今やメタバースという言葉を耳にしない日はないですが、ほとんどの人はそれが何なのか、薄ぼんやりとしたイメージのままでしょう。
「あれでしょ? ほらバーチャルが…」とか、ふわっとしたことしか言えないと思うんですが、ムリもありません。だって、ほとんどの人が何だかよくわかってないし、そもそも専門家の間でも統一した見解はまだこれからですから。
「ゲームを筆頭に、いろいろなエンタメコンテンツを楽しめて、買い物なんかもできちゃう仮想空間」ってイメージでおおむね合っているようですが、まだ過渡期の技術だし全貌が見えにくい。そんな状況に立ち上がったのがKDDIです。この3月に、新たなメタバース・Web3サービス「αU(アルファユー)」を立ち上げました。
サービス内容として、現在は5つの部門に分かれています。
リアルタイムのコミュニケートを主体とした「αU metaverse」
360度のVR空間でフォトリアルなクオリティで体感できる「αU live」
メタバースと連動したデジタルアートなどのNFT販売が行なわれる「αU market」
NFT初心者も安心して暗号資産管理ができる「αU wallet」
バーチャル空間で現実と連動したショッピング体験ができる「αU place」
「αU metaverse」「αU market」「αU wallet」はすでにローンチされており、「αU live」「αU place」はこの夏からのサービス開始が予定されています。
リアルとバーチャルを自由自在に
αU立ち上げを記念して、3月8日〜12日にかけてイベント「αU spring week 2023」が開催されました。
東京渋谷を拠点にしつつも、メタバースの強みを生かして渋谷から離れた地方でも参加できるこのイベントは、αUの世界観を知らしめるものとして成功を収めました。リアルとバーチャルをまたいで、さまざまなコンテンツが繰り広げられたのですが、ここではそのいくつかを紹介しましょう。
まずはリアルの世界では、「もう、ひとつの世界。」をテーマに、渋谷Hz Shibuyaにアパート”αU apartment”を設営。ここの住人は、新時代を作るクリエイターたち。実際に訪れると住人たちの個性溢れるMY ROOM展示や、パーティが楽しめるとあって期間中は常に盛況でした。
◆BE:FIRST 「Boom Boom Back Touch & Try」
音楽ユニット「BE:FIRST」メンバーが仮想の渋谷交差点をジャックして、新曲『Boom Boom Back』をパフォーマンス。
ここではその模様を、タッチパネル操作で360度全方向から楽しめるという趣向になっていました。MVの舞台である2000年代の渋谷を彷彿とさせるアートグラフィティが施された空間で、その高精細な映像はかなりリアル。没入感が圧倒的でした。
◆水曜日のカンパネラ 「エジソンの部屋」
音楽ユニット「水曜日のカンパネラ」の大ヒット曲『エジソン』のMVで披露された”足ダンス”シーン。この部屋では、ルームにある机に座るだけで、自分が足ダンスを踊っているような動画が撮影できるという体験が可能。
3月11日にはMVで足ダンスを披露したダンサーのMiyuさんが来店して、来場者に足ダンスを教えるワークショップも開催されました。
そしてバーチャルでは、こんなライブとミート&グリート(交流会。以下ミーグリ)イベントも。
◆3月12日 水曜日のカンパネラ virtual reality mini live & ミーグリ
ボーカルの詩羽さんがアバターとして登場。楽曲に合わせて歌詞が空間に浮かび上がったり、ステージに絵本風のセットが突然登場したりと、現実では不可能な演出を盛り込んだパフォーマンスで、『ティンカーベル』『エジソン』『バッキンガム』などの代表曲を披露してくれました。
ライブ後のミーグリでもメタバース空間で、ファンの質問に答えたり、ダンスモーションを使って一緒にダンスしたりと、現実さながらのコミュニケートが楽しめました。
◆3月10日 獅子神レオナ virtual reality mini live & ミーグリ
バーチャルタレント「獅子神レオナ」さんは『Brand New Days!』と『ナンセンス・ワード』をパフォーマンス。
曲に合わせてレーザーなどの照明演出がされ、これまたメタバース感強いライブに。ラストには『頑張れ頑張れ超頑張れ』も披露。
ミーグリではファンが待機しているルームに本人のアバターが登場して、おしゃべりしたり記念撮影したりと、近い距離感でファンとコミュニケート。リアルなタレントだとミーグリイベントにも場所やスケジュールといった制限がつきまといますが、αUなら世界のどこからでも参加できてしまいます。
バーチャルだけじゃないリアルのためのNFT
メタバースと並んで「流行ってることは知ってるけど、どういうものかはよく知らない」の筆頭であるNFT。αUはここでもわかりやすさを目指したサービスを立ち上げています。
◆リアルで使えるNFTを 「αU Market(アルファユーマーケット)」
「αU Market(アルファユーマーケット)」はリアルで使えるNFTのためのマーケット。
ここで販売されるNFTは、ショーへの招待チケットや作品がプリントされたTシャツといった、デジタルにとどまらない特典がついてきます。
ユニークなところでは、「飲食店の割引」を受けられるなんてNFTも。こういう「会員チケット」てみたいなNFT、もっと流行っていいとおもいます。
◆なつかしのINFOBARがNFTに 「αU dotadp」
αUはさらに、「αU dotadp(アルファユー ドットエーディピー)」をオープン。こちらはアートに特化したNFTストアです。
第1弾として、Z世代から支持されるアーティスト雪下まゆ氏、ヨシフクホノカ氏、バウエルジゼル愛華氏らのNFTコレクションを販売しているほか、ガラケー時代に新しいデザインを切り開き、ニューヨーク近代美術館(MoMA)の永久収蔵品にもなっている携帯電話「INFOBAR(インフォバー)」20周年を記念したNFTコレクションも発売されます。
とくに3DCG版の『info.bar』は「市販されなかったプロトモデルのINFOBAR」をモデルにしているので、手元においておきたいファンもいるはず。
◆ビギナーでも扱えるNFTウォレット「αU Wallet(アルファユーウォレット)」
KDDIは暗号通貨やNFTを管理するために必要となるウォレットアプリも用意しています。その名も「αU Wallet(アルファユーウォレット)」。
これまた導入のハードルが下がっており、本来なら暗号通貨でないと購入できないNFTを、日本円で購入できます。また、バックアップやフィルタリングといったハッキング対策の機能も用意。ブロックチェーンの初心者にも扱いやすいウォレットアプリを目指しています。
今まで「バーチャルなんとか」といえば、現実とは区切りのついた、VRゴーグルなどをつけて訪れるなにかスペシャルな場所…というイメージでしたが、「αU」のサービスは「ショッピングのような気軽さで出かけられる、お出かけ場所のひとつ」くらいのフレンドリーさを目指しているように見えました。
とくに「αU spring week 2023」ではリアルとメタバース両方でイベントを行なうことで、どっちに行ってもOK、どちらも同じイベントなんだ、というメッセージを感じます。
「αU live」が夏にスタートすると、メタバースの特性を生かしたライブももっと拡充しそうですし、実際に渋谷にあるアパレル店舗をバーチャル空間に再現する「αU place」のサービスも、遠方からでも気軽にアクセスできて場所にとらわれないショッピングを体験できそう。
今後も「αU metaverse」を軸としたさまざまなイベント体験は期待度大ですね。
Source: αU