「思想、信条、ご自分の意思によってマスクを着けないことを選択した方がこのマークを利用したり、ノーマスク運動などの活動に用いることは固く禁じています」と呼びかけ、配布時にも紙で説明しているという。
しかし、マスク未着用を呼びかける医師が講師を務める講座のツイッターアカウントが9月、しまうまが配布する意思表示カードの写真を投稿した。この医師の「現在でもこのワクチンは治験中であり壮大な人体実験をやっているようなもの」などと書かれたチラシと一緒に写っていた。
わけがありますくプロジェクトが10月19日、この投稿に冒頭のような抗議をすると、ツイッターでは「『付けない』と『付けられない』はまるで違います。このデザインが正しく使われる事を願っています」「作成に関わった人たち、本当に困っている全てのひとたちを踏み躙る行為」「削除と回収が行われるまで徹底的にやってほしい」と医師への批判が相次いだ。