なんと、プリン体と糖質がゼロというウソみたいな発泡酒「淡麗プラチナダブル」。
健康のことが気になりつつもお酒は好きという方にとってはとてもありがたい存在ですが、最近気がついてしまったんです。僕、純粋にその“味”が好きだということに。
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どうしても気になるので!
近年、家でビールを飲む機会がずいぶん減っていました。甲類焼酎を炭酸水で割っただけの「プレーンチューハイ」が飲みやすくて体にもなじむもので、基本そればっかり。ビールは、店で生や瓶を飲むもの、というような棲み分けが、自分のなかでなんとなくできてしまっていたんですよね。
ところがその状況が少し変わったのが昨年のこと。3月に発売された、尊敬するラズウェル細木先生の漫画『酒は思考の源でR』を読んでいたら、作中でラズ先生が晩酌を始めるにあたり、キュビビビビビっと、ものすご〜く美味しそうにビールを飲んでるんです。いや、正確には「ビールではなく糖質ゼロプリン体ゼロの発泡酒」。
これがなんだか妙にうまそうで。しかもあの大御所が、ビールではなくて発泡酒。それも、プリン体や糖質がゼロのものを選んで飲んでいる。そのなんていうんだろう、「酒飲みたるものこうあるべし」みたいな感じとは真逆のフリーダムさにあこがれまして。
で、その夜さっそく、キリンから出ている、プリン体も糖質もゼロの発泡酒「淡麗プラチナダブル」を買ってきて飲んでみたら、これがいいんですよ。本格ビールよりライトで飲みやすく、お酒を飲んでいるのにも関わらず、「今、自分、体にいいことしてる」みたいな気分にすらさせてくれる。
これが気に入って頻繁にプラチナダブルを飲むようになり、ある時に気がつきました。
「っていうかこれ、純粋に味がめちゃくちゃ美味しくないか?」と。
僕、そもそもそんなに味覚が敏感ではないので、銘柄に強くこだわりがあるとかってことはないんです。だけど、プラチナダブルを飲みはじめて以来、なんだかこればっかり選んでしまっている。しかも毎回、きちんと満足している。その理由は、普通のビールと比べたときの罪悪感の薄さ以上に、味にあるんじゃないかと。
そこで今回は、僕がふだんから美味しいと思って買いがちなビールや発泡酒、それと「淡麗」シリーズあたりを買ってきて、あらためて飲み比べてみようと思います。
ビール&発泡酒の飲み比べ。なんのひねりもない企画ではありますが、どうしても気になるので!
言い訳の章
というわけで、買ってきてみました。まず、前から発泡酒および第3のビールジャンルのなかでは特にうまいと感じていた「本麒麟」。それから「淡麗」シリーズ3種。さらに、これまた昔から、自分のなかではいちばんビールらしい味に感じて好きな「キリンラガービール」。最後に、味にまろやかさがあって、ゆっくりと美味しいビールを飲みたいなってときに選びがちな、“マルエフ”こと「アサヒ生ビール」。ずいぶん偏ったラインナップになってしまいましたが、あくまで自分の好みベースの実験ですので。
あとですね、ここからが重要。僕は、酒場に「赤星」の瓶があれば必ずといっていいほど頼みますし、最近発売された「ビアボール」も大好き! と、サッポロさんやサントリーさんにもフォローを入れておきつつ。
あ、それともうひとつ前置きを。これらのビール、そりゃあひと口飲んでは残りを捨て、というふうにテイスティングしていったほうが、結果は正確でしょう。だけど僕には、そんなもったいないことできない! とはいえ、家でこの量のビールを一気に飲みつくつような酒豪でもない。なので、飲み比べは何日かに分けて行います。ゆえ、体調の差などによっても味の感じかたに微妙な違いはあることでしょう。あくまで、僕の印象ということを大前提にお読みください。
って、なんだか今回言い訳が多いな。ただ結論から言って、よくよく味わってみると、それぞれに驚くほどきちんと個性があったことも確か。それではいってみましょう!
やっぱりうまい!「淡麗プラチナダブル」
まずはもちろんこちらから。グラスに注いでみると、うんうん、どこからどう見てもオーソドックスなビールだ。ここにプリン体や糖質が含まれていないなんて、どういう魔法だ。
はいはいはい。やっぱりだ。やっぱりうまい!
