AMD、高性能かつ長時間駆動なモバイルノートを実現するRyzen 6000シリーズ

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Ryzen 6000シリーズの主な特徴

 AMDは、モバイル向けプロセッサ「Ryzen 6000」シリーズに関する詳細情報を公開した。アーキテクチャの更新による全体的な省電力化に加え、RDNA 2ベースの内蔵GPUの採用、USB4やDDR5などといった新規格への対応などが大きな強化点となる。

 ラインナップは、薄型/軽量モバイルノート向けとなるUシリーズ(TDP 15~28W)から2モデル、薄型高性能やゲーミング/クリエイターノート向けのHSシリーズ(TDP 35W)から4モデル、ウルトラハイエンド向けのHシリーズ(TDP 45W)から2モデル、HXシリーズ(TDP 45W以上)から2モデルの計10モデルを用意する。

Ryzen 6000シリーズの製品ラインナップ

薄型/軽量ノートに向けた多方面からの省電力化

 同社では2019年頃からゲーミングノートPC市場でのシェアを大きく拡大。2021年第2四半期には35%を占めるまでに至った。一方で昨今は、薄さが18mmを切るような薄型/軽量ボディで、やや高級志向のプレミアムノートPCのニーズが高まっているという。

 今回のRyzen 6000シリーズでは、ゲーミングノートPCだけでなく、こういった軽量薄型な高性能モバイルノートPCも見据え、単純な性能だけでなく、消費電力あたりの性能や体積あたりの性能(Performance density)の向上にも重点を置いたという。

 アーキテクチャには新たにZen 3+を採用。TSMCのN6プロセス(6nm)で製造され、前世代からの微細化を果たしており、同一のフォームファクタの場合であれば20~30%程度のCPU性能向上を実現できるとする。

 Zen 3+では、リーク電流の軽減や、電源ステートの中でも最も低電力なPC6からの復帰をハードウェア支援で4倍高速化するPC6 Restoreなど、多数の最適化を実施。また、Infinity Fabricに追加のCステート、グラフィックス/ディスプレイコントローラに新規のZステート(Z9およびZ10)を用意し、SoC全体での低消費電力化も図っている。

 ファームウェアレベルでは、新たな機能としてPower Management Framework(PMF)を実装。SoCの消費電力やOSのスケジューラなどから得られる情報をもとに、静音重視/性能重視といった電源管理を自動的に行なう。なお、これまでと同様にシステムが持つ電源プロファイルを利用することもできる。

 電力消費の大きいディスプレイ関連では、より細やかな電圧制御が可能なSVI3レギュレータへと変更したほか、画面内の更新があった領域だけをリフレッシュするPSR-SU(Panel Self Refresh – Selective Update)などもサポートする。

 また、USB4やPCI Express 4.0、DDR5/LPDDR5、Wi-Fi 6E、DisplayPort 2、HDMI 2.1、AV1デコードといった新技術/新規格に対応した点も特徴となっている。

 こういった改善により、TDP 15Wの場合では、従来のものと比べて1.17倍のCPU性能、1.81倍のグラフィックス性能を実現しつつ、バッテリ駆動時間は最大3時間の延長を可能にした。

 Ryzen 7 6800U(TDP 15W)とCore i7 1185G7(TDP 28W)との比較では、Ryzenの方がTDPが低いにもかかわらず高い性能を発揮できるという。また、よりTDPの高いRyzen 9 6900HSとCore i9-12900HKとを消費電力あたりの性能で比較したケースでは、その差が最大で2.6倍に達するなど、高い電力効率を実現しているという。

 さらに、TDP 15W/28Wクラスのフォームファクタであっても、8コアCPUが提供できるといった点もRyzen 6000シリーズの大きな強みだとしている。

TDP 18WのRyzen 7 6800Uで、TDP 28WのCore i7-1185G7を上回る性能を実現

Ryzen 9 6900HSとCore i9-12900HKとの消費電力あたりの性能の比較では、約2.6倍も優れていたという

薄型ノートの場合でも8コアCPUを維持できる

内蔵GPUはRDNA 2の採用で大幅に性能向上

内蔵GPUはRDNA 2ベースに刷新

 内蔵GPUは、アーキテクチャをVegaからRDNA 2に刷新。コンピュートエンジンを1.5倍大型化したほか、メモリ帯域幅も最大1.5倍とし、クロックは最大2.4GHzを発揮する。

 Ryzen 7/9では12基のCU(Compute Unit)と4基のレンダーバックエンドを持つ「Radeon 680M」、Ryzen 5では6基のCUと2基のレンダーバックエンドを持つ「Radeon 660M」を搭載。レイトレーシングに対応する点も特徴となっている。

 内蔵GPU同士では、競合製品のCore i7-1185G7(Iris Xe Graphics)が1080p解像度でのゲームプレイにおいて、フレームレートが30fps前後に留まっているのに対し、Ryzen 7 6800U(Radeon 680M)では40fpsから60fps程度と大幅に高いフレームレートを実現できたという。

 またディスクリートGPUとの比較では、同様にRyzen 7 6800Uの場合、GeForce GTX 1650 with Max-Qに近しいグラフィックス性能を発揮。さらに、独自技術のFidelityFX Super Resolution(FSR)や、Radon Super Resolution(RSR)などを組み合わせることで、同等もしくはそれ以上の性能を発揮できるとした。

 また、ディスクリートGPUを搭載するゲーミングノートPCについては、ターボ時5GHz駆動に対応するSKUの追加といったCPU性能の向上に加え、PCI Express 4.0への対応による恩恵も受けられるとしている。

 モバイル向けRyzen 6000シリーズ搭載製品は、HSシリーズを皮切りに各社から順次投入される見込み。

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