第一印象は爽やかな香りと酸味。柑橘系? エール系? っていうのかな。ものすごくこう、風呂上がりにぐいーっと飲みたいような味わいなんですよね。それでいて、しっかりとした飲みごたえもあるのがすごい。麦芽感とか、ほどよい苦味もきちんと感じる。
唯一、これまで気になったことはなかったんですが、ここまでよくよく味わうと、後味にほんのりと舌に残るような甘さがありますね。よりビールらしい味に近づけるための調整に使われている、甘味料やカラメル色素などがその由来かもしれません。
つっても気になるほどではないというか、そもそもプリン体も糖質もゼロの発泡酒が、ここまでうまいというのが、あらためて驚きでしかない。
やっぱりいいな、プラチナダブル。これからもお世話になります。
「淡麗グリーンラベル」
飲んでみてびっくり。かなり味の印象が違いますね。まず、バドワイザーとかに近いというのかな。飲み口がめっちゃくちゃライトで、苦味もほのか。香りもほのか。酸味は適度。ゆえに、すさまじく飲みやすい。
ただ、泡立ちがプラチナダブルよりもきめ細かい印象で、炭酸もしっかり強めなので、物足りなさはありません。
デザインやCMのイメージもあって、まさにこう、青空の下でぐいーっとやりたい味わいですね。
これはもうビールでしょ「淡麗極上〈生〉」
もうね、同じ淡麗を名乗っておきながら、まったく別もの。ここまで違うか、淡麗シリーズ。
苦味とコクがしっかりとあって、キレも良く、どっしりとうまい。油っけのしっかりあるつまみを用意して、ごくり、ごくりときちんと味わいたい。
っていうかこれはもう、ビールでしょ。
なんでこんなに美味しいのかよ「本麒麟」
これまでの淡麗シリーズと違い、いわゆる「第3のビール」に分類される「リキュール」というジャンルの1本。
それがさぁ、なんでこんなに美味しいのかよ……。まさに“本麒麟という名の宝物”ですよ。
旨味、甘味、適度な酸味をしっかりと感じつつ、キレが良く、そしてなにより、ものすごくリッチで華やかな印象があります。なんだろうこれは。キリンさんの魔法としか言いようがない。
本麒麟の個人的なイメージは「週末」って感じ。やっとたどり着いた週末の、ちょっと早めの夕方に、満を待して飲みたい感じ。
究極にナチュラル「キリンラガービール」
ここからはいよいよ、ビールゾーンに突入です。飲む機会のあるたび、しみじみうまいなぁ……と思わせてくれる、けっきょく自分にとってのビールってこの味なんだよなと感じる超王道。
なんですけれども、あらためて飲んでみて、ちょっとびっくりしました。
というのも、これまでの発泡酒やリキュールと比べ、もっと「我こそがビールなり!」っていう、ガツンとしたインパクトを感じさせてくれると思ってたんですよ。勝手に。ところが飲んだ印象、どこまでもナチュラル。まろやかで、苦味もほのか、と思いきや、あとからしっかりと広がりはじめる、シンプルなんだけど複雑でもある味わい。それがじんわりと体に染みます。
お酒を飲んでおいて矛盾してるんですが、すごく“天然の、体にいいもの”っていう感じがするというか。
極上のまろやかさ「アサヒ生ビール」
長年飲食店を中心に愛されてきた、通称“マルエフ”と呼ばれる「アサヒ生ビール」。2021年、28年ぶりに缶で復活して以来、大人気ですよね。
実際これが、わっかりやすく超うまいんだ。
しっかりとした酸味のあとに、甘み、苦味と、ストーリーを描きながら移り変わる味わい。そして最大の特徴である、とろりとしているようにすら感じさせる、口当たりのまろやかさ。
まさに唯一無二。一度飲んだら、「今夜は絶対マルエフが飲みたい!」という夜が定期的にやってくることを覚悟しなければなりません。
と、あらためて慣れ親しんだビール、発泡酒類を飲み比べてみたところ、それぞれに驚くほどの個性を感じる結果となった今回。
これからは、気分やシチュエーションに合わせて、飲み分けることにしよう。なんだか、大人の階段を一歩上ったような気分